販売手数料を削減したらキャリアの営業利益が大幅に増加━━キャッシュバックは本当に「悪」だったのか:石川温のスマホ業界新聞

» 2015年06月12日 11時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 国内大手3キャリアの決算状況を見ると、NTTドコモは新料金プランの導入で落ち込みが見られるものの、他社は堅調な売上げを達成している感がある。

 通信業界は、昨年(2014年)4月に導入された消費増税や、昨今の円安基調といった影響も受けることなく、安定して収益を稼ぎ出している。新料金プランの導入や海外への出資で失敗しなければ、本当にリスクなく儲けることのできる事業と言える。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年6月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


 先日、発表された決算内容を振り返ると、特にKDDIは営業利益は2期連続2桁成長を達成している。このご時世、2桁成長を二期も続けるのは大変なことだ。

 その内訳を見ると、モバイル通信料金の収入増に加え「au販売手数料の削減」が貢献しているという。前期6632億円の営業利益だったのが、7413億円に増えているのだが、そのうち840億円がau販売手数料の削減によるものだという。

 「販売手数料の削減」で思い出されるのが、昨年春頃から始まった「キャッシュバックの禁止」だ。

 つまり、840億円のすべてではないだろうが、そのうち、かなりの割合が「キャッシュバックをなくして得られたコスト削減効果」と推測できる。

 それまで、かなりの額をキャッシュバックに突っ込んできたと言えるだろうし、その結果が「キャッシュバックをやめたら、儲かっちゃいました」というわけだ。

 KDDIだけが、決算資料で強調していたのだが、これは3社とも似たような状況にあるのは間違いないだろう。

 ただ、このキャリアが儲けてしまった「販売手数料の削減」というのは、もともとは消費者にキャッシュバックとして還元されていた金額とも言える。つまり、本来であれば、消費者が手にしていたであろう数百億円が、結果、キャリアにプールされ、利益になってしまったのだ。

 総務省の意向として「キャッシュバックは一部のユーザーだけが利益を得て、ほかのユーザーには不公平だ」という指摘があって、キャッシュバックは終息したはずだ。

 しかし、いまのままでは、単にキャッシュバックを辞めたことで、ユーザーへの還元は奪われ、キャリアだけが儲かる構図になってしまっている。

 解約率を見ても、ソフトバンクだけが解約率がアップしているものの、KDDIとNTTドコモはかなり改善している。おそらく、キャッシュバック競争がなくなり、ユーザーがキャリアに囲い込まれている傾向が強くなっているのだろう。

 常日頃から「キャリアは儲けすぎ」という指摘があるなか、このままでは、競争はなくなり、さらにキャリアばかりが儲かる構図になっていく。

 「キャッシュバックを復活せよ」とは言わないが、販売手数料削減で儲けた分を、ユーザーに還元するような施策や料金引き下げを促すことまで総務省はやらないと、結果、日本の通信業界は寡占化が進み、悪い方向に進む気がしてならないのだ。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年10月27日 更新
  1. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  2. 「Galaxy Z Fold8」「iPhone Duo」を“メイン端末”として使う上での課題 縦型コンテンツの最適化をどう進める? (2026年10月26日)
  3. 「iPhone Duo」画面不具合の報告がSNSで話題 店頭デモ機の過酷な使用環境が起因か (2026年10月26日)
  4. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  5. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  6. 20〜30代限定の「ダイナースクラブ ゴールド」登場 スタバやスマホで10倍還元、「食べログプレミアム」が実質無料 (2026年10月26日)
  7. KDDI、子会社モビコムのモンゴルでの火災について事実関係を公表 「法令違反行為を行っていない」 (2026年10月24日)
  8. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  9. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  10. iFixitが「iPhone Duo」を分解 折りたたみスマホで最も修理しやすいが内側画面の修理に課題 (2026年10月26日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー