LINE MUSICやApple Musicにない強みとは――ドコモの定額音楽配信サービス「dヒッツ」の戦略石野純也のMobile Eye(7月21日〜31日)(2/2 ページ)

» 2015年08月01日 12時37分 公開
[石野純也ITmedia]
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利用率の向上やソーシャルでの口コミをどれだけ増やせるか

 順風満帆に見えるdヒッツだが、冒頭で言及したようにマインドシェアがあまり高くないのは気になるところだ。失礼を承知で言い換えれば「注目度が低い」と評することもできる。ネット上での反響が低いだけかと思いきや、「それ以外のところで盛り上がっているという話も、残念ながらあまり聞かない」(前田氏)。こうした点については、ドコモ自身も危惧しているようだ。前田氏も「ご理解いただける活動をしていかないとマズイという思いはある」と語っている。

 ここで1つの疑問がわく。店頭で契約したユーザーが、そのまま放置して使っていないのではないか。この仮説に対し、前田氏は次のように反論する。

 「利用率はほかのプレーヤーが出していないこともあり、公表はしていない。また、ある時期、あまりユーザーがアクティブにならない時期があったことも事実だ。一方で、それではいけないということで、無料期間を作り、店頭で勧誘する場合も、その場で『こんなふうに使える』ということをやっている。結果として、初月に関しては、ほぼご体験いただけている。もちろんとりあえず入って使っていない人もいるが、無料期間中に全体の半分弱が抜けている」

 つまり、端末購入の補助金目当てで契約したユーザーは、もともとあまり使う気がないため、無料期間終了と同時に解約をしてしまっている。残ったユーザーは、もともと利用意向があったため、アクティブ率は決して低くないということだ。

 ただ、先に挙げたように他キャリア率が極端に低いため、SNSなどで「サービスのよさ」が拡散されにくいという側面はあるだろう。また、そのSNSにしても、対応が遅れていた。LINE MUSICはコミュニケーションツールとして不動のポジションを占めるLINEと連携しているし、そのほかのサービスもTwitterやFacebookとは当たり前のようにつながっている。dヒッツには、この視点が欠けていた点は否めない。

 もっとも、SNS連携は、間もなく大幅に強化される。先に開催された新サービス・新商品の発表会で明かされていたように、ドコモはFacebookと提携。dヒッツとFacebookの連携も、ここに含まれている。9月上旬には、dヒッツのプレーヤー上にFacebookボタンが設置され、投稿された楽曲は、ほかのユーザーがFacebook上で直接試聴できるようになる。その投稿からdヒッツに移動したり、楽曲を購入したりといった仕組みも導入される。

photo Facebookと連携し、タイムライン上で楽曲を試聴できるようになる

 また、「コンテンツの充実度を見せる意味でこうなっているが、今のdヒッツは、ユーザーインタフェース(UI)がちょっとガチャガチャしている。タイムリーな見直しを図っていき、喫緊で変えていく」(前田氏)といい、見た目や使い勝手も、より洗練させていく。ライト層向けながらも、継続して利用する上でUIは重要な要素だ。話題性という意味でも、UIの見直しは必要になってくるだろう。

 もともと、ライトなユーザーばかりが集まっているため、話題になりづらいという側面もある。マインドシェアを高めるためには、もう少しコアな音楽のラインアップをそろえ、発信力の高いユーザーを呼び込む必要もありそうだ。ここには、新たに開始するインディーズを発掘する取り組みである「EGGS」が効いてくるかもしれない。ドコモはタワーレコードも子会社化しているが、ここを上手く活用することも、コアな層にまで響くサービスに成長するポイントといえるだろう。

photo 新たに始めた「クリエイターズプレイリスト」も、“音楽通”を呼び込む施策といえるだろう
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photo インディーズのアーティストを育成するプログラムの「EGGS」。dヒッツとの連携も視野に入っている

 レコチョクの板橋氏が「AWA、LINE MUSIC、Apple Musicなどの競合とどう戦うかという質問になるが、まずは市場に根付かせることが重要。我々だけでなく、ほかのプレーヤーがいろいろなサービスを立ち上げ、新しい聴き方として根付けばスケール感が出てくる。今年(2015年)、来年(2016年)にかけ、もう一度市場を再活性化させるために頑張っていきたい」と述べているように、日本でもこの市場はまだ始まったばかりだ。ドコモの前田氏も「音楽分野に関しては、これからも力を入れていきたいと」と語っている。市場が大きくなりつつある中で、dヒッツが送り出す次の一手にも注目しておきたい。

photo 各種改善が効いてくれば、ユーザー数だけでなく、マインドシェアまで高められる話題のサービスになるかもしれない
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