「iPhoneから切り替えてほしい」――エイサーが日本でSIMフリースマホを投入する理由:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/2 ページ)

» 2015年11月27日 20時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

 MVNO市場の拡大を受け、SIMロックフリースマートフォンを開発するメーカーの新規参入も増加している。台湾メーカーで、PCではおなじみの日本エイサーもその1社だ。同社はグローバルで、「Liquid」や「Jade」といったシリーズのスマートフォンを展開しているが、そのラインアップの一部を、日本に導入している。

 日本市場での日本エイサーの取り組みは、1月に開始された、ブックオフでの販売にさかのぼることができる。同社はブックオフとタッグを組み「Liquid Z200」を発売。手持ちの端末を売ると、0円でLiquid Z200が手に入るという施策を展開した。これを皮切りに、11月にはSIMロックフリースマートフォン市場に本格参入する。

Liquid Z530Liquid Z530 「Liquid Z530」(左がブラックモデル、右が日本限定色のホワイトモデル)

 発売されたのが、ミッドレンジモデルの「Liquid Z530」(2万5047円※AcerDirect楽天市場店の税別価格)。約800万画素と高画質なインカメラを搭載し、PCからスマートフォンをコントロールできる「日本エイサーEXTEND」に対応しているのが特徴だ。さらに、楽天モバイルとタッグを組み、1万2000円(税別)でLTEに対応するエントリーモデルの「Liquid Z330」も発売する。

 PCメーカーとして長い歴史を持つだけに、Windows Phoneも日本エイサーの得意とする分野だ。9月にドイツ・ベルリンで開催されたIFAでは、ハイエンドなWindows 10 Mobile搭載スマートフォンの「Jade Primo」をお披露目し、日本での発表会では実機を公開した。このモデルに加えて、ミッドレンジのWindows 10 Mobile搭載スマートフォンも日本に導入する予定だという。

 発売されてきたラインアップや、今後発売される端末のラインアップを見ると、同社が「本格参入」をうたう理由もよく分かる。一方で、SIMロックフリースマートフォンのメーカーとしては、後発組に入るのも事実。なぜこのタイミングで本格参入を決意したのかは、気になるところだ。日本エイサーの日本市場での取り組みや、SIMロックフリースマートフォンの勝算を、プロダクトセールス&マーケティング本部 ジェネラルマネージャーの楊博光氏と、同プロダクトマーケティング プロダクトマネージャーの宇佐美慶基氏に聞いた。

ハイエンドPCメーカーとしての強みが生きる

―― 海外市場を見ると、日本エイサーは幅広いラインアップの端末を出しています。ここ最近は特に端末の種類も増えてきました。そこで、あらためて日本エイサーがどのようなラインアップを持っていて、なぜ日本で「Liquid Z530」を発売したのかを教えてください。

楊博光 日本エイサーの楊博光氏

楊氏 Liquidシリーズは200番台のエントリーモデルがあり、その上に300番台、そして日本で発売した500番台があります。このほかに、IFAでは5.5型の「Liquid Z630」という製品もグローバル発表させていただきました。それプラス、最上位の製品としてJadeシリーズを用意しています。

 背景にはスマートフォンのコモディティー化があり、各社が使っているテクノロジーにも大きな違いがなくなったことがあります。台湾のスマートフォンの部隊のプレジデントが来てから5年、トップになってから3年たちましたが、その間、デザインやお客さまのユーザーエクスペリエンスを高めるストラテジーをどんどん生み出してきました。2年間試行錯誤をして、デザインチームも刷新しています。ここに外部からの意見を入れ、マーケットからの状況もリサーチしながら開発したのがJadeシリーズになります。

宇佐美氏 日本エイサーはグローバルカンパニーですが、世界を見るとまだ高い値段で売れない国、3Gが中心の国が多く残っています。そういった国々では、3Gのみのモデルもあります。インドや南米、フィリピンやミャンマーのような国があり、こちらに対応しなければいけない半面、日本のような国に向けてLTE対応モデルのレンジも持っていきたい。さらには、ハイエンドなPCメーカーという位置付けもあるため、PCからの流れを、いかにスマートフォンに持っていけるかといった製品の開発もしています。

 強みとしては、チップセットメーカーとの関係の深さがあります。Intelさん、Qualcommさんとは長い付き合いがあり、そのへんを生かして、今、ブランディングやロードマップを常に本社とやりとりしているところです。

法人という角度で見ると、Windows Phoneは魅力的なOS

―― それとは別に、Windows Phoneのラインアップも持たれていますね。

楊氏 1型のウェアラブルから100型のプロジェクターまで、全てのラインアップを提供しなければならない。これが、われわれの会社の使命だと思っています。Windows Phoneはグローバル全体で、日本もそうですが、かなり注目度が高い。では、われわれとしてWindows 10 Mobileでどう新しいお客さまにリーチしていくのか。今、Microsoftさんやディストリビューターさん、チップセットメーカーさん、それにオペレーターさんとも会話をしているところです。

宇佐美慶基 日本エイサーの宇佐美慶基氏

宇佐美氏 Windows Phoneに関しては、うちの強みであるMicrosoftさんとのリレーションを生かせます。関係はヘッドクォーターでも強いですし、日本でもMicrosoftさん、クアルコムさん、インテルさんとは強くなっている。話がしやすいというのが、一番の強みです。

―― 確かに、日本でWindows Phoneを発売するメーカーの中では、一番実績があるメーカーだと思いました。その意味では、安心感もあります。

楊氏 今おっしゃっていただいた安心感に、商機があります。現在、残念ながら、アプリやダウンロードできるエンターテインメント性のあるコンテンツは、iOSやAndroidと比べると圧倒的に少ない。彼ら(Microsoft)もそれを打開できるように頑張っていますが、一方でWindows 10 Mobileは、プロフェッショナルな領域で、今までスマートフォンに踏み切れなかった法人にも切り替える“きっかけ”を与えられます。

 スマートフォンとPC、スマートフォンとイントラネットの連携が着実に進化していて、企業に合わせて環境構築ができます。それに付随してセキュリティも、Windows向けに開発しているパートナーは圧倒的に多い。法人という角度で見ると、かなり魅力的なOSだと思います。

―― Jade Primoは「Continuum(コンティニューム)」にも対応しているため、PC風の使い方ができる点が面白いと思いました。

楊氏 エントリー系のWindows 10 Mobileで入っていき、Windowsのエクスペリエンスを最大限体感できるJade Primoのようなものをメインにしていきたいですね。新しいテクノロジーはどんどん入れていきたいと思っています。

Jade PrimoJade Primo 10月に行われた発表会では、「Jade Primo」を使った「Continuum」機能のデモも行われた

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