「BIC SIM」を始めた経緯、OCNを加えた理由は?――ビックカメラに聞く 格安SIM戦略(1/2 ページ)

» 2016年02月03日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

 大手家電量販店の中で、MVNOにいち早く着目し、力を入れてきたのがビックカメラだ。同社はIIJとタッグを組み、2012年に「BIC SIM」を発売。対面で契約ができる「BIC SIMカウンター」も充実させ、ユーザーの拡大に貢献してきた。ビックカメラとタッグを組んだ後、IIJmioが急成長したことを考えても、同社の役割は決して小さくないといえるだろう。

 そんなビックカメラは、2015年12月にNTTコミュニケーションズとも手を組み、「BIC モバイル ONE」ブランドでサービスを展開している。2月には、BIC SIMカウンターを165店舗にまで拡大。IIJmio以外の即時開通対応カウンターも、徐々に増やしていく方針だという。

ビックカメラ ビックカメラの格安SIMカウンター。「BIC SIM」と「BIC モバイル ONE」のカウンターが目立つ

 では、ビックカメラは、なぜIIJとタッグを組むことになったのか。同社でMVNOなどを担当する事業部長 藤井靖大氏に、その経緯を振り返ってもらった。また、ビックカメラのSIMといえば、IIJmioのイメージがある。そこに、なぜOCN モバイル ONEを加えたのか。SIMロックフリースマートフォンの販売動向も気になるところだ。こうした疑問をぶつけ、ビックカメラのMVNO、SIMフリースマートフォンに対する戦略を聞いた。

IIJを最初のパートナーに選んだ理由

ビックカメラ ビックカメラの藤井氏

―― 最初に、BIC SIMを始めた理由やいきさつを教えてください。

藤井氏 MVNOということだと、以前からWiMAXのデータカードを販売していましたし、その後、イー・モバイル(現ソフトバンク)も取り扱っていました。2011年ぐらいには、「SIMカードをやりませんか」という話もいただいていましたが、当時は聞き流していたところがあります。そうこうしているうちに、イオンさんがSIMカードの販売を始めてしまった。ただ、当社としては、WiMAXやイー・モバイルがそれなりにいい実績が出ていたので、勝負するところはこちらだと静観していたところはあります。

 そのイオンさんがやり始めてから時間がたち、売れているという話も耳にするようになりました。そこで調べてみたところ、確かに結構売れている。売れているということは、お客さまのニーズがあるということでもあります。そこにニーズがあるのであれば、店頭のラインアップに加えてご提供するというのが当社の考えです。ただ、やるにしても、先行している会社と同じことやってもしょうがない。どうせやるなら、ビックカメラのブランドを使い、既存のものにはない付加価値を付けて販売しようということで、商品(BIC SIM)を開発しました。

―― 付加価値というのは、サービスでいうと、「Wi2 300」が付いているところでしょうか。

藤井氏 Wi-Fiはもともと、WiMAXをやっているときに付けたものです。その後、イー・モバイルでも付け、同じ流れでBIC SIMでもやることになりました。IIJmioとWi2 300をそれぞれ仕入れて組み合わせていますが、これもちょっとした味付けですね。

―― 反響はいかがでしたか。

藤井氏 Wi2 300を付けて提供したことが、想像以上の反響でした。格安SIMは、使える容量が限られている中で、Wi-Fiスポットがあればもっと使えるということで、組み合わせがすごくよかったのだと思います。IIJmio自体もご支持をいただいていましたが、その中でも特に当社の製品を選んでいただける方は、多くなりました。

―― 当時は最安のプランだと、もっと容量が少なかったですからね。そのIIJさんをパートナーとして選んだ理由を教えてください。

藤井氏 自社ブランドで始めるにあたり、各社とお話をしました。その中で、一番技術力やインフラ構築力があると感じたのが、IIJさんです。当社の強みは販売力ですが、そことIIJさんの技術力をかけ合わせれば、いい商品ができると思いました。

カウンターは2月末までに165店舗まで拡大

―― ビックカメラはお店ということもあり、顧客のニーズを吸い上げやすいと思います。それをサービスに反映させるということもしているのでしょうか。

藤井氏 IIJさんもわれわれの考えだけを拾っているわけではないとは思いますが、そこは、とにかく密にやっています。ほぼ毎日といっていいほど、議論に議論を重ねて、どう売っていこうかを考えています。

 カウンターもその成果の1つです。もともとは手離れをよくするという考えで、店頭でパッケージを買っていただく形にして、家でアクティベーションするというところからスタートしました。最初に音声SIMが出たときも、そうでした。ただ、その形だと、手続きがあって使えない期間がどうしても発生してしまいます。店頭で契約書を書いてというのは難しいかなとは思っていましたが、そうはいっても1店舗ぐらいカウンターがあって、店頭窓口で受付できたらと考え、有楽町店にBIC SIMカウンターを出すことになりました。

 そこにお客さまが集中してしまい、大変混雑してしまった。もっと増やしてほしいという声や、ここに出してほしいという声など、さまざまなご意見をいただき、拡大しています。そういう面でも、(IIJには)協力していただいています。

―― 当初は1店舗だったカウンターの数も、多くなりましたね。

藤井氏 2月末までに、グループ合計で165店舗に入ります。今は、コジマに入れているところですが、基本的には携帯電話を取り扱っている店舗には全部入っている形になります。

ビックカメラ BIC SIMのカウンター設置店舗はWebサイトから確認できる

―― これで全部となると、以降はどのような強化の仕方になるのでしょうか。

藤井氏 店舗数を広げるというのはないですね。ちょっと増えるぐらいはありますが、200になるというようなことはありません。ただ、今は即時発行できるのがIIJさん中心ですが、OCNさんやFREETELさんをどこまで増やしていけるのかということはやっていきます。

―― カウンターならではの取り組みは、ほかにありますか。

藤井氏 もともとは新規契約とMNPの登録をするだけでしたが、2015年10月から、SIMカードの再発行やサイズ変更、追加の受付もできるようになりました。それまではネットで申し込んで後日届いていましたが、それを店頭でできるようにしています。全店ではありませんが、そういった取り組みもしています。

―― 数だけでなく、質も向上させているということですね。実際に、カウンターを出してみて、何か気づいたことなどはありますか。

藤井氏 今のキャリアの料金に満足している方ももちろんいますが、やはりお金にシビアな方や、節約したいという方がすごく多いということを実感しました。また、携帯電話は、もともとキャリアショップや、われわれのような店頭で申し込んで使えるビジネスモデルで、お客さまもそれに慣れています。インターネットで申し込んで使えるというのも、一番上の層にはいいのかもしれませんが、一般の方には合っていません。相対して話が聞けるというのは、やはり安心感があるのだと思います。

OCNのSIMカードを追加した理由

ビックカメラ 2015年12月から販売しているBIC モバイル ONE

―― 先ほど、OCN モバイル ONEやFREETEL SIMの即時開通を増やしていくというお話がありました。OCN モバイル ONEも、BIC モバイル ONEで展開するようになりましたが、その意図を教えてください。いきなりブランドが1つ増えたという印象を受けたのですが……。

藤井氏 いきなりではありません(笑)。当初は市場がまったくない状態で、われわれとしてもやみくもに手を出せないというところがありました。また、当時は商品もあまり多くなかった。ですから、まずはガチっと(IIJと)組み、ブランドを広げて、SIMの市場を作ることに注力してきました。導入の段階という意味では、実績も出せたと思っています。

 ただ、格安SIM市場が盛り上がりを見せている中で、品ぞろえを強化している競合も出てきています。全てのお客さまにご満足いただきたいので、1社のサービスを押しつけるのもわれわれの考え方とは異なります。BIC SIMをやっていた間にも、SIMカードの品ぞろえは増やしていました。

 そんな中で、OCNさんは業界でも一番だと聞いていました。一番売れているということは、やはりニーズがあるということでもあります。先ほども申し上げましたが、考え方は全てそこに集約されます。お客さまが求めていた、だから商品化したというのが答えになりますね。

―― とはいえ、2つとも、同じドコモのMVNOです。ビックカメラとしてのすみ分けは、どのようにしているのでしょうか。

藤井氏 私どもとしては、どちらかでないとダメというのはありません。お客さまにご説明をして、選んでいただければいいと考えています。われわれはずっと前から「OCN光 with フレッツ」も販売していましたから、当社のお客さまの中にもそれを使っている方がいる。そういう方には、OCNが適しているというのもあります。

―― OCNは1日ごとに容量が決まっているコースもあるため、料金プランがバッティングしていないのもいいのかもしれませんね。

藤井氏 1日で使う容量が大体決まっている方はOCNさん、そうでない方はIIJさんというようなすみ分けはありますね。

―― OCNをプッシュして、比率を均等にしたいというような考えはないのでしょうか。

藤井氏 そういう考えは、特にありません。ずっとIIJさんとやってきたので、赤(IIJmioの回線を使ったBIC SIMのカラー)にプラスして青(OCN モバイル ONEの回線を使ったBIC モバイル ONEのカラー)が増えたイメージです。

―― つまり、食い合ってIIJのシェアが落ちたということはないということですか。

藤井氏 現状では、ありません。パイ全体が増えています。ただ、あくまで今のところは、です。

―― というと?

藤井氏 まだ始めてから1カ月ちょっとしかたっていないので、浸透もしていなければ、正直に申し上げると、販売員が売り慣れていないところもあります。

―― まだ様子見というところですね。

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