店頭のSIMロックフリースマホ売り場では、高価格なハイエンドモデルや3万円台のミドルクラスなど、さまざまな端末が発売されるようになってきた。とはいえ、SIMロックフリースマホがヒットした原点は、低価格モデルといえる。今でも、格安SIMと一緒に安くスマホを持てる入門機としてお勧めしやすい。売れ筋は3万〜4万円台のスマホだが、最近は1万円台の端末も増えてきた。
今回は、市場価格が1万円台(税別)のAndroidスマホ6機種について紹介する。性能は3万円台や4万円台以上の製品と比べてかなり低いが、LINEやTwitter、YouTubeぐらいならそこそこ快適に利用でき、もちろんLTEデータ通信やテザリングも利用できる。あまり複雑な使い方をしなければ、かなりコストパフォーマンスの高い端末だ。
前半の記事では、全体的な特徴や持ちやすさなどを取り上げ、次回掲載の後半記事では、処理性能やバッテリーのベンチマーク、利用できるSIMや周波数帯について紹介する。
詳しく取り上げる5機種は、Huaweiの「HUAWEI Y6」、ASUSの「ZenFone Go (ZB551KL)」、FREETELの「Priori3S LTE」、UPQの「UPQ Phone A01」、FREETELの「雅(MIYABI)」だ。ZTEの「ZTE Blade V6」は制作期間中に実機を用意できなかったため、スペックのみの紹介となる。まずは各機種の概要について見ていこう。※記事中の価格は税別。
5.0型HD(720×1280ピクセル)液晶を搭載した、Huaweiの低価格モデル。「Ascend G620S」の実質的な後継モデルで、弱点だったFOMAプラスエリアにも対応した。ローエンドプロセッサの「Snapdragon 210 MSM8909」(1.1GHz/4コア)を搭載。1つ2つのアプリはそこそこ快適に操作できるが、複数のアプリを動かすとややもたつく。
液晶の発色や解像感は良好で、YouTubeなどのネット動画を快適に視聴できた。着信ランプも搭載する。外装は樹脂製だが、光沢やドットパターンで見た目の安っぽさは感じない。低価格ながら、GPSの対応衛星が多く電子コンパス搭載なのでナビアプリも利用できる。800万画素カメラはF2.0の明るいレンズとBSI(裏面照射型)CMOSで薄暗い室内にも強い。
通話やメール、LINEやYouTubeなど基本的なアプリは一通り動作するが、頻繁にタスク切り替え画面でアプリを終了しないと動作がもたつく。また、155グラムとやや重たい点は気になった。ある程度Androidスマホに慣れた人が、低価格な2台目スマホとして使うのに向いた端末といえる。
1万円台スマホでは最大サイズの、5.5型HD(720×1280ピクセル)液晶を搭載。価格は1万円台後半だが、プロセッサはミドルローの「Snapdragon 400 MSM8926」(1.4GHz/4コア)、バッテリーは3010mAhと比較的大容量だ。日本語入力システムの「ATOK」をプリインストールしており、Googleドライブの2年間100GB利用権も付属する。
外観は、他のZenFoneシリーズと共通の曲面を帯びた持ちやすい形状を採用。背面カバーはマット加工で質感もいい。800万画素カメラは薄暗い室内にも強く、500万画素インカメラは広角かつ解像感も高い。ハードウェアのタッチキー採用で5.5型の大画面を広く利用できる。位置情報はGPSのほかGLONASSやBeiDouにも対応し、電子コンパスも搭載。低価格かつ大画面のナビとしても使いやすかった。
価格は1万円台後半と他機種より2000〜3000円ほど高いが、プロセッサやカメラ、バッテリーの性能や機能を考えるとコストパフォーマンスは良好だ。通話やメール、SNS、YouTube再生ぐらいならそつなくこなせる。スマホ初心者にもお勧めしやすい端末だ。
スマホでは最大級の大容量4000mAhバッテリーを搭載。プロセッサはローエンドのMT6735P(1GHz/4コア)だが、メモリは2GBなので、複数のアプリを起動しても動作のもたつきは少ない。
5.0型HD(720×1280ピクセル)IPS液晶の発色は良好。背面は柔らかな光沢と柔らかい質感で高級感がある。背面から側面に向けて滑らかなカーブもあり、片手でしっかりと握りやすい。800万画素カメラも薄暗い室内なら問題なく撮影できた。低価格スマホとしては珍しく、5GHz帯Wi-FiのIEEE802.11 n/aにも対応。無線が混雑した場所でも5GHz対応のWi-Fiアクセスポイントへスムーズに接続できる。
重量は161グラムだが、バッテリー容量を考えるとむしろ軽いといっていいだろう。通話やメール、SNSなど基本的なアプリの利用が中心で、なおかつ出張や旅行中にバッテリー切れしにくいスマホが欲しい人に最適な端末だ。
4.5型のフルワイドVGA(480×854ピクセル)液晶を搭載。幅は66ミリ、重量は118グラムで、今回紹介する中では一番小型軽量だ。1万円台半ばだが、プロセッサはミドルローのMT6735(1.3GHz/4コア)を搭載。1GHz前後/4コアのプロセッサと比べて処理がやや速く動作のもたつきも少ない。
外装は上品なツートンカラーだが、質感は樹脂素材に塗装のみのツルツルとしたものだ。剛性感もなく、握るとややたわみを感じられる。液晶画面は解像度が低く、IPS液晶だが斜めから見た場合の色変化が大きい。通信はFOMAプラスエリアのBand6(800MHz帯)に対応していないため、ドコモのネットワークを利用する大半の格安SIMを使う場合、地方や郊外エリアで圏外になる可能性がある。
アプリの動作はそこそこ快適だが、ディスプレイの画質やその他の細かい機能は、価格なりに性能が低いか非搭載となっている。小型さや安さに魅力を感じるならいいが、実用面で見ると同価格帯のPriori3S LTEやHUAWEI Y6と比べ見劣りする感は否めない。
5型HD(720×1280ピクセル)で発色も良好なIPS液晶を搭載。プロセッサはミドルローのMT6735(1.3GHz/4コア)で、メモリは2GB。SNSやブラウザ、YouTubeなどの基本的なアプリなら快適に利用できる。内蔵ストレージも32GBと大容量だ。1300万画素カメラの解像感は良好で、薄暗い室内も撮影できる。
外観はスクエアな形状で、側面にはメタルフレームを採用。1万円台ながらそこそこの上質感がある。背面パネルはスピン加工風の光沢処理により、持つ角度によって異なる輝きを楽しめる。スピーカーの音質があまりよくないのと、価格の割にバッテリー容量が少ない点を除けばバランスよく使いやすくい端末だ。
今回、実機を用意しての比較はできなかったが、後編のベンチマーク記事では「ZTE Blade V6」も加えて比較する予定だ。プロセッサにミドルローのMT6735(1.3GHz/4コア)に2GBメモリを搭載など、雅(MIYABI)とほぼ同じ仕様のまま薄さ6.8ミリを実現。この価格帯には珍しい、そこそこの性能でスリムな端末となっている。
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