―― 次に、通話定額オプションについて伺えればと思います。提供の経緯を教えてください。
堂前氏 もともと「みおフォンダイヤル」があり、30秒10円、家族への通話はさらに割り引きますよ、ということを同時にやっていました。キャンペーン的に無料通話はやっていましたが、そのニーズが強かった。やはり安心感があったのだと思います。
ガッツリ電話する方はある意味でキャリア(MNO)さんの方がいいのかもしれませんが、そこまで電話するつもりはなくても、してしまったらどうしようという不安感はあると思います。それに対し、いくらでもしゃべっていいというわけではありませんが、ある程度までならオプションでお付けできるというのが通話定額オプションです。
それで納得できればそのままでいいですし、やっぱりLINEしか使わなかったとなれば外すこともできます。基本サービスにしなかったのも、使わなければ外してもいいというメッセージです。
―― これは、通話時間の平均を取って、「このくらいの料金ならやっていける」という計算で定額にしているのでしょうか。
堂前氏 おっしゃる通りで、ようやくわれわれにもその知見がたまってきました。定額にすることでどのくらい使われるかを検証して、このぐらいの価格ならというラインを出しています。
―― 5分で830円という価格設定は比較的相場に近いと思いますが、やはり平均を取っていくとそうなるのでしょうか。
堂前氏 電話の使い方は極端に変わるようなものでもないので、各社同じような試算をしているのだと思います。ちなみに、うちの場合、もうちょっと下の3分という定額も出しています。600円なら念のために付けておこうという方もいたからで、通常の通話は3分ですが、家族は10分になります。家族主体であれば600円なら使い勝手はいい。ここには、家族で使ってほしいというメッセージを込めています。
―― こういったサービスの場合、中継電話が使われることが多いと思いますが、中にはそのままドコモ網で定額プランを提供しているところもあります。
堂前氏 (中継電話の方が)仕入れ額が安くなるからです。いくらで何分とやるときの余裕が生まれやすくなりますからね。もちろん、ギリギリまで切り詰めればやれる可能性もありますが、中継電話の方がやりやすいし、安くなるのも事実です。
佐々木氏 単純に言うと、830円で2.5分になってしまうよりは、5分の方がいいですよね。
堂前氏 切り詰めることができたとしても、(赤字になる)リスクも高くなってしまいます。
―― 利用状況はいかがですか。
佐々木氏 少なくとも、赤字になっているという数字は聞いていません。順調な滑り出しだと思っています。
堂前氏 ただ、新サービスを始めても、お気付きにならない方が非常に多い。新規の方に訴求していくことは必要ですが、既存のユーザーにどうお伝えするかが課題になっています。いまだに「IIJmioのクーポン(高速通信)は1GBでしょ」という方もいますからね。
既存のユーザーにお伝えするチャネルをどう作るかは課題としてあって、IIJmioのTwitterもフォロワーは4万ほどいますが、その全員がユーザーというわけではありません。ユーザー数が80万近くいる中で、本当にごく一部がTwitterをフォローしている状態で、まだまだやらなければいけないことがたくさんあります。
―― 大手キャリアのように、新サービスを始めたというCMをやるわけにもいかないですからね。
佐々木氏 この情報のためだけには、さすがにできません(笑)。
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