カウントフリーからIoTまで――NTTコムに聞く MVNEの取り組み:MVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2016年11月30日 10時55分 公開
[石野純也,ITmedia]
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スタートアップにもOCN モバイル ONEのノウハウを提供

―― スタートアップのMVNEもやられていたんですね。言葉は悪いかもしれませんが、NTTコミュニケーションズはどちらかというと、対大企業限定という印象がありました。

村田氏 やっていますね。

唐金氏 弊社の図体(ずうたい)と、市場の求める小回りの利き加減を両立させる苦労はありますが(笑)、われわれが直に営業していない領域にも当然市場はあります。B2B2Xの芽があるのは、むしろそういったところで、スタートアップにこそあると思っています。そのプレーヤーを(通信と)ひもづけるのも、1つの使命です。

山本氏 もともとはISP事業者が(NTTコミュニケーションズ全体の)主な顧客でしたが、最近だとアプリを開発しているような会社も増えてきています。ただ、そういった会社だと、販売ルートや量販店の対応はどうすればいいのかといった知見がなかったりするので、そこはOCN モバイル ONEで培ったノウハウをご提供しています。

―― MVNEというと技術支援に聞こえますが、コンサルティングに近いイメージですね。

山本氏 はい。一緒に考えるところから、やらせていただくようにしています。

唐金氏 嫌らしい言い方かもしれませんが、うまくいかないと共倒れになってしまいます。結果としてMVNOの方々がビジネスで成功されて、お金が入ってきた方がいいですからね。販売だけでなく、マーケティングや広告の仕方などまで含めた形で、成功に導いていきたいと考えています。

―― VAIOのように、料金プランが特徴的なMVNOもありますが、ああいったものはNTTコミュニケーションズさんが提案しているのでしょうか。逆に、標準的な料金のようなものもあるのでしょうか。

VAIO S11 VAIOのSIMロックフリーノートPC「VAIO S11」向けの独自プラン。NTTコムがMVNEとして通信サービスを提供している

唐金氏 何をもって標準というのかは難しいのですが、もともとは卸でカスタマイズを売りにしているので、これが標準ですと公表できるものがありません。ただ、人向けのサービスですと、カウントフリーやギフト、コミュニティーといった要素はありますが、何GB必要かという類型はできてきているので、そこを標準化して提案しています。

 もちろん、ユーザーの要望に基づいたカスタマイズはしていて、もともとスタンドアロンでやっているアプリやサービスをつないでみようとなれば、必要なデータ容量がどのくらいかは正確に理解し、どの程度の品質を出すかを考えながらサービスの仕様を決めていきます。特にIoTだとあてどころが難しく、上りだけや、この時間だけというものもあります。

NTTコミュニケーションズ NTTコミュニケーションズの村田一成氏

―― IoTというと工場の監視システムのような大掛かりなものから、スタートアップが作ったコンシューマー向けデバイスまで幅が広くなりますが、実際にはどういった分野が増えているのでしょうか。先ほど、スタートアップへのサービス提供もしているとおっしゃっていましたが、そことの関係も教えてください。

村田氏 B2B2Cで、モノにSIMを載せて使うようなケースですね。以前は工場の遠隔監視など固めの使い方が主でしたが、最近ではコンシューマー寄りの、見守り系デバイスのような要望も出てきていて、スタートアップに近い企業の事例も増えてきています。

―― そういったスタートアップへは、営業をかけているのでしょうか。MVNOをやりたいからNTTコミュニケーションズに相談に行くというのは、ちょっとハードルが高そうに見えますが(笑)。

村田氏 もしかしたらそういうところはあるかもしれませんが、話していくうちにハードルがないと見ていただけるようです。実際にはネットサービスの領域を提供していた会社に対して、デバイスまで含めて仕立ててみてはどうかと提案したり、サービスを広げることで収入領域も広がるとコンサルしたり、それに必要な部材を外部のパートナーとご提案したりもしています。

唐金氏 弊社は固定インターネットのころからバッグボーンは大きな割合で支えてきましたが、良きにしろ、悪きにしろ、ひたすら黒子であるという文化があり、そこを矜持にしていた部分もあります。ただ、MVNEを1つのサービスだと考えると、やはり使っていただかないことには……。これまで通り、ISPやケーブルテレビ事業者など、通信事業者と呼べる人たちなら言わずもがなで分かっていただけていましたが、異業種だとNTTコミュニケーションズが認知されずに素通りされてしまいます。ですから、われわれとしても、もっと存在感を出していきたいですね。

取材を終えて:フットワークの軽さに驚かされた

 インタビューからは、通信技術だけでなく、企画から部材調達、さらには行政対応まで、トータルでサポートできるところに、NTTコミュニケーションズの強みがあることが伺えた。さらに同社には、OCN モバイル ONEで培ったMVNOとしてのノウハウもある。LINEモバイルにインタビューした際には、要求仕様をきっちり満たす技術力を含めた安心感や、納期の短さなどが選定理由に挙げられていたが、スタートアップまで対象にするフットワークの軽さには驚かされた。

 一方で、大手MVNO、特に老舗と呼ばれる企業はMVNE事業を強化しており、IIJのように、HSS/HLRを自前で持ち、SIMカードを発行する事例も出てきた。基本的にはユーザーの目に直接触れないMVNEだが、MVNOへの機能開放が進むにつれ、水面下での競争が激化することになりそうだ。

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