「ベゼルレス」「ライカカメラ」「最強セルフィー」――2016年の中国スマホを振り返る山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2016年12月23日 12時50分 公開
[山根康宏ITmedia]

 Xiaomi(シャオミ)を抜いたHuawei(ファーウェイ)が、OPPO(オッポ)やVivo(ビボ)に抜かれるなど、中国国内のスマートフォンメーカーのパワーバランスが大きく変わった2016年。各メーカーは新製品を次々に送り出しており、11月になってからも新製品発表会が相次いだ。2016年に登場した各社の新製品の中から、トップ3メーカーの動きを見てみよう。

コスパ重視から堂々のフラグシップモデル投入へ――Xiaomi「Mi Mix」

 Xiaomiが新興スマートフォンメーカーとして世界中の話題をさらっていたのも今では過去の話になりつつある。2016年の同社は約2年ぶりにフルモデルチェンジを行った最上位モデルの「Mi 5」を年明けに発表、その後「Mi 5s」「Mi 5s Plus」とマイナーチェンジモデルも投入。さらには「Mi Max」「Mi Note 2」「Mi 4s」とラインアップを増やしていく。低価格モデルのRed Miシリーズも「RedMi 3」「RedMi 3S」「RedMi 3X」「RedMi 4」「RedMi 4A」「RedMi Pro」「RedMi Note 3」「RedMi Note 4」と多数の製品を次々に送り出していった。

 Xiaomiはもはやコストパフォーマンスに優れた少数精鋭モデルを販売するメーカーから、売れ筋製品をテンポ良くリリースする一般メーカーへと成り下がってしまったという印象を受ける。それはXiamiの最新モデルがメディアを賑わす機会が減っていることからも分かるだろう。

中国スマホ Xiaomiのオンラインショップ。スマートフォンだけでもすでに多数のモデルがある
中国スマホ 999元(約1万6500円)ながら高性能なRedMi Note 4

 しかし2016年11月に発表した「Mi Mix」は久しぶりに世界中から注目を浴びる製品となった。6.4型という大型ディスプレイを搭載。3辺がほぼベゼルレスのスタイルはまるでガラスの板を持っているかのような印象を受ける。

 似たようなディスプレイを搭載した端末としてはシャープの「AQUOS CRYSTAL」が過去にあったが、Mi Mixの縦横158.8×81.9mmという大きいサイズは圧倒的な迫力を感じられる。もちろんスペックもSnapdragon 821、メモリ6GB(4GBモデルもあり)、1600万画素カメラと強力だ。加えてボディーは表面処理の美しさと強度を併せ持つセラミック製。価格も3499元(約5万8000円)からと、かなり強気の設定である。

 Xiaomiのこれまでの顔ともいえる製品は、高スペックな「Mi」シリーズだった。しかし現実は低価格でスペックも良い「RedMi」シリーズの販売数の方が圧倒的に多い。Mi Mixは久しぶりにXiaomiらしい「最新の部材を集めた、最高のハイエンドモデル」であり、同社の栄光の時代のイメージを取り戻すことのできる、新しい顔となる製品になるだろう。

中国スマホ ベゼルレスデザインを目指した6.4型のMi Mix
中国スマホ セラミック製のボディーは高級感にもあふれている

もはやライバルはiPhoneにあらず――ライカとコラボし最強製品を送り出すHuawei

 2016年9月、Huaweiがドイツで行った新製品発表会でお目見えしたモデル「Nova」「Nova Plus」はミッド・ハイレンジクラスの製品だ。セルフィー機能を売りにするもののインカメラは800万画素と、同じ9月に登場したAppleの「iPhone 7」と比べると、機能的には下位のモデルだった。

 各社がiPhone対抗モデルを出してくる9月に、Huaweiはより低価格かつ最近のトレンドであるセルフィー機能にフォーカスしたモデルを投入してきたのだ。1年前の9月には大画面モデルのMateシリーズの最新モデルを投入していただけに、Novaシリーズの投入は肩透かしを食らった感があった。

中国スマホ 2016年のHuaweiの躍進はこのP9から始まった
中国スマホ 9月にはiPhone対抗機種ではなくセルフィーアピールのNovaを発表

 しかし2016年11月、そのMateシリーズの最新モデルがようやく発表された。5.9型ディスプレイを搭載し、「P9」譲りのライカカメラをさらに機能アップした「Mate 9」、そして5.5型WQHDディスプレイを搭載した「Mate 9 Pro」「Mate 9 Porsche Design」の3モデルである。11月の発表は、欧米のクリスマスシーズン向けとしてはやや遅い。しかし中国やアジアの旧正月(2017年は1月28日が元日)には十分間に合う。Mate 9シリーズはグローバルで展開する予定だが、特にアジア市場での拡販を重視していると見てもいいだろう。ちなみにMate 9は日本でも発売されてた。

 2016年のHuaweiは、ライカカメラ搭載のP9でブランドイメージも大きく引き上げており、インターブランドが10月に発表した「Best Global Brands 2016」では前年の88位から、72位へとランクを上げている。そのP9を「大画面化(Mate 9)」「高解像度ディスプレイ化(Mate 9 Pro)」そして「高デザイン化(Mate 9 Porsche Design)」とブラッシュアップさせた3つのモデルは、Huawei人気をさらに高めるものになるだろう。

中国スマホ Huaewiのオンラインストアでもこの冬イチオシの製品であるMate 9
中国スマホ P9同様、ライカクオリティーのカメラを備える

 おりしもSamsungはNote 7の生産中止でフラグシップモデルが不在、Appleは2015年に絶好調だったiPhone 6/6sシリーズの反動でiPhone 7シリーズが思うように伸びていない。しかしMate 9シリーズは、この2社の製品がたとえ現時点で好調な売れ行きを示していたとしても、それに並ぶ、あるいはそれを超えるだけの製品に仕上がっている。iPhone 7発表から2カ月後の11月に製品をリリースしたのも、Huaweiの自信の表れだろう。性能、品質、カメラ、仕上げ、そしてブランド。Mate 9シリーズはHuaweiの歴史の中でも史上最強の製品といえるだけに、この冬どれだけの結果を残すか、楽しみだ。

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