5月11日、KDDIが決算会見を行った。当日は、マイクロソフトの開発者イベント「Build」取材でアメリカ・シアトルに滞在していたため、出席できなかった。しかし、テザリング料金について田中社長が発言をしているので、ここではケータイWatchの記事(http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1059134.html)を引用したい。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年5月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
田中社長はテザリング料金1000円の根拠を聞かれ「その当時は深く考えていなかった。こういうと怒られるかもしれないが。大幅に大容量になるプランであり、ほとんどがそこ(スマートフォン)で閉じた使い方になるのではと考えていた。その上でテザリングは当面は無料としていた。足元をみると、このまま有料化しても不満しか出ないので、まず1年延期させていただいた」とコメントしている。
テザリング料金の根拠についての質問は、筆者がNTTドコモの決算会見でしており、是非ともKDDIでも自分が質問したかった。
おそらく、NTTドコモの決算会見でこのような質問が出ていただけに、KDDIでも「想定質問」として、広報部などが「どのように対応すべきか」という「答え」を用意していたのは間違いない。しかし、田中社長から出た言葉は、本音ベースで語られており、正直言ってかなり驚いた。
昨年9月にiPhone7の発売を控え、ソフトバンクが「ギガモンスターを出してきたものだから、「とりあえずは横並びで対応」ということで、特に検討することもなく「1000円」が決まったのだろう。その後の囲み取材で田中社長は「さすがに1000円はアレだよね」と語り、「市場の変化に合わせていく」としているので、このまま無料化に踏み切るのが落としどころになりそうだ。
そもそも、テザリング料金1000円を設定したのは、ギガモンスターを始めたソフトバンクだ。では、なぜソフトバンクはこの料金設定にしたのか。広報部に問い合わせたところ、「ギガモンスターは、従来のスマ放題の20GB/30GBのデータ定額パックより非常にお得な料金になっており、テザリングのご利用については費用をいただくことにした。 金額は、テザリングというサービスの特性や負担感など総合的に勘案して決定した」という返事が返ってきた。
そもそも、明確な根拠や理由があり、ユーザーが、その対価の価値を認め、納得できれば、何の問題もなくオプション料金を支払うだろう。しかし、20GBや30GBを契約し、スマホかテザリングで使うかの用途の違いで追加料金が発生するというのはイマイチ納得がいかない。キャリアとしては、収入の落ち込みをカバーするためにオプション料金を設定したいのだろうが、たかがテザリングで1000円を設定するというのは、少し安易な考えのように思える。
ユーザーを納得させるだけの材料がないのであれば、すぐにでもキャンペーンなど辞めて、正式に無料化に踏み切るべきではないだろうか。
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