カメラは順当に進化したが、それ以外のトピックが乏しいのも事実。PANTONEとコラボしたダズリングブルー(P10)、グリーナリー(P10 Plus)というオシャレなカラーはあるが、それだけではややインパクトに欠ける。
例えばSIMロックフリー端末でも対応が期待される「おサイフケータイ」は、P10/P10 Plusでは見送られており、防水も「生活防水」の対応にとどまっている。
防水については、P10が「IPX2」、P10 Plusが「IPX3」を取得しており、ナノコーティングも施している。ただしIPX2は端末が15度傾いた状態で水滴が落下しても問題ないレベル、IPX3は垂直+60度方向から水滴が落下しても問題ないレベルなので、他のスマホがサポートしているIPX5、7、8などと比べると防水性能は低い。外部接続端子がぬれると危険だし、もちろん水没はNG。
おサイフケータイについても、ファーウェイ・ジャパンの端末部門のプレジデントである呉波氏は対応することをにおわせる発言をしていたが(関連記事)、P10/P10 Plusのタイミングでは間に合わなかったようだ。例えばトリニティの「NuAns NEO [Reloaded]」は、IP54の防水・防塵(じん)とおサイフケータイをサポートしており、機能面でも他のSIMロックフリースマホと差別化を図れている。Huaweiは、防水やおサイフケータイ対応のAndroidスマートフォンをNTTドコモ向けに開発したこともあるだけに、SIMロックフリーでの機能追加も期待したい。
P10/P10 Plusは「au VoLTE」に対応せず、au回線のSIMカードは利用できない。つまり「mineo」のauプランや「UQ mobile」のSIMカードを挿してP10/P10 Plusで通信することはできない。最近はmineoやUQ mobileを筆頭にau回線のMVNOサービスも増えているし、競合他社を見るとASUSは積極的にau回線の対応を進めているだけに、ここも惜しいと思う。
ちなみに同時発売するミッドレンジの「HUAWEI P10 lite」は、ソフトウェアアップデートによってau VoLTEに対応する。プロセッサに「Kirin」を搭載する機種でau VoLTEに対応するのは、P10 liteが初めて。P10 liteはKirin658、P10/P10 PlusはKirin960という違いはあるが、より上位のプロセッサなら、同じくau VoLTEには対応できる……はず。今のところアップデートでの対応も予定していないとのことだが、今後の動きに期待したい。
P9と比較すると、プロセッサはKirin955→Kirin960、メモリは3GB→4GB、ストレージは32GB→64GB、バッテリー容量は3000mAh→3200mAhへと拡張され、ハードウェアは順当に進化している。また、P10/P10 Plusは新たにDSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)に対応し、通話(3G)とデータ通信(LTE)でSIMを使い分けられる。指紋センサーは背面から前面に移り、センサーをホームボタンとして使うことも可能になった。カメラはもちろん、これらの点に魅力を感じる人は、乗り換える価値は大いにある。またP9からP10 Plusへの乗り換えも、画面サイズが大きく変わるのでアリといえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.