4代目のiPhoneとなる「iPhone 4」は、現地時間2010年6月7日、開発者向けの年次イベント「Worldwide Develpers Conference 2010(WWDC10)」の基調講演で発表された。発売は6月24日。米国、フランス、ドイツ、英国と並んで、日本も世界で最も早いiPhone 4発売国の1つに名を連ねた。
iPhone 3GSまでの背面が丸みを帯びたデザインを一新し、iPhone 4はガラスとステンレスを組み合わせたスクエアな形状になった。ストレージ容量は16GBと32GB、カラーはブラックとホワイトが用意されたが、発売当初はブラックのみ。ホワイト版は期待する色合いが出せないことから何度も発売が延期され、10カ月後となる2011年4月28日にようやく発売された。
iPhone 4はディスプレイ解像度が格段にアップ。画面サイズは従来と同じ3.5型のまま解像度が4倍の640×960ピクセル、ピクセル密度が326ppiとなった。人間の目がドットを認識する限界といわれる300ppiを上回る精細化を実現していることから、Appleはこのディスプレイを「Retinaディスプレイ」と名付けた。
アウトカメラは裏面照射型CMOSセンサーを採用した500万画素(AF対応)。カメラの横にはLEDライトを備え、暗い場所での撮影が強化された。また、5倍のデジタルズームも搭載した。フロントにはVGA画質の写真と動画が撮れるインカメラを搭載。このインカメラを使って、Wi-Fi経由でビデオ通話「FaceTime」を利用できるようになった。このほか、イヤフォンジャックの横にノイズキャンセル用のマイクを備え、3軸のジャイロセンサーも搭載した。
プロセッサは、Appleが独自開発し、iPad(第1世代)で採用された「A4」がiPhone 4にも搭載された。マルチタスクも軽快にこなす高性能でありながら低消費電力でバッテリーの持ちが良く、3Gでの連続通話は420分、連続待受時間は約300時間、3Gのパケット通信は最大6時間と、iPhone 3GSを上回る動作時間を実現した。
iPhone 4のOSは4月に発表されていた「iPhone OS 4」になる予定だったが、名称が「iOS」 に改称された。iOS 4の大きなトピックはマルチタスクに対応したこと。SkypeなどのVoIPアプリは待受状態を維持できるようになり、アプリはホームボタンのダブルクリックで画面下部から切り替えが可能だった。
ホーム画面のフォルダに対応し、複数のアプリをまとめられるようになった。アプリアイコンを重ねるだけでフォルダが作成できる手軽さも魅力だった。ロック画面とホーム画面に壁紙を設定できるようになり、「iBooks」や「Game Center」といった新サービスにも対応した。
iPhone 4のフラットでシンプルなデザインは非常に好評だったが、本体側面の金属フレームはアンテナを兼ねており、持ち方によっては電波感度が悪くなるという事象が発生した。そのため、Appleは2010年9月30日までにiPhone 4を購入した全てのユーザーを対象に「Bumper」を1つ無償配布した。こうした問題はありながらも、iPhone 4、さらに次のiPhone 4Sの手にすっぽり収まるコンパクトさ、すっきりしたデザインを支持するファンはいまだに多い。
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