アップルが日本市場で「ガラケーからiPhone」乗り換え施策を展開――キャンペーン終了日の9月12日は何を意味するのか石川温のスマホ業界新聞

» 2017年08月18日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 アップル周辺が慌ただしくなってきた。

 今週、お盆休みのタイミングに合わせる形でケータイからiPhoneに乗り換えを促進するCMを放映。アップルには珍しく日本独自の広告展開だという。

 おそらく帰省時に親世代のケータイをiPhoneに機種変更させたいのだろう。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年8月12日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 CMに連動し、8月11日から9月12日まで、アップルストアでのケータイの下取り価格が従来の1000円から6000円にアップするなど、機種変更をためらう人たちの背中を押したいようだ。

 このキャンペーンが9月12日までというのがなんとも意味深だ。9月のそのタイミングは、例年、iPhone新製品発表会が行われている。一部、ウェブ媒体も予想しているが、今年は9月12日に新製品発表会が行われるのかもしれない。

 先週、一部のメディアが「Apple Watchの新製品はLTE通信に対応する」と報道していた。

 これまで、LGエレクトロニクスやサムスン電子、ファーウェイなどがLTE搭載スマートwatchを投入しているが、やや時期尚早な感があった。

 そもそも「ただでさえバッテリー寿命が短いのに、LTE対応させたら、さらにバッテリーが持たずに使い勝手が悪くなる」のは避けられない。本当に、Apple WatchもLTE対応させるのか、ちょっと疑問であった。

 今週、ずっと頭を悩ませていたのだが、IoT関連の記者会見に参加していて、ふとひらめいた。

 ひょっとすると、アップルはApple WatchでIoT向けの通信規格を採用するのではないか。NB-IoTやCat-M1といったあたりは、国内キャリアに話を聞くと「2017年度中にはサービスを開始する」とのことで、あまり現実的ではなさそうだ。

 しかし、これがCat-1となると「すでに全国で使える」(複数のキャリア関係者)ということで、俄然、現実味を帯びてくる。

 アップルとしては、iPhoneがなくても、Apple Watch単体で、電話ができ、Apple Payで支払いができ、メールやメッセージなどがチェックできる世界観を求めているはずだ。そこで、LTE搭載となるわけだが、一つ気になるのが「通話機能」だ。

 Cat-1、Cat-M1、NB-IoTのうち、実は前者2つはVoLTE通話にも対応する。また、Cat-1の通信速度は下りが10Mbps、上りが5Mbpsとなっている。

 すぐに使えて、VoLTEも使えて、通信速度もそこそこという点においては、Cat-1を採用するのが現実的だと思われる。

 もちろんバッテリー寿命も「Cat-4に比べれば、Cat-1は圧倒的に省電力なのは間違いない」(国内キャリア関係者)ということで、スマートウォッチにぴったりだと言える。

 あとは、ひとつの電話番号にかかってきた通話をiPhoneとApple Watchの両方で受けられるようにするのが課題だろう。このあたりは、すでに米国・T-Mobileが「DIGITS」という名称でサービス提供を始めている。DIGITSは、かつてNTTドコモがやっていた「2 in 1」のように、ひとつのデバイスに複数の電話番号を使えるようするだけでなく、一つの電話番号を複数のデバイスで利用できるようにするサービスだ。

 日本のキャリアも、Apple WatchのLTE対応によって、DIGITSのようなサービスに対応せざるを得なくなってくるのかもしれない。

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