格安SIMと「Jアラート」&セルラー版「Apple Watch」の関係/DSDSの仕組みIIJmio meeting 17(3/3 ページ)

» 2017年10月25日 12時02分 公開
[房野麻子ITmedia]
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DSDS端末はどうやって着信しているのか

 最後のトークセッションでは、MVNO技術開発部 エンジニアの木野純武氏が「DSDSと着信シーケンスについて」と題してDSDSの技術仕様を解説した。

 「DSDS」は、2枚のSIMを挿して、2枚同時待受できることを表す「Dual SIM-Dual Standby」の略称だ。通信方式がSIMスロットごとに違っても、また通信事業者が異なっていても問題ない。ただ、多くの端末は片方のスロットがLTEに対応しても、もう片方は2Gまたは3Gしか使えないという、メインとサブがあるパターンになっている。

 DSDSのオフィシャルな定義は見当たらないそうだ。木野氏が調べたところ、GSMAのドキュメントにマルチSIMデバイスに関する要求事項(TS.37-Requirements for Multi SIM Devices)があり、それが定義らしきものとなる。この中に「Passive」「DSDS」「DSDA」という3つの説明があるという。

 Passiveは、SIMを2枚挿して使えるが、端末が一度に認識しているのは片方のSIMのみ。DSDSと表現を合わせると「“DSSS=Dual SIM-Single Standby”という言い方になる」(木野氏)。DSDA(Dual SIM-Dual Active)は、物理的に2枚以上のSIMを挿せる端末で、それぞれのSIMが独立して通信する。この場合は、無線機能部分(RF部)をSIMの数だけ搭載しなくてはならない。バッテリーもその分、たくさん消費する。

 また木野氏は、直近のMWC上海で、QualcommとMediaTekがDSDV(Dual SIM-Dual VoLTE)に対応した端末を発表していることも紹介。これは両方ともVoLTEで待受できる端末で、仕組みとしてはDSDSの派生型といえる。

IIJmio meeting17 「Passive」「DSDS」「DSDA」3つの機能を図解

着信のキーとなるのは「位置登録」と「着信確認」

 DSDS端末が両方のSIMカードで着信できるのは、ネットワークへの「位置登録(Attach、在圏登録とも呼ばれる)」と端末の「着信確認」がキーになる。位置登録はSIMがどの辺にいるかをネットワークが把握すること。端末が自分の位置をネットワークに教え、識別子をもらう動作だ。DSDS端末では、この動作を両方のSIMが行う。

 位置登録は、2Gや3Gの回線交換用のLocation Area、2Gや3Gのパケット交換用のRouting Area、LTEの用のTracking Areaのそれぞれで行われる。

 端末が行う着信確認は、SIMに書き込まれた加入者を識別する「IMSI」でタイミングが異なっているという。メインSIMが通信していても、サブSIMの着信確認タイミングの際にはRF部が切り替わって、着信を通知するための制御信号「Paging(ページング、報知情報)」の有無を確認する。メインSIMとサブSIMで確認のタイミングは基本的に被らない。

IIJmio meeting17 2つのSIMはネットワークに位置登録し、Pagingの有無を確認する(着信確認)
IIJmio meeting17 着信確認はわずかな時間、RF部を切り替えて行っている

 端末の電源をオンにし、端末がネットワークに位置登録する際には、CSドメイン(回線交換、音声通話の着信)とPSドメイン(パケット通信の着信)でそれぞれ位置登録を行っており、着信もCSドメインとPSドメインで別々に行われている。端末の位置が変わると、位置更新(Location Update)が行われ、識別子も再割り当てられる。

IIJmio meeting17 音声通話とパケット通信の両方で着信が管理されており、位置登録も両方で行う

 DSDS端末は、この位置登録をメインSIMとサブSIMのそれぞれで行っている。そのため、着信も別々に来ることになるわけだ。Pagingの送信には専用のチャネルが設けられているが、これはどの端末も必ずチェックするようになっていて、自分宛てのPagingを受信したときが着信となる。

 ただ、端末がチャネルをずっと監視しているとバッテリー消費が激しくなるので、決まったタイミングに、わずかな時間だけ待機から起きて確認すればいいようになっている。それが「DRX(Discontinuous Reception)」という技術だ。DSDS端末は、それぞれのSIMの着信タイミングの確認のときにRF部を動作させ、自分宛ての着信だと分かった時点でRF部が切り替わるという。

IIJmio meeting17 決められたタイミングのときだけ着信確認を行うDRX技術
IIJmio meeting17 着信確認のタイミングはSIM内のIMSI(International Mobile Subscriber Identity)で決まる
IIJmio meeting17 位置登録と着信までのポイントまとめ
IIJmio meeting17
IIJmio meeting17 DSDS端末で、サブSIMに着信して終話するまでの流れ

 回線を使い分けて通信料金を安くするという使い方が想定されたDSDS端末は、自社の回線だけを使ってもらいたい大手キャリアには相性の悪い端末だが、「SIMを挿す場所が増えることになり、MVNOの利用機会を増やすチャンスでもある」(木野氏)。

 一方、DSDS端末が増えたことによって、サポートのために特徴を把握することも必要になった。「SIMロックフリースマホでDSDS端末は普通のものになり、さらに多くの端末が投入される。情報収集し、ベンダーさんとも協力して不明な動作を検証するなど、調査と協力、サポートを進めたい」と木野氏は語った。

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