既報のとおり、サンフランシスコで開催されているWorldwide Developers Conference 2009(WWDC 2009)の基調講演で、「MacBook Pro」の新しいラインアップが披露された。従来13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載するアルミユニボディの「MacBook」はMacBook Proシリーズに組み入れられ、今後は13インチ/15インチ/17インチの3ラインで展開する。さっそく13インチMacBook Proを入手したので、まずは外観から見ていこう。
この新しい13インチMacBook Proを特徴づけているのは、17インチモデルで初めて採用された本体一体型の大容量バッテリーと、色域を広げた新型バックライトLEDディスプレイ、そして13万4800円まで引き下げた価格だ(2008年10月発売の「MacBook MB466J/A」と比べても1万4000円ほど安い)。また、インタフェースでは、SDメモリーカードスロットとFireWire 800が新設され、MacBookでは最上位モデルのみだったバックライトキーボードも標準装備となっている。細かいところでは、最大メモリ搭載量が4Gバイトから8Gバイトに拡大し、CTOオプションで500GバイトHDDまたは256GバイトSSDが選択可能になったのもトピックだ。
MacBookとMacBook Proは、アルミユニボディを採用したラインアップのころから、液晶画面のサイズを除くとすでに差別化は難しくなっていた印象だが、ここで完全に統合された形だ。逆に言えば、外付けGPUオプションや非光沢パネルの選択肢がなく、基本システムがMacBookとほぼ同じモデルをMacBook Proと呼ぶことに違和感を覚える人もいるかもしれない。
6月11日にアップルが実施した国内向け説明会では、今回の13インチモデルを「価格面も含めてMacBook Proユーザーの裾野を広げるため」と語り、SDメモリーカードスロットの搭載もその1つだと説明している。一方、MacBookで省かれていたFireWireは、ユーザーニーズに押される形で復活した。なお、同説明会の内容はWWDC 2009での発表とほぼ同じだったので、詳細については「Macを未来へと前進させる低価格化戦略」を、細かいスペックや価格については「13インチMacBook Proが登場、SDスロットがついて7時間駆動に」を参照してほしい。
13インチMacBook Proは、1280×800ドット表示に対応した13.3型ワイドパネル(TN方式)を搭載する。パネルのスペックは、視野角が左右140度/上下120度で、コントラスト比が700:1だ。従来に比べて「色域が60%拡大」したというが、実際はどの程度の違いがあるのだろうか。アルミユニボディのMacBook(MB467J/A)と比較してみた。どちらも画面輝度を最大に固定し、色の変化を見るために、Mac標準の壁紙から3種類のサンプルを選んで撮影した。
写真を見れば分かるように、新型液晶を搭載するMacBook Proのほうが発色がよく、彩度とコントラストが高いメリハリのある表示だ。花はより鮮やかに、宇宙に浮かぶ地球はより青く、黒も締まっている。また、画面を斜めから見たときのコントラストや色度の変化もMacBookより少なくなった。デジタルカメラで撮影した写真などを閲覧するときは、新型液晶ディスプレイで表示したほうが気分はよさそうだ。一方、外光の映り込み具合はどちらも同じで、はっきりと映り込みが見られる。気になる人はアンチグレアフィルムで対処するしかないだろう(幸いMacBookとフィルムのサイズは完全に同じだ)。
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