「Wind Netbook U115 Hybrid」のたぐいまれなるバッテリー駆動時間を調べた(2/2 ページ)

» 2009年08月14日 17時00分 公開
[芝田隆広(撮影:矢野渉),ITmedia]
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Atom Z530とUS15Wで性能はU100とどれだけ変わる?

PCMark05 Cドライブ(SSD) Dドライブ(HDD)
PCMark 1372 1188
CPU 1466 1465
Memory 2269 2270
Graphics 257 258
HDD 8415 4201

PCMark05 HDD Cドライブ(SSD) Dドライブ(HDD)
XP Startup 19.486 7.035
Application Loading 22.125 6.005
General Usage 15.094 4.615
Virus Scan 62.805 60.148
File Write 42.499 45.917

CrystaDiskMark 2.2(リード テスト回数:5 テストサイズ:100Mバイト) Cドライブ(SSD) Dドライブ(HDD)
Sequential Read 72.356 67.858
Sequential Write 21.428 58.555
Random Read 512KB 71.296 34.498
Random Write 512KB 15.368 29.621
Random Read 4KB 9.319 0.587
Random Write 4KB 0.368 1.939

Windows XPの起動と終了時間 5回測定平均(秒)
起動(ようこそ画面まで) 24.75
起動(タスクトレイ表示まで) 33.95
休止状態への移行 15.54
休止状態からの復帰 20.06
スタンバイへ移行 3.46
スタンバイからの復帰 4.41
シャットダウン 13.47

 U115 HybridはWind Netbook Uシリーズで唯一のAtom Z+US15W搭載モデルとなる。そのため、ほかのUシリーズとの性能差が気になるところだ。そのあたりの検証のために、いくつかのベンチマークテストを実行してみた。

 「PCMark05」のCPUスコアは、Atom Z530搭載ノートPCとして標準的な値といえる。注目したいのが、「HDD」の結果だ。テストでは、対象のドライブをSSDのCドライブとHDDのDドライブのそれぞれで測定したが、OSをインストールしているSSDが、HDDの2倍程度の結果を示した。PCMark05 HDDテストに含まれる個別テストの結果も同様だが、特に「Application Loading」テストでSSDとHDDにおける速度の違いが確認できた。

 ディスク速度を調べる「CrystalDiskMark 2.2」(ひよひよ氏作)も測定してみたが、「Random Read」でSSDがHDDを大きく上回る一方で、「Sequential Read」や「Random Write」といった書き込み関連テストではHDDが高速であった。もっとも、U115 Hybridでは、CドライブにアサインされたSSDはOS領域として運用されるので、大容量データの書き込みはそれほど行われない。そのようなファイルはDドライブ(HDD)に格納していくことになるので、CrystalDiskMark 2.2で示された傾向は、U115 Hybridでほとんど問題にならないと考えていい。

 また、Windowsの各種動作にかかる時間も計測してみた。Windowsの起動についてはSSDを利用しているだけあって高速だ。

 なお、グラフィックスの性能を検証するために「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」(FFBench3)を試してみたが、Lowで531、Highで345と結果は低い値にとどまった。Atom ZシリーズとUS15Wを搭載するノートPCでこれまでも言われてきたことだが、やはり、U115 Hybridでも3Dゲームをプレイするのは現実的でない。

「ECOon」モードで10時間を超えるバッテリー駆動を実現

 MSIは、U115 Hybridの大きな特徴として、バッテリーが非常に長持ちする点を強く訴求している。U115 Hybridは、SSDとHDDを搭載するが、長時間駆動させたいユーザーのために、一時的にHDDの電源をオフにできる「ECOonモード」を用意している。この機能を有効にすると、メーカー公称値で約14.1時間の連続駆動が可能となる。

ACアダプタを外した状態でFnキー+F10キーを押すとこのようなメッセージが表示される。ここで「Yes」をクリックすると、マシンが「ECO mode」に移行してHDDの電源がオフになる(写真=左)。HDDの電源がオフになるとそのことを示すアイコンが表示される(写真=右)。そのほか、電源インジケータも通常の青から緑に変わる。ECOonモードになると、マイコンピュータからHDDドライブのアイコンがなくなり、HDDに保存したファイルにはアクセスできなくなるので注意したい。なお、無線LANやBluetoothのオン/オフ、液晶輝度変更、ボリューム変更も同様にマークが表示される。マシンの状況を一目で確認できて便利だ

 ECOonモードにおけるバッテリー駆動時間を「BBench 1.01」(海人氏作)を使って検証してみた。なお、測定は通常モードとECOonモードで行っているが、通常モードでは、HDDの電源をオンにしたまま、液晶ディスプレイの輝度を最大に、音量は最大値の半分にしている。ECOonモードでは、HDDの電源がオフになるが、それとともに、液晶ディスプレイの輝度を最大値の3分の1に設定した。なお、Bluetoothと無線LANはどちらのモードでも有効にしている。また、BBenchでは、10秒おきにキーボード押下、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるインターネット巡回(10サイト)を行う設定にした。

バッテリー駆動時間(BBench)
通常時 6時間37分32秒
ECOonモード時 12時間21分15秒

 ベンチマークの結果を見ると、通常時でも6時間37分32秒、ECOonモード時は12時間を超えるなど、長時間のバッテリー駆動が可能であることが確認できた。測定条件で、Bluetoothをオフにしたり液晶ディスプレイの輝度をもっと抑えれば、公称値の14.1時間に近い駆動時間が得られるだろう。なお、HDDをオフにしている間は、そこに保存されているデータを参照できないが、例えば、出先でWebページを閲覧したり、SSDにおいたテキストファイルを編集するといった用途であれば、Cドライブだけでも運用は可能だ。

Hybridもさることながら、長時間使える利便性にも注目したい

U115 Hybridに付属するACアダプタは小型軽量だが、コードが太くて扱いにくいのが難点(写真=)

 U115 Hybridの重量は約1.32キロと、Netbookとしては平均的で、常時持ち歩くことも十分可能だ。ACアダプタも実測で約95(幅)×40(奥行き)×28(高さ)ミリと小さい。重量はACアダプタと電源コードを合わせて約350グラムになる。ただ、ACアダプタから電源につなぐコードが太いのが気になる。太いだけに束ねるとかさばるのが難点だ。U115 Hybridがコンパクトなマシンなので、一緒に持ち歩く機会のあるACコードにも考慮してほしかったところだ。

 ここまで見てきたとおり、U115 Hybridは軽量コンパクトなボディにSSDとHDDを搭載して、それぞれの特性をうまく利用することで、さほど速いとはいえないCPUパワーをカバーしている。ただ、それ以上に、HDDをオフにすることで10時間以上のバッテリー駆動が可能なことにも注目したい。

 ACアダプタを持ち歩かなくてもバッテリー駆動時間に不安がない軽量小型PCが必要なユーザーにとって、U115 Hybridは、性能に対する要求が厳しくなければ、ベストに近い選択肢となるはずだ。

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