Snow Leopardで、アイコンもアプリケーションの内容も大きく変わったのがQuickTime Xだ。ムービーを開くと現れるウィンドウは黒い目立たないタイトルバーだけの表示で、再生するコンテンツに集中して楽しめる、視聴をじゃましないデザインに改善された。再生制御もウィンドウの中に重ね合わせて表示され、クリック後しばらくすると自然にフェードアウトする。さまざまな動画再生ソフトの中でも、最も優美な操作画面の1つではないだろうか。
それでいて機能も強化されており、これまでQuickTime Proの有料ライセンスを買わなければできなかったムービーの編集も可能になった。QuickTime Proのような細かな編集はできないが、ムービーの前後の部分をカットするトリミング編集の機能が加わっている。iPhone 3GSの機能にそっくりの誰でも直感的に操作できるUIだ。さらに編集したムービーをiTunes、MobileMe、YouTubeの3つに、簡単に共有(書き出し)できる機能も追加されている。
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すべての人の100%のニーズに応えるようとするのではなく、80%くらいの人(あるいは80%くらいの用途)に対して、質の高い満足度を与えるのがアップルのアプローチだ。QuickTime Xでは細かな編集はできなくなったが、おそらくQuickTime Playerを見直していたチームで、これまでのQuickTime Playerの高度な編集をするには、専用のビデオ編集ソフトを使ってもらったほうが高い満足度が得られる、という結果になったのだろう。
ちなみにQuickTime Xならではの新機能もある。「新規画面収録」という画面の録画機能で、この機能を使えば、例えば「Macのここの操作が分からない」といった時に、実際に声で解説をしながら操作画面を録画して、Macに詳しいエクスパートにメールで送る、といった視覚コミュニケーションも可能になる。
2009年は、この「Mac OS X v10.6“Snow Leopard”」だけでなく、Windowsでも「Windows 7」という新OSがリリースされる。どちらのOSもメジャーアップデートでありながら、「洗練」をテーマにしているのはおもしろい共通点だ。ただし、Windows 7がAero PeekやAero Snap、Aero Shakeといった目を引く新機能を搭載し、数々のデザイン変更を行っている中、アップルがまったく正反対のアプローチをとっている点に注目しておこう。方向性の違う2つのアプローチのうちどちらがよかったのかは、いずれOS移行率という数値として現れることだろう。
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