10万円を切る価格で“Pro”の特徴を持つ新型「MacBook」MacBook担当者インタビュー(1/2 ページ)

» 2009年10月28日 12時03分 公開
[林信行,ITmedia]

MacBook Proの特徴をより手頃な価格で

 Windows 7の発売直前のタイミングでアップルが年末商戦向けラインアップを発表した。注目は新型の「iMac」と「MacBook」。まずはポリカーボネートのユニボディに生まれ変わった新型MacBookについて、同社ノート型製品担当プロダクトマーケティングマネージャーのセリーナ・チェン氏に話を聞いた。

新型MacBook

チェン 前シーズンのMacは1四半期で300万台を売るベストセラーの商品群でした。我々は先週、そのラインアップのうち「MacBook」と「Mac mini」、そして「iMac」をリニューアルし、さらに魅力的なラインアップへと進化させました。まず最初に、私が新しいノート型製品のラインアップについて紹介しましょう。

 我々のノート型製品のラインアップは、手頃な価格が魅力のMacBook、高性能と画面サイズのバリエーションが魅力のMacBook Pro、そして薄型軽量のMacBook Airと、基本的に3つの商品で構成されています。今回はそのうち、手頃な価格が魅力のMacBookをリニューアルしました。

初代MacBook。カラバリに黒があった

 MacBookは元々、2006年5月に誕生した商品でした。この商品は一般のコンシューマー、学生、そしてMacを初めて使う人たちの間で非常に高い人気を誇っていました。実際、この商品は歴代のMacの中でも最も多く売れた商品となっています。友達や家族にMacを勧める人たちが「まずはこれから試してみるといい」と紹介しやすいMacとしても人気がありました。

 我々は次の世代のMacBookをデザインするにあたって、上位製品であるMacBook Proを際立たせているいくつかの特徴に目を向けました。MacBook Proの1つ目の特徴は、精密な一体成形加工による「ユニボディ」の筐体デザイン、2つめは高輝度高精細のLEDバックライトのディスプレイ、3つめは非常にアップルらしい革新性の象徴でもあるガラス素材を使ったマルチタッチのトラックパッド、そして4つ目は7時間の一体型バッテリーです。

 我々はこれら4つのデザインや技術的な特徴に目を向け、それらを最も手頃な商品であるMacBookにも取り込みました。こうして誕生したのが新しいMacBookです。

ユニボディで実現した美しい輪郭

――なるほど、それぞれの特徴についてもう少し詳しく聞かせてもらえますか。

一体成形のユニボディデザインを採用

チェン 同製品を見て最初に気づくのがポリカーボネート素材によるユニボディの筐体です。この筐体は見た目にも大変美しく、それでいて非常に頑丈になっています。

 ユニボディ化したことで、製品のエッジに向けての輪郭はより丸みを帯びた美しい曲線を描き、手でホールドしたときの感触も素晴らしいものになっています。この丸みを帯びた輪郭のおかげで、鞄への出し入れもより簡単になり、デスクに置かれたMacBookの下に指を回り込ませて持ち上げるといった、ちょっとした行為も非常に簡単にできるのです。

 さらにそのようにして製品の端っこを掴んで本体を持ち上げるときに、ユニボディ筐体ならではのモノとしての一体感、頑丈さといったものが手の感触としても感じられるはずです。

エッジに向けた輪郭がより丸みを帯びている

――製品の頑丈さについて、何か数値的な指標や目標と言ったものはあったのでしょうか。

チェン 具体的な数値目標があったかどうかについては公表していませんが、製品を作るとき、既存のアルミベースのユニボディ筐体やMacBookの競合となる商品の筐体の強度は参考にしています。

 商品を落としたり、端っこをつかんで持つことによるねじれといった観点で強度を計り、他社競合商品に負けない頑丈さを持つように注意しました。実際、最終的なMacBookは、アルミのユニボディ筐体を採用したMacBook Proとほぼ同レベルの頑丈さを達成しています。

1280×800ドット表示のLEDバックライト液晶を搭載

チェン 新しいMacBookは、これに加えてLEDのバックライトディスプレイも採用しました。LEDバックライト液晶は、これまでの液晶と比べて、非常にエネルギー効率が高くバッテリー動作時間の延命にもつながっています。

 もう1つの特徴は画面が瞬時に明るくなることでしょう。閉じた状態のMacBookを開くと、すぐに高輝度高精細な美しい映像が表示されるのです。解像度は従来通り1280×800ドット。これは画面上の情報の読みやすさの点でも、高い携帯性を実現するうえでも完璧なバランスを実現する解像度です。

人それぞれの操作ができるマルチタッチトラックパッド

チェン 新MacBookの、もう1つの新しい特徴がガラス製のマルチタッチトラックパッドです。我々はこれを極めてアップルらしいイノベーションの1つと捉えています。非常にシンプルな製品デザインの「解」であり、そのシンプルさゆえにより多くの可能性を生み出しているからです。

 新型トラックパッドの下にはボタンがなく、トラックパッドそのものがボタンになっていて、パッドのどの部分でも押すことができます。利き手にあわせて、パッドの右下端あるいは左下端を押すことで右ボタンの操作をすることもできれば、マルチタッチのジェスチャーを使って、2本の指で押したときに右ボタンの操作をさせることもできます。

 また、2本指を使ってカーソル下のウィンドウをスクロールさせたり、書類やWebブラウザの表示時に、ピンチイン・アウトによる拡大縮小や回転のジェスチャーを使うこともできます。

ガラス製トラックパッドを採用。さまざまなマルチタッチ操作を行える

――私は古くからノート型Macを使っていたので、ガラス製トラックパッドに変わってからも、パッドの底辺、元々トラックパッドのボタンがあったあたりを押して使っています。驚いたのが、それ以前のボタン付きトラックパッドの操作とまったく違和感がなく利用でき、最初はボタンが消えたことにも気がつかなかったことでした。

 ただ、そもそもトラックパッドを使ったことがない人の場合は、どのような使い方をするのが理想なんでしょう。

チェン ガラス製マルチタッチトラックパッドがめざしたゴールは、最も直感的かつシンプルな操作方法を提供し、それによってより多くの操作の可能性を提供することでした。

 我々は開発中から多くのユーザーにテストしてもらっていますが、右利きの人なら右側の下の方を、左利きなら左側の下の方をクリックすることが多いといった傾向はあるものの、手が小さいのでパッドの真ん中あたりを押している人も大勢見かけました。またキーボードの上段で操作をしているために真ん中当たりを押している、というケースもよく目にしました。

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