モバイル向け新Core iシリーズのCPU性能をじっくり調べてみた「VAIO F」2010年春モデル3台で検証(2/4 ページ)

» 2010年01月20日 11時20分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

GMA 4500MHDをパワーアップした「Intel HD Graphics」

モバイル向け新Core iシリーズ(Arrandale)システムのブロック図。デスクトップ向け新Core iシリーズ(Clarkdale)と異なり、PCI Express x16と排他でDisplayPortの直接出力(eDP:Enbedded DisplayPort)が行える。液晶ディスプレイ向けのLVDS出力に対応するのもモバイル向けチップセットのみの機能だ

 一方、GPUダイは従来の45ナノメートルプロセスルールで製造されており、メモリコントローラやPCI ExpressコントローラもこのGPUダイに統合されている。

 GPUコアは「Intel HD Graphics」と名付けられており、従来のIntel GM45 Express系チップセットに内蔵されていたGPUコア「Intel GMA 4500MHD」をベースに改良を加えたものだ。描画処理を行うシェーダが10基から12基へと増えているほか、2ストリームの同時デコードへの対応などが加わり、3D描画性能、動画再生機能ともにパワーアップした。なお、GPUコアの動作クロックはモデルよって異なるが、CPUコア同様にTBにより、温度や負荷状況に応じて自動的に動作クロックが可変する。

 GPUダイに統合されているメモリコントローラはDDR3-1066(PC3-8500)のデュアルチャンネルアクセスに対応し、メモリ帯域は超低電圧版ではDDR3-800(PC3-6400)までの対応にとどまる。グラフィックスインタフェースとしてPCI Express 2.0コントローラ(16レーン対応)も統合しており、別途外部GPUを接続することも可能だ。

 内蔵GPUの出力は、通常はFDI(Intel Flexible Display Interface)というインタフェースからチップセットに送られて出力されるが、デスクトップ向けの新Core iシリーズ(Clarkdale)にはないモバイル向け新Core iシリーズ(Arrandale)のみの機能として、PCI Express x16レーンの代わりに、DisplayPort出力を(FDIとチップセットを経由せず)直接行う機能(eDP:Enbedded DisplayPort)も用意されている。

 将来的にノートPC内蔵液晶ディスプレイのDisplayPortによる接続、および液晶の直接駆動が可能となった場合にこれを利用すれば、大幅なチップ削減が可能となる。この場合にはPCI Express x16は無効となり、代わりにDisplayPortとPCI Express x1が有効化される。

Intel G45/GM45 Express内蔵グラフィックスコア「Intel GMA 4500MHD」と新Core iシリーズ(Arrandale)内蔵グラフィックスコア「Intel HD Graphics」の機能比較。デュアルストリームのビデオデコードへの対応や、シェーダ(EUs)の10基から12基への増加、階層Zバッファ/高速Zバッファクリア、Windows 7への最適化など、動画機能、3D描画機能ともにパワーアップした

ディスプレイ出力インタフェースを備えた最新チップセット

 新Core iシリーズ(Arrandale)に合わせて、企業向けのIntel QM57 Express/Intel QS57 Express、コンシューマー向けのIntel HM57 Express/Intel HM55 Expressと合計4種類のチップセットもリリースされている。

 新Core iシリーズ(Arrandale)では、従来のCore 2システムにおいてチップセットのノースブリッジが扱っていた、メモリコントローラ、GPUコア、外部グラフィックスインタフェース(PCI Expressコントローラ)といった機能がすべてCPUに統合された。

 そのため、チップセットといっても実質的にはCore 2システムのサウスブリッジにあたるICH(I/O Controller Hub)に近い機能を備えた、ワンチップのPCH(Platform Controller Hub)で構成され、CPUとは2Gバイト/秒の帯域を持つDMI(Direct Media Interconnect)で接続される。

新Core iシリーズと組み合わされるチップセットのPCHは、左の通常版と右のSSF(Small Form Factor)版が用意されている
左に新Core iシリーズ、右にSFF版PHCのBGAパッケージを並べたイメージ。SSF版のPHCはモバイルノートPC向けだ

 モバイルCore i7(Clarksfield)とともにリリースされたPM55、ICH9Mも含め、基本的な機能の違いは下図と下表を見てもらいたい。表ではQM57とQS57がまったく同じ機能を持つが、クアッドコアのCore i7(Clarksfield)に対応する前者に対し、対応しない後者という関係となっている。

 これら新チップセットに共通する特徴は、CPUに統合されたGPUからのディスプレイ出力を受け取るインタフェース(Intel FDI)と、それを実際にディスプレイに出力するインタフェースを持っていることだ。

 ノートPCの液晶ディスプレイはLVDSのインタフェースで出力されるが、これはCPUから直接出力されるのではなく、FDIを経由してチップセットから出力される。FDIはDisplayPortのプロトコルをベースにしたものだが、D/A変換が必要なアナログRGB出力や、HDMIやDVIなど信号振幅の大きなデジタル出力方式にも対応させるため、このようなシステムとなっている。

 ちなみに、LVDS出力のサポートはモバイル向けチップセットのみで、デスクトップ向けのH57/H55では省かれている。CPUに統合されたGPU機能を使わないならば、ディスプレイ出力機能は不要なため、FDIを搭載していないPM55と新Core iシリーズ(Arrandale)の組み合わせでも利用可能だ。

新Core iシリーズ(Arrandale)とともに発表された新チップセットと、従来のPM55チップセットとの機能比較。これだけではQM57とQS57の区別がつかないが、既存のクアッドコアCore i7(Clarksfield)に対応するQM57に対し、対応しないQS57という関係のようだ。「Graphics Support with PAVP 1.5」のPAVPとは「Protected Audio Video Path」の略。Blu-ray Discタイトルなど著作権保護されたコンテンツのデジタル出力をサポートした映像/音声出力機能を示す
Core 2シリーズ(Penryn)世代から、新Core iシリーズ(Arrandale)世代へのプラットフォームアーキテクチャの進化を示すブロック図。新Core iシリーズ(Arrandale)はメモリコントローラに加えて、グラフィックスインタフェースとGPUコアも統合しているため、従来のチップセットのノースブリッジにあたる部分が不要となり、従来の3チップソリューションから、CPU+1チップの2チップソリューションへと変化している

モバイル向けチップセットの仕様
モデル名 QM57/QS57 HM57 HM55 PM55 ICH9M
FDIサポート
ディスプレイ出力 LVDS、CRT、DisplayPort、DVI、HDMI、SVDO LVDS、CRT、DisplayPort、DVI、HDMI、SVDO LVDS、CRT、DisplayPort、DVI、HDMI、SVDO
USB 2.0 14ポート 14ポート 12ポート 14ポート 12ポート
Serial ATA(3Gbps) 6ポート 6ポート 6ポート 6ポート 6ポート
AHCIサポート
RAID 0/1/5/10サポート
PCI Express 8レーン(2.5GT/秒) 8レーン(2.5GT/秒) 6レーン(2.5GT/秒) 8レーン(2.5GT/秒) 6レーン(2.5GT/秒)
Intel AMT
TDP 3.5W 3.5W 3.5W 3.5W 2.5W

システムレベルでの消費電力はCore 2 Duo世代より低い

 消費電力も気になるところだ。各モデルのTDP(熱設計消費電力)は最初の表にも掲載しているが、通常電圧版が35ワット、低電圧版が25ワット、超低電圧版が18ワットとなっている。Core 2 Duo(Penryn)では低電圧版が17ワット、超低電圧版が10ワットだったので一見、上昇しているようだが、新Core iシリーズ(Arrandale)のTDPは、CPUだけでなくGPU、メモリコントローラ、PCI Expressコントローラも含めたTDPである点がポイントだ。

 CPU統合のGPU機能を利用するならば、CPUとワンチップ構成チップセットの2チップですみ、そのぶんシステムトータルでのTDPは低くなる。例えば、CULVノートPCでもおなじみのCore 2 Duo SU9400のシステムは、チップセットのGS45+ICH9M-SFFを加えたTDPが24.5ワットになるのに対し、Core i7-640UMならば、HM57(HM55)チップセットを加えるだけで同等機能のシステムとなり、合計のTDPも21.5ワットと低くなる。別表にいくつか代表的な構成例のTDPの合計値をまとめたので、参考にしてほしい。

主な構成別のシステム合計TDP
CPU+チップセット+GPUの構成 CPU チップセット(ノースブリッジ) サウスブリッジ 外部GPU 合計
Core i7-820QM+PM55+GeForce GT 230M 45W 3.5W 0W 23W 71.5W
Core i7-620M+HM55 35W 3.5W 0W 0W 38.5W
Core i5-540M+HM57+GeForce G210M 35W 3.5W 0W 14W 52.5W
Core i5-540M+HM55 35W 3.5W 0W 0W 38.5W
Core i7-640UM+HM57 18W 3.5W 0W 0W 21.5W
Core 2 Extreme QX9300+PM45+ICH9M+GeForce GT 230M 45W 7W 2.5W 23W 77.5W
Core 2 Duo T9900+PM45+ICH9M+GeForce GT 230M 35W 7W 2.5W 23W 67.5W
Core 2 Duo P8800+PM45+ICH9M+GeForce G210M 25W 7W 2.5W 14W 48.5W
Core 2 Duo P8800+GM45+ICH9M 25W 12W 2.5W 0W 39.5W
Core 2 Duo SU9400+GS45+ICH9M-SFF 10W 12W 2.5W 0W 24.5W

Sony Style(ソニースタイル)

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