ここからはPC USER恒例のベンチマークテストでパフォーマンスを見ていこう。まずWindowsエクスペリエンスインデックスだが、HDDスコアが「7.1」を獲得しており、SSDの優秀さが目を引く。一方でグラフィックス関連のスコアが低いが、これはIntel GS45 Expressチップセット内蔵のIntel GMA 4500MHDを利用している製品に共通するところである。もっとも、Windows 7の操作感はスコア以上に快適な印象だ。
SSDの読み書き速度については、CrystalDiskMark 2.2(ひよひよ氏作)も実行して調べてみた。結果はシーケンシャルリードで200Mバイト/秒を超えているほか、ランダムライト4Kを含むライト性能も申し分なく、最近のSSDとしてもかなり高いレベルのパフォーマンスを持っていることが分かる。
PCMark05やPCMark VantageのHDDスコアにもSSDの高性能は反映されている。PCMark Vantageではストレージ性能がほかの項目にも大きく影響するため、Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)搭載機としては全体的に良好なスコアをマークした。一方、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアを見ても分かるように、3D描画性能は低調だ。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench1.01(海人氏作)で行った。無線LANで常時接続し、BBenchの設定はデフォルトの「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」および「10秒間隔でのキーストローク」としている。電源プランはデフォルトの「バランス」(バッテリー駆動時のディスプレイ輝度40%)をそのまま利用した。結果は1時間45分とモバイルPCとしてはかなり物足りない駆動時間だった。ACアダプタが使えない環境で利用する場合、拡張バッテリーを利用したほうがよさそうだ。
静音性に関しては非常に優秀だ。騒音は暗騒音32デシベルの環境で本体前面から約5センチの距離で測定したが、低負荷時でも高負荷時でも無音に近い動作音だった。排気口に耳を近づけてもはっきりとした風切り音はせず、ジリジリとしたモーター音のような音が少し聞こえる程度だった。
また、発熱はボディの奥側が中心で、パームレストやキーボードなどにはあまり熱が伝わってこない。室温22度の環境で測定したPCMark05/3DMark06終了後の温度は、排気口のある底面左奥で43度まで上がったが、パームレストは左側が31度、右側が33度と、右が少しじんわりと温かくなる程度だった。
Adamo XPSの使い勝手や性能、静音性などについて見てきたが、実用性という面でもかなりの仕上がりだ。メモリカードスロットがないことや標準バッテリーでの駆動時間が短いことはマイナスではあるが、Windows 7を利用するうえで性能面のストレスはまったくないし、静音性にも優れている。これだけの圧倒的な薄型ボディにもかかわらず、入力環境の面でそのハンディをほとんど感じさせないのは立派だ。
デザインと実用性を両立するために端子類をキーボード部ではなく液晶ディスプレイ部に搭載した発想の転換や、感圧式のセンサーをなぞることでラッチのロックを外すなどの独創的なアイデアは敬服に値する。
高速なSSDの搭載による軽快な操作感や、唯一無二の存在感を誇るデザインの付加価値を考えると17万4000円という直販価格も決して高くなく、むしろ安いといえるだろう。
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