ラオスにITは、あるのか?ないのか?山谷剛史の「アジアン・アイティー」(3/3 ページ)

» 2011年03月18日 13時23分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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高価なものはオープンスペースの1階に

 ラオスの主要産業は農業で、ビエンチャンでも農業に従事する人が多い。ビエンチャンから車で15分も走れば道路は未舗装になる。知り合ったラオス人にビエンチャンで一般的な世帯を紹介してもらい、ビエンチャンに隣接する村の一軒家を訪問した。

 この村の住宅は、その多くが2階建てだが、1階は駐車場と土間の多目的スペースになっており、2階以上を住居として利用している。多くの家や商店でラジオと小さなブラウン管テレビを持っていて、農場で休憩に使う小屋には、ラジオやmp3プレーヤーがスピーカーと一緒に置かれていた。一部の世帯には、1階のオープンスペースにトヨタなどの“外車”が駐車してある。

 塀のような隣の家と隔てるものがないので、隣家の1階には簡単に“侵入”できるが、高級外車の防犯対策がまったくなされてないように、人々はお互いを信用して生活しているようだ。

ごく普通に見られるラオスの郊外にある集落(写真=左)。隣の家との境は不明瞭(写真=右)

 食事になると、オープンスペースに家族が集まり、隣の家族と一緒にラオスの総菜ともち米のおにぎりを食べる。総菜も炊いたもち米も市場で買えるので、料理をする必要はない。これは、隣のタイでも同様で、聞くと両国で料理に興味を持たない人も多く、そのため、冷蔵庫や炊飯器を使う機会も少ないそうだ。

 先ほども紹介したように、住居の多くは1階がオープンスペースになっているが、みんなで食事をする1階にテレビがあり、冷蔵庫も炊飯器も1階だ。ついでにいえば、洗濯機も1階においてある。2階は広いワンルームとなっていて、壁に家族の写真やタイ、ラオスで人気のあるアイドルのポスターが貼ってあるが、家具は少なく、部屋の中はシンプルだ。

多くの家は1階を土間のオープンスペースにしているが、そこを家族が集まるリビングルームとして利用する(写真=左)。そして、2階はごくごくシンプルになっている(写真=右)

ラオスの一般的な食事風景(写真=左)。惣菜の多くは市場で購入する(写真=右)

 1階が土間のオープンスペースになっている理由は、浸水することが多いためだ。もちろん、1階の家電は防水仕様ではない。浸水が予想されたら、その場にいる家族総出で2階に運ぶ。そのため、炊飯器はもちろん、テレビや冷蔵庫も、持ち運べる小型の製品が選ばれるという。「軽い液晶テレビに買い換えないのですか?」と聞けば、「テレビが壊れたら修理屋で直す。完全に壊れるまで徹底的に使いますよ」との返事だった。ラオスでも民間の修理屋は頼りにされていて、製品の世代交代はなかなか進まないようだ。

 所得水準が低いラオスではPCを持つ世帯が少ない。しかし、携帯電話はほとんどの人が所有している。人気があるのは、チャットに便利なQWERTYキーボードを搭載したモデルだ。PCの個人所有が少ない国でよくあるように、ラオスでもインターネットカフェを利用するユーザーが多い。しかし、携帯電話やインターネットカフェなどから利用するインターネットサービスでは、隣国からの赤い影の影響に直面しているという。これらについては次回報告したい。

庶民の主要なITデバイスはQWERYキーを搭載したスマートフォン(写真=左)。洪水のときに2階へ避難できるように、白物家電は小型のものが選ばれる(写真=右)

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