ホーチミンシティでノートPCの売れ筋は“Core i3”搭載モデルで、1000万〜1500万ドンの価格帯に集中している。おっと、説明するのを忘れていた。ベトナムドンから日本円への換算は、右の“0”を3つとって、4をかければいい。ということで、日本円にすると「4〜6万円」の価格帯が人気となる。
物価が高いホーチミンシティでは、屋台のフォーやご飯物が2万5000ドン(約100円)程度で食べられるので、ノートPC購入費用はフォー400〜600杯分になる。日本人の経済感覚からすると、500円ランチが400回分というと20万円に相当するので、“Core i3”級CPUを搭載するノートPCとしては高いが、これでも、ベトナムの一般市民にPCがようやく手の届く存在になったところだ。
ベトナム南部のホーチミンシティに暮らす一般市民は、北のハノイ市民と比べて「高級志向」「ブランド志向」「貯金よりも有り金使いきり志向」「村社会ではなく自己主義」な傾向があると一般的にいわれている。
特に高級志向とブランド志向が消費行動に大きく影響するようで、ホーチミンシティ郊外の住宅地周辺にもPCショップのチェーン店舗が進出しているのに、「いいモノをいいところで買いたい」とわざわざ街の中心にある電脳街までやってきて、ランドマークとなっている“2軒の大型PCショップ”を目指すという。おかげで、それ以外の小規模PCショップや街の小さな家電屋さんに活気がない。ホーチミンシティの近隣にあるベトナム南部の地方都市にしても、人が集まるのは街一番の家電ショップやPCショップだ。
ホーチミンシティは、南北に長いベトナムを「北部」「中部」「南部」の3つに分けると南部に位置する。全ベトナムのGDPの半分以上をホーチミンシティを中心とする南部が占める。そのため、“チャイナ・プラス・ワン”の投資対象としてベトナムに日系企業が進出する場合、「拠点はホーチミンシティに」が定石となっている。
家電量販店の「Nguyen Kim」や人気が集中している大規模PCショップだけを見てベトナム経済の現状と認識するのは正確とはいえないが、PCバブルににぎわっていた日本を思い出させる“懐かしい秋葉原の風景”を見に行くだけためでも、ベトナム南部のホーチミンシティを訪れる意味は、ある。
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