COMPUTEX TAIPEI 2012で、IntelはクライアントPC事業を紹介する説明会を行い、ここでも基調講演と同様に“第2世代”Ultrabookのアピールに注力している。ステージには“第2世代”Ultrabookとして発表されたものや発表を控えたものを含む関連製品を50台以上も並べていた。
Ultrabookのコンセプトを提唱して発表されて1年が経つが、実際に製品が市場に投入したのはわずか半年前のことだ。「市場の評価はまだこれから」といったところだが、それでも製品はCPUの更新周期に合わせて進化を続けている。“Ivy Bridge”世代のCPUを搭載する“第2世代”のUltrabookでも、新しいCPUによるパフォーマンス向上や省電力だけでなく、USB 3.0とThunderboltへの対応やvProのサポートなど、機能面も強化している。また、基調講演と同様に、タッチ操作を可能にしたモデルが多いことも“第2世代”Ultrabookの特徴といえる。
「クラムシェル」と呼ぶ一般的なノートPCのデザインにおいても、タッチパネルを備えてWindows 8の操作が可能なほか、タブレットデバイスのようなスレートスタイルに変形できる「コンバーチブル」と呼ぶ形態の製品も数多く登場するなど、PCメーカー各社ごとに工夫をしている。台湾のPCベンダーでは、キーボード搭載ポートリプリケータを用意して、クラムシェルスタイルとスレートスタイルを切り替えるモデルも多い。
こうした中で、多くの来場者が注目したのが東芝のUltrabook2機種だ。1つはコンバーチブルなタイプで、もう1つが21:9のシネマスコープディスプレイを搭載した製品だ。コンバーチブルモデルは、クラムシェルスタイルとスレートスタイルを変形機構で切り替える製品だが、その変形機構は、クラムシェルスタイルの状態からディスプレイを背面に向かって開いていくと、本体手前にディスプレイがスライドしてきて最後にスレートスタイルになる。後者は通常のワイド画面である16:9や16:10ではなく、あえて21:9のシネマスコープとすることで、動画再生に適しているほか、表示できる情報量が横に広いというメリットもある。画一的なデザインになりがちなUltrabookで、ディスプレイのアスペクト比を変更するというアイデアに多くの来場者は注目した。
Ultrabookのデザインだけでなく、利用シーンに応じたさまざまな提案が行われた。Anti-Theftの盗難防止技術を紹介するデモでは、加速度センサーとスマートフォンを組み合わせた事例を紹介した。これは、連動したスマートフォンとUltrabookの組み合わせで、ユーザーがUltrabookを離れるとデスクトップ画面をロックし、その間に第三者がUltrabookを持ち去ろうと本体を動かすと本体からアラームが鳴り、ユーザーが持ち歩くスマートフォンでも警告を表示する仕掛けだ。
スマートフォンとの組み合わせでは、「Intel Wireless Charging」と呼ぶ技術も紹介した。名前だけを見ると「Ultrabookをワイヤレス充電する技術」のように思えるが、これは「Ultrabookを使ってスマートフォンをワイヤレス充電する技術」で、デモで使用したUltrabookの側面にワイヤレスチャージャーを内蔵し、その横にスマートフォンを置くだけでワイヤレス充電を行う。ただ、アイデアは面白いが、充電状態から少しでも位置がずれると充電状態を解除する可能性もあることを考えると、実用まではもう少し改善が必要かもしれない。
Ultrabookが主役のクライアントPC説明会だったが、液晶一体型PCも大きく取り上げられている。Lenovoのタッチパネル搭載モデル「IdeaCentre A720」では、ディスプレイを完全な水平にできる。テーブルのような状態で複数のユーザーが10点同時のタッチ操作ができるので、テーブルゲームや写真の閲覧を一緒に楽しむことができる。今後は、MicrosoftやIntelがタッチ操作を推進する影響で、タッチパネルを搭載する液晶一体型PCもバリエーションが増える可能性もある。リビングPCのスタイルとして多くのユーザーに認められる日は意外と近いかもしれない。
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