気になる価格は、店頭モデルが上位機から順に18万円前後、16万円前後、14万円前後だ(いずれも家電量販店の実売価格)。Microsoft Office Home and Business 2010の標準搭載もあり、際立って安価というわけではないが、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルは最もスペックを抑えた構成ならば、7万9800円からと一気に価格が下がる。
直販モデルでは、店頭モデルには存在しない上位のCore i7や512GバイトまでのSSDも選択可能なハードウェアスペックのカスタマイズはもちろん、オフィスアプリのMirosoft Office 2010シリーズを3種類から選べるうえ、アドビシステムズの「Adobe Creative Suite 6 Production Premium」付属モデルまで用意されるなど、通常のWindowsアプリも数多くの選択肢から好みの構成での購入が可能だ。
7万9800円の最小構成でも、20型ワイドのIPS液晶ディスプレイや静電容量式タッチパネル、内蔵バッテリー、64ビット版Windows 8といったVAIO Tap 20の核をなすコンポーネントは上位モデルと基本的に変わらないため、極力安価に購入するのも面白い。
VAIO Tap 20は、家庭向けPCをリビングへ持ち込むアプローチとして「テーブルトップスタイル」という形態を採ることができたほとんど初めてのPCだ。従来のPCの概念では想像もできなかった世界が開ける可能性を持っているが、これに魅力を感じるかどうかも、テーブルトップスタイルでの利用自体に価値を見いだせるかどうかにかかっている。
筆者は、このとき決め手となるポイントは2つあると考えている。1つは「同時に複数人で使うシーンが具体的に思い浮かぶか」ということ。テーブルトップスタイルは、目の前にいる人とのコミュニケーションツールとして、PCを使うための形態だからだ。
もう1つには「Windows 8のタッチUIに最適化されたアプリの充実ぶり」が挙げられる。ツールとしてのVAIO Tap 20と、OSとしてのWindows 8の相性に文句はないが、従来のクラシックなデスクトップアプリは、タッチ操作で使う積極的な意味があまりなく、VAIO Tap 20の強みが発揮されないからだ。
だからこそ、ソニー独自のタッチUI対応アプリの完成度が気になるところだが、Family Paintに加えて、Internet Explorer 10やBingの地図アプリを使うだけでも、その魅力は十分体感できたことは付記しておきたい。
家庭向けPCが担ってきた役割は、ワープロの代替をはじめ、年賀状や家計簿の作成といった「生産のための道具」に始まり、現在はSNSを通じて「ネットの向こう側にいる誰かとつながるための手段」という面が急速に重要度を増している。ここへきて、Windows 8とVAIO Tap 20の登場を迎えたことで、「リアルな世界で目の前にいる人たちとコミュニケーションを行なうためのより代」という役割が新たに付与された。
これはタブレットデバイスがすでに担いつつあった役割なのかもしれないが、20型という大きなサイズの、しかも本格的なコンテンツ制作を行なうことが可能なフルスペックのPCで(ようやく)実現できたというところに決定的な意味がある。VAIO Tap 20が切り開く新たなカテゴリーとは、これほどのインパクトを持ったものなのだと感じる。
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