薄型軽量×防水防塵ボディで高性能は実現できたか?――「Xperia Tablet Z」Xperia Tablet Z マニアックス(1)(2/2 ページ)

» 2013年04月25日 00時00分 公開
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3Dグラフィックス性能をチェックする

 続いて、3Dグラフィックス性能を「3DMark Android Edition」(Futuremark)でテストした。Windows PCではおなじみのテストで3つのテストシークエンスを選べるが、Android版では描画負荷が低い「Ice Storm」のみ実装されている。

 テストには2つのプリセットがあり、Ice Storm(標準)ではレンダリング解像度が1280×720ドットとなるが、Ice Storm Extremeでは1920×1080ドットに解像度が向上し、テクスチャ品質やエフェクト処理の負荷も高まる。

3DMark Android Edition/Ice Stormのスコア(グラフ=左)とフレームレート(グラフ=右)
3DMark Android Edition/Ice Storm Extremeのスコア(グラフ=左)とフレームレート(グラフ=右)

 結果はまたもXperia Tablet ZとXperia Zがリードした。総合的にはXperia Tablet ZのIce Storm(標準)スコアが1万超え、Ice Storm Extremeスコアが6000超えでトップだ。Xperia Tablet Sと比較した場合、Ice Storm(標準)では約2.51倍、Ice Storm Extremeでは約2.69倍もスコアを伸ばしている。

 Xperia Tablet Zはグラフィックスコアの演算性能を示す「Graphics」に加えて、CPUコアの演算性能を示す「Physics」のスコアも高い。Physicsでは、Nexus 10がXperia Zを逆転するケースも見られたが、Xperia Tablet Zには及ばなかった。

 フレームレートの結果ではGraphicsテストが2つに分かれているが、「Graphics test 1」が頂点(vertices)演算性能、「Graphics test 2」がピクセル演算性能を測定する。Ice Storm ExtremeのフレームレートではNexus 10も肉薄したが、それでもXperia Tablet Zが勝る結果だった。

Webブラウザベースのベンチマークテストも実行

 最後にWebブラウザ系のベンチマークテストとして、「Octane v1」(Google)と「Vellamo Mobile Benchmark 2.2」(Qualcomm)を実行した。OctaneはWebブラウザ上で直接実行できるテストだが、Vellamoは他のベンチマークテストと同様にGoogle Playからアプリのインストールが必要だ。

 Octaneは、GoogleのJavaScriptエンジンであるV8を用いたベンチマークスイート「V8 Benchmark Suite」の拡張版だ。V8に5つのベンチマークテストを追加しており、Googleは現実的なWebブラウズのパフォーマンスに即したスコアが得られると説明する。

 Qualcommが開発したVellamoは、「HTML5」と「METAL」の2つのメニューで構成されるテストだ。HTML5ではレンダリングやJavaScript、スクロール速度、ページダウンロード、リロードなどブラウザの性能をチェックできる。これには、WebKitのSunSpiderや前述のV8といった定番のJavaScriptベンチマークテストも含む。一方のMETALは、CPUやメモリ、インタフェースなどの性能を評価するもので、QuadrantやAnTuTuに近い。

Octane v1の総合スコア(グラフ=左)と個別スコア(グラフ=右)
Vellamo Mobile Benchmark 2.2のHTML5スコア(グラフ=左)とMETALスコア(グラフ=右)

 JavaScriptベンチマークスイートであるOctaneの結果はこれまでと異なり、Nexus 10が他を圧倒した。タブレットで4000に迫る抜群の総合スコアに驚かされる。Xperia Tablet ZのAndroid 4.1.2より新しいバージョンのAndroid 4.2.1を搭載している優位点は多少あるだろうが、2倍以上もの大差だ。Xperia Tablet Zは2番手につけており、現行のタブレットとして不満のないスコアではある(ちなみに、第4世代の「iPad Retinaディスプレイモデル」と同程度のスコア)。Xperia Tablet Sよりは全体的に高速だが、差は大きくない。

 一方、VellamoのHTML5テストでは、Xperia Tablet ZとXperia Zが巻き返している。Xperia Tablet Sから約1.77倍スコアを伸ばし、Nexus 10も上回る結果となった。このテストで2000超えのスコアは非常に高いといえる。もっとも、VellamoはQualcommが開発したベンチマークテストなので、同社のSoCを搭載したXperia Tablet ZとXperia Zは、最適化が進んでいるのかもしれない(もちろん、Qualcommは自社に有利な設計はしていないとコメントしている)。

 VellamoのMETALでは、再びNexus 10が大きくリードした。QuadrantやAnTuTuのテスト結果からすると意外な傾向だが、メモリ帯域幅の速度テストなどでNexus 10が突出した値を出しており、総合スコアを1000オーバーまで大きく伸ばしている。とはいえ、Xperia Tablet Zの600を超えるスコアもハイレベルだ。Xperia Tablet Sとの比較では、約1.53スコアが高かった。

極限まで減量したボディでも、高いパフォーマンスを確保

 以上、Xperia Tablet Zのパフォーマンスを前モデルやライバル機、そして同じSoCを採用するスマートフォンのXperia Zと比較しながら、多角的にテストした。一見同じような性能評価テストでも実際の処理内容によって有利不利が大きく出る場合があり、AndroidデバイスのベンチマークテストはWindows PCほど安定した傾向が得られない点は注意すべきだろう。

 とはいえ、Xperia Tablet Zは標準的な複数のベンチマークテストで高水準なスコアを立て続けに出している。10型クラスで最高級の薄型軽量ボディを実現したうえ、サイズでも放熱面でも不利になりがちな防水防塵仕様まで盛り込んでいながら、Androidタブレットとして高い性能を確保できているのは見事だ。

・→Xperia Tablet Z マニアックス(2):密閉された極薄ボディは熱くならないのか?――「Xperia Tablet Z」

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