ここからはゴールド、シルバー、ブロンズの受賞は逃したものの、製品選定時に候補として挙がった、おすすめ度の高い製品をまとめて見ていこう。
まずはパナソニックの「Let'snote MX3」だ。堅牢ビジネスノートPCの定番である「Let'snote」シリーズのイメージを維持したまま、360度回転ヒンジによる変形機構を搭載し、しかも光学ドライブやペン入力(筆圧非対応)まで盛り込んだ注目の2in1と言える。
11.6型モデルの「Let'snote AX3」を13.3型に大画面化し、光学ドライブとペンを追加しながら、ほとんど同じ軽量ボディを実現しているのは見事だ。仕事で即戦力となるパワフルな堅牢クラムシェルノートにタブレットをうまく融合することで、ビジネスシーンへの2in1導入を加速させることも期待できる。
富士通の「FMV LIFEBOOK TH90/P」も13.3型の2in1だが、「Shift Hinge(シフトヒンジ)」と名付けられた独自の回転ヒンジ機構により、画面を左右のどちらにも最大180度回転できるのが特徴だ。これにより、4つの利用スタイルを実現している。
薄型ボディに変形機構を盛り込んだうえ、剛性も確保したことから、13型クラスではやや大ぶりで重いが、360度ヒンジ回転機構に比べて、本体を持ち上げずに素早くスタイルチェンジできるのがポイントだ。昔からある1点ヒンジのディスプレイ回転機構を洗練させて実装しているのが興味深い。2560×1440ピクセルの高精細ディスプレイ、1024段階の筆圧ペンと、装備も充実している。
携帯性の高いクラムシェルノートとして、アップルの「MacBook」シリーズを挙げないわけにはいかない。長らく大幅なモデルチェンジをしていないため、ゴールドからブロンズまでには入れていないが、裏を返せば、長年同じデザインのボディで通用する完成度の極めて高い製品と言える。
モバイルするMacで薄さや軽さに重きを置くならば、「MacBook Air」シリーズを選ぶことになる。8万8800円(税別)で購入できる11インチモデルもコストパフォーマンスが高くてよいのだが、個人的には画面を広く使えてSDXC対応SDメモリーカードも備えている13インチモデルをおすすめしたい。とはいえ、どちらもディスプレイのRetina化が待たれるところだ。
普段からiPhoneやiPadを愛用しているユーザーは、もはや高画素密度のRetinaディスプレイでないと画面表示に満足できないのではないだろうか。比較的モバイルしやすいMacでこの条件に当てはまるのが、「13インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル」だ。約1.57キロと軽くはないが、ディスプレイ以外も全体的にAirより高性能な仕上がりで、パフォーマンスとモビリティをバランスよく両立できる。
レノボジャパンからはビジネス向けのクラムシェルノート「ThinkPad X240s」と、個人向けの2in1「Yoga 2 Pro」をノミネートした。
ThinkPad X240sはクラシックなThinkPadのイメージを引き継ぐ質実剛健な12.5型クラムシェルノート。携帯性やスペック面で突出した部分はないのだが、6列プレシジションキーボードとトラックポイント(5ボタンクリックパッドも)による快適な入力環境をモバイルシーンで味わえるのが魅力だ。
プレミアムなUltrabookという位置付けの「ThinkPad X1 Carbon」も気になる存在だが、F1〜F12のキーが多機能なタッチセンサー仕様(Adaptiveキーボード)という点で、ファンクションキーを多用するユーザーにはおすすめしにくい。
一方のYoga 2 Proは、360度回転ヒンジを採用した2in1。2in1 Ultrabookの初期に登場した第1世代モデル「IdeaPad Yoga」に比べて、13.3型ワイド液晶ディスプレイを3200×1800ピクセルの超高精細パネルに変更し、第4世代Coreを採用するなど、大幅にスペックアップしながら、薄さと軽さもわずかながら向上しているのが好印象だ。
もう1つ、最後に紹介するのはASUSTeK Computer(ASUS)の「TransBook Trio TX201LA」だ。実にさまざまな格好のPCやタブレットを国内外で提案し続けているASUSだが、このTransBook Trio TX201LAも同社らしいユニークな特徴を備えている。
見た目はクラムシェルノートPCのデザインをベースとして、キーボード着脱機構を採り入れた2in1だが、11.6型フルHD液晶ディスプレイを取り外せばAndroid 4.2.2タブレットに、キーボードを装着すればWindows 8搭載のクラムシェルノートPCに早変わりし、しかも2つのOSはキーボード上の専用キーを押すだけで切り替えることが可能だ。
さらにこうした2in1では、液晶ディスプレイ側にPCのメインボードなど基本スペックを搭載するのが当たり前だが、TransBook Trio TX201LAは液晶ディスプレイ側にAndroidタブレットとしてのスペックを、キーボード側にWindows PCとしてのスペックをそれぞれ詰め込んでいるのが面白い。これにより、キーボード部分だけを外部ディスプレイに接続し、デスクトップPCとしても使えてしまうのだ。
キーボード接続時の総重量は約1.7キロと重いが、他に類を見ないデュアルOSの“3in1”デバイスとして、独創的なギミックのPCが好きな方に注目していただきたい。
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