モバイルの導入効果は6億円規模――MCPCアワード、グランプリは九州電力(2/2 ページ)

» 2009年03月23日 17時52分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
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オーナーや入居者にもメリット――大東建物管理

Photo モバイルビジネス賞を獲得した大東建物管理

 モバイルビジネス賞を獲得した大東建物管理は、不動産物件のオーナー向けに提供する報告書の作成業務にモバイルを活用した。

 従来の報告書には(1)破損部分などの写真がなく、イメージするのが難しかった(2)点検結果のみを報告しており、自社で持つ情報の一部しか報告できなかった(3)オーナーに届けるまでに時間がかかり、タイムリーな報告ができなかった という問題があり、この解決策としてモバイルの導入を決めた。

 建物を点検する建物管理担当者1200人と、清掃員2200人に業務用携帯電話を配布し、各スタッフは点検結果やコメントをケータイアプリを通じて入力。破損部などは、ケータイカメラで写真を撮り、それをサーバにアップロードできるようにした。

 こうして得られた情報はその場で基幹システムに送られ、ここから必要なデータを融合して報告書を生成する仕組みを整えた。

 このシステムは、特に高度なモバイル技術を取り入れているわけではないものの、物件の現状を把握するという日常業務の中で活用されている点や、自社の業務効率化だけでなく、エンドユーザーであるオーナーや入居者にもメリットをもたらした点が評価された。

Photo 従来の建物のオーナー向け報告書の「写真がない」「中身が乏しい」「時間がかかる」といった課題をモバイルで解決

Photo 点検・清掃時の報告書の作成と送信を携帯で行えるようになった(左)。報告書作成業務の効率化だけでなく、物件オーナーや入居者の顧客満足度向上にもつながった(右)

個人が無料で医療履歴を管理できる仕組みを――ポケットカルテ

Photo モバイルコンシューマー賞を受賞したサスティナブル・コミュニティ・センター

 地方の医師不足、病院の診療科の閉鎖、高齢化の進展など、医療に関する不安が高まる中、電子カルテを活用したサービスで医療分野のICT化をサポートしようというのが、モバイルコンシューマー賞を受賞した「ポケットカルテ」。「どこカル.ネット」を運営するサスティナブル・コミュニティ・センターとアピウス、メディカルコミュニケーション、ウィルコムの4社によるプロジェクトで、利用者の健康情報を電子化して一元管理できる仕組みを用意し、個人の健康管理や効率的な診察、セカンドオピニオンなどに役立てようという取り組みだ。

 このサービスは、2008年10月1日の正式サービス開始から4カ月で1万ユーザーを突破するなど、好調に推移。モバイルを活用して医療機関や利用者にとって安心・安全な医療環境の提供を目指し、医療費の削減や予防医療・遠隔医療の促進、地域医療の再生などの課題に取り組む姿勢が評価され、モバイルコンシューマー賞を授与された。

Photo ポケットカルテのサービスイメージと活用イメージ

スマートフォンの利用で店頭販売が大幅増――ヤマサキ

Photo モバイル中小企業賞を受賞したヤマサキ

 この不況の中でも右肩上がりの成長を続け、約39億円の売上高を誇るのが、化粧品と入浴剤の製造・販売を手がけるヤマサキ。従業員200人規模の同社は積極的に業務にモバイルを取り入れ、それが店頭売上の伸びにつながるなど着実に成果を上げたことから、モバイル中小企業賞を受賞した。

 同社が開発した店舗訪問実績の共有システム「Mobile・SAMS」は情報入力にスマートフォンを活用。カメラで撮った棚の陳列状況や店舗訪問時のリポートをその場でアップロードできるようになり、日報作成と提出の手間が軽減された。「事務作業が軽減され、店舗訪問率が75%から85%にアップした」(ヤマサキの舛永裕一郎氏)。こうした取り組みが功を奏し、同社の店頭売上は前期の14億から17億に増加したほか、店舗の陳列写真を生かした精度の高いマーケティング活動が可能になったという。

Photo Mobile・SAMSの導入効果
Photo 営業リポートシステムだけでなく、在庫管理システムも自社で構築するなど、モバイルを積極的に活用している

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