最優先課題は、開発者の確保とユーザビリティ強化――Symbian Foundationのウィリアムズ氏Symbian Exchange&Exposition 2009(2/2 ページ)

» 2009年11月02日 17時20分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
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Horizonで、開発者の世界進出をサポート

ITmedia 今回のイベントに合わせてアプリ開発者をサポートする「Symbian Horizon」を開始しました。開発者に向けた取り組みや戦略について教えてください。

ウィリアムズ氏 いくつかの取り組みがありますが、最も重要なのは、開発者と直接対話することです。iPhoneの「App Store」の上位10社に連絡を取り、Symbian向けに開発するよう提案したこともあります。Symbianなら、“税金”(App Storeでは、開発者は収益をAppleと共有)がなく、リーチできる市場が広い、と説明したところ、数社がSymbian向けの開発を始めました。NPR(米National Public Radio)などは、「AppleよりもSymbian Foundationの方が自社のニーズを満たす」と好意的でした。

 次に、開発ツールやキットの改良です。コードをオープンソースにすることだけでも大きな取り組みだと思います。Appleの開発者はソースを見ることができません。これと平行して、開発者が楽しいと思ってもらえるような雰囲気や環境づくりも進めています。

ITmedia Symbianの開発は難しいといわれています。

ウィリアムズ氏 たしかにSymbian C++で開発するのは容易ではありませんが、Python、Flash、Javaをサポートしており、Symbianを知らなくてもコードを書くことができます。

 Appleの開発者会議で、われわれは列に並んでいる開発者にアプローチし、ピザとビールをおごるので話を聞かないかと誘いました。約90人が集まり、彼らにSymbian向け開発は容易であり、Appleのプラットフォームと同じぐらいパワフルなアプリケーションを容易に作成できると説明しました。

 場合によっては、ツールキットをダウンロードすることなく、米Adobe Systemsの既存のFlashツールを利用してアプリケーションを作成できます。

ITmedia Horizonの特徴は?

ウィリアムズ氏 Horizonはアプリを公開するためのプログラムで、開発者が容易にアプリケーションを公開できるようサポートします。

 Symbian Signedで承認済みのアプリケーションは、アプリケーションディレクトリの「Symbian Horizon Directory」に無料でリストされます。このディレクトリは電話帳のようなもので、サードパーティのアプリケーションストアに通じる道となります。このディレクトリは現在ベータ版で、初期アプリケーションが公開されています。

 現在、Symbian Signedプロセスを見直しており、将来的には自動でHorizon Directoryにリストされるようにします。

 Horizonは、開発者だけでなくエコシステム全体にとっても重要なサービスです。現在、「Nokia Ovi」「Samsung Application Store」など5つのアプリケーションストアが参加を表明しています。

ITmedia Horizonのメンテナンスや管理はどうするのですか。

ウィリアムズ氏 アプリケーションの選択は、アプリストアを運営するサードパーティ側が、自社のポリシーやその地域の規制などにあわせて行うことになります。われわれとしては、事前のスクリーニングは一切行いません。ただSymbian Signedプロセスで、苦情が多いアプリケーションを削除することはあると思います。

最優先課題は、開発者の確保とユーザビリティ強化

ITmedia 現在の最優先課題は何ですか。

ウィリアムズ氏 ロングテールの開発者にSymbianアプリケーションを書いてもらうこと、大規模な技術をメンテナンスし、この技術をベースとしたFoundationを統治していくことは大きな課題だと思っています。

 OS側の優先課題は、ユーザビリティの強化です。iPhoneが成功したのは、ユーザービリティが優れていたからです。携帯電話としてみると、カメラ、メッセージング、Web、ネットワークとどれをとっても先進的ではありません。ユーザビリティやUIにフォーカスし、市場全体にアピールすることは大きな挑戦となります。

 OSでは次期版の「Symbian^3」と「Symbian^4」で460以上の新機能を追加します。ここで、UIは大きなフォーカスとなっています。

ITmedia 日本市場への取り組みについて教えてください。

ウィリアムズ氏 日本征服プロジェクトを策略中です(笑)。日本ではNTTドコモ、富士通、シャープなどと協業しており、2010年1月までにいくつかの取り組みを発表できると思います。

 日本市場の問題は、オープンではなかったということです。まずは、オープンプラットフォームの意味を理解してもらう必要があります。

ITmedia アプリケーションマーケットで日本市場に向けた取り組みの予定は?

ウィリアムズ氏 開発者向けの取り組みとして進めていきます。これも、数カ月以内に発表できると思います。

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