Windows Phone 7向けIE9が登場したMicrosoft スティーブ・バルマー氏基調講演:Mobile World Congress 2011(2/2 ページ)

» 2011年02月16日 13時40分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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提携におけるMicrosoftのメリット、Nokiaのメリットとは?

 今回のMWC基調講演の冒頭で、バルマー氏はWindows Phone 7の歴史を振り返るなかで、先日発表されたばかりのNokiaとの提携についても言及した。これはNokiaがスマートフォンの主力プラットフォームとしてWindows Phone 7を採用し、Bing Mapsや検索エンジンなど、同社のオンラインサービスとNokiaサービスとの統合を積極的に進めていくというものだ。

 これまでSymbianやMaemo(現在はMeeGo)など、他社とは一線を画したプラットフォーム展開を行ってきたNokiaだが、今回は他メーカーとの本格的な提携とプラットフォーム採用ということになる。だがそれだけに反発も大きく、Nokiaの社員でさえ反感を抱くものは多いといわれ、これまでNokiaを支えてきたデベロッパーらの批判は非常に大きい。アナリストらはNokiaが数ある端末メーカーの1つに転落する可能性を指摘しており、同社の株価は発表直後に大きく急落している。

 一方でMicrosoft側のメリットは大きい。他社の追い上げが激しいとはいえ、Nokiaはいまだ世界の携帯電話の販売シェアで3割以上をキープする最大の携帯メーカーだ。このNokiaの販売網を利用してWindows Phone 7を展開できれば、普及とシェア確保には大きなメリットとなる。特に北米を主要市場とするMicrosoftにとって、欧州やアジアなどに強みを持つNokiaをパートナーに引き入れるのは、市場攻略上も非常に重要だ。Androidを含め、Windows Phone 7を数あるプラットフォームの1つとして扱うDell、HTC、LG、Samsungといった既存パートナーと比べても、Nokiaのプレミア度は高いといえるだろう。一部で報じられているように、今回の提携に際してMicrosoftからNokiaへ数十億ドル規模の現金供与があったことが示唆されているが、それを差し引いてもMicrosoftにはメリットの大きい提携だといえるだろう。

Photo Nokia CEOのステファン・エロップ氏。同氏が元Microsoft幹部であることは有名。さらにさかのぼれば、Juniper NetworksやMacromedia(現在はAdobe Systems)のCEOまたはCOOを務めていた人物である

 こうした周囲の反応に応える形で、バルマー氏の講演のラストにはNokia CEOのステファン・エロップ氏が登場し、今回の提携の背景やメリットについて改めて説明した。エロップ氏が改めて強調するのは「業界のバランスを保つ」という点だ。特定のプラットフォームにシェアが傾くことは選択の自由を狭め、携帯キャリアにとっても端末メーカーにとってもメリットにはならないと説く。名前こそ明示していないものの、これはAndroidの存在を指していることは明らかで、こうした状況であえて劣勢といわれるMicrosoftのWindows Phoneをパートナーに選んだのはこうした思惑があるからだ。

 そしてNokiaとしては、現在わずか数%程度のシェアまで落ち込んでしまった北米、特に米国でのシェア挽回を狙いたいという理由もあるようだ。地場メーカーのMotorolaやPalmなどが従来から強かった市場とはいえ、かつてはNokiaも米国でそれなりのシェアを持っていた。ところが最近では新興勢力の台頭が激しく、米国でのシェアは見るも無惨な状態となり、携帯ショップなどでNokia端末を見かけることはほとんどなくなった。最近では、発売直前の端末が急にキャンセルになった事例もある。「Microsoftからの刺客」といった表現もなされることがある元Microsoft幹部のエロップ氏だが、そのコネクションを生かして米国市場を再び攻略すべく動き出したのが、今回の提携といえるかもしれない。


 今回のキーノートから感じられたのは、こまめなアップデートや定期的な進捗報告で、地味ながらも着実な進展がWindows Phone 7にあったことだ。Nokiaとの提携も一定以上の効果をもたらすとみられ、やり方しだいでは近い将来にもスマートフォン市場で第3、第4の勢力として存在感を示すことになるかもしれない。

 一方で、日本ユーザーにとって一番期待したいアップデートは「いつ、どこのキャリアを通して日本で発売が開始されるのか?」という点だ。これに対しての明確な回答はまだないが、MWCで端末メーカーの話を聞いていると、日本市場への展開自体はどこも強い興味を持っているようで、あとはMicrosoftがどれだけWindows Phone 7の日本語対応とサポートを早い時期で実施してくれるかにかかっているという印象だ。

 またWindows Phone 7には次期バージョンとして「Mango」という開発コード名の製品が存在するが、これが今回発表された一連のアップデート群のことを指すのか、あるいはまったく別の「Windows Phone 8」のことを指すのかは分からないが、端末メーカーらの見解は「Mango」が登場して初めてWindows Phoneに本格的な普及期が到来するということ。いずれにせよ、1年から2年先の話で、ユーザーらも座して先の展開をゆっくりと待つ形になるだろう。

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