“ポイント特典”を主軸とした新たな携帯電話ブランド「ECナビケータイ」が、ECナビ、インフォニックス、KDDI3社のMVNO事業として8月3日にスタートする。ECナビはなぜ携帯電話に着目したのか。そしてECナビケータイならではのユーザーメリットとは――。
価格比較サイト「ECナビ」を運営するECナビは7月2日、MVNOを利用した携帯電話ブランド「ECナビケータイ」を8月3日から提供すると発表した。
ECナビケータイは、ECナビ、インフォニックス、KDDIの3社が共同で展開する事業。ECナビはECナビポイントの発行や端末の販売促進、コンテンツの企画・運営などを担当する。インフォニックスは、携帯電話端末を使ったMVNOを支援する企業。今回もMVNOプラットフォーム「SELECT MOBILE」を活用し、通信事業の設計や運営、問い合わせや申し込み対応、端末販売などを行う。そしてKDDIは、メールやWeb、無線ネットワークなどのインフラを提供する。
購入機種に応じて最大5万ECナビポイント、月額利用金額に応じて最大6%分のECナビポイントが付与されるのが、ECナビケータイの大きな特徴。ユーザーがためたECナビポイントは、ANAマイルやEdy、Amazonギフト券、Yahoo!ポイント、現金などの特典と交換できる。なお、ECナビでは10ポイントが1円に相当する。
さらに、ECナビは8月3日から8月31日まで「ECナビケータイ解禁!お申込みキャンペーン」を実施。月額利用料金が3000円以上のユーザーについては、通常6%のポイントを10%に増量する。このほか、ECナビケータイの契約者は、ECナビメンバーズクラブ「ゴールド会員」にグレードアップする特典も得られる。ゴールド会員になれば、ショッピングやアンケート回答で10〜15%のポイントが加算される。
ECナビグループは、これまでもショッピングやアンケート、動画視聴、買い物代行などを通じてECナビポイント関連のサービスを提供してきた。今回、ECナビケータイを新たに導入することで、同社はより手軽にユーザーにECナビポイントをためてもらうことを狙う。
ECナビ 代表取締役CEOの宇佐美進典氏は「ECナビポイントを使って現金やポイントを交換した累計金額は、2009年6月の時点で約41億円に達した。ここ5年間で、多数のユーザーがポイントをためることに興味を持ち始めている」と説明。ポイントサービスの普及が今回のサービス提供につながったことを示した。「最近のユーザーは“お得”に敏感になっている。ポイントの特典が一番ユーザー響くので、ここを強化していきたい」(同)。
端末については、シャープ製の「ECN-SH001」「ECN-SH002」と京セラ製の「ECN-K002」をまずは投入する。いずれも発売中のau端末がベースモデルとなる。「今後も時期に応じて新機種を順次投入していく」(宇佐美氏)という。
端末はオンライン販売限定で、「ECナビ」のWebサイト(外部リンク)からのみ購入できる。購入方法は一括か12回/24回の分割のクレジット決済。MNP(番号ポータビリティ)による乗り換えも可能だ。端末の販売開始は8月3日から。
料金プランはauの「フルサポートコース」と同じ内容。「誰でも割」と「購入サポート割引」が自動で適用され、「ECNプランSS」は月額980円から利用できる。なお、2年間の契約期間中に解約をすると、誰でも割の契約解除料として9975円が発生する点はauと同じだが、2年未満に機種変更をしても解除料は発生しない。この点はauのフルサポートコースとは異なる。
端末のサポートはECナビケータイ専用のサポートセンターが担当するが、auショップにECナビケータイを持参して修理してもらうこともできる。
端末には「ECナビアプリ」がプリインストールされており、「ニュースなどユーザーの属性に合わせたコンテンツを配信する。アプリからWebサイトにアクセスできるほか、お客様サポートに問い合わせの電話をかけられる」(説明員)。なお、Disneyケータイのように、アプリを呼び出せる専用キーや、メインメニューからECナビアプリを1ステップで起動できるといった仕様には(現時点では)なっていない。
宇佐美氏は今後の強化ポイントとして「ECナビアプリの充実」と「デジタルコンテンツの販売」を挙げた。「ニュースや占いなど、更新性の高い情報を提供していきたい。ポイントをためたユーザーには、電子書籍や動画、着せ替えコンテンツなども販売していく」(同)。ECナビケータイの目標契約台数は「2012年までに10万台」とした。
「なぜ端末を投入する必要があったのか」という質問に対し同氏は、「ポイントサービスの提供だけなら端末は不要だが、ポイントで購入できるデジタルコンテンツの配信も含めて展開するため」と回答。「ECナビケータイはECナビにとってはローリスク。1〜2万台程度の台数を売れれば黒字になると考えている。もちろんそれだけの規模で終わらせるつもりはない」(同)
MVNOプラットフォームを提供するインフォニックスの役回りはいわば“裏方”だが、サービスの核ともいえる重要な役割を担う。インフォニックス 常務取締役の藤田聡敏氏は「通常のケータイでサービスを提供できるのが画期的」と話す。
「これまで展開してきたMVNOは、ほとんどがデータカードを使ったものだった。データカードの方が提供しやすいが、コンテンツは限られ、収益も少ない。何より、おサイフケータイやワンセグなど、これまで進化してきたケータイのサービスが全く使えないのがネックだった。これまでのMVNOは、付加価値を出すのが難しかった」と苦労を振り返る。「今回は通常の携帯電話にECナビのサービスを追加したので、より発展させることができる」(同)。
ECナビケータイを展開する大きなメリットは「通信収益が上がること」だと藤田氏は説明する。「安定した通信収益があれば、サービスをリッチにするための原資に回せる」(同)。また「事業者にとってはお客さんを囲い込みやすい」と、携帯電話の割賦販売の浸透が有利に働くことも示した。
KDDI コンシューマー商品統括本部 事業開発部長の新居眞呉氏は「我々事業者にとっては、エンドユーザーから見ていかに魅力的なモバイルサービスを提供できるかが大事。ECナビさんとインフォニックスさんに、我々のシステムやネットワークを有効かつ効率的に利用いただくことで、携帯市場をより活性化させていくことを目指している。今後もこういった企画には積極的に取り組んでいきたい」と意気込みを話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.