インタビュー
» 2009年07月15日 00時00分 UPDATE

iPhoneが手のひらサーバに――「ServersMan@iPhone3.0β」の展望と課題

フリービットが提供する「ServersMan」は、iPhoneをモバイルサーバとして使えるようにするサービス。公開から約10日で1万登録に達したことからも、注目度の高さがうがかえる。同社の開発陣に、間もなく配信される「ServersMan@iPhone3.0β」の新機能について聞いた。

[秋吉健(K-MAX),ITmedia]

 3GやWi-Fiネットワークに接続したiPhoneを、オンラインストレージやサーバとして利用可能にする「ServersMan」が注目を集めている。ServersManの特徴を一言で表すと「電源不要の超小型モバイルサーバ」。画期的なサービスだが、フリービットは“まだ発展途上の段階”としており、今後さまざまな新機能を追加する予定だ。

photo 2009年7月14日現在、iPhone向けに配信されている「ServersMan」のバージョンは「2.0.1」。トップ画面(左)とストレージ内のデータ一覧(右)

 リリースを間近に控えたiPhone OS 3.0対応ServersManの新機能や、今後のサービス展開について、フリービット 広報グループ マネージャーの佐藤新氏に聞いた。

photo フリービット 広報グループ マネージャー 佐藤新氏

ServersManを“USBメモリ”として活用する

 佐藤氏は、ServersManの発想の原点は「(フリービットの子会社である)DTIが1998年当時使っていたWebサーバにあった」と振り返る。当時のWebサーバは今のサーバと比べると非常に非力で、ハードウェアスペックは現在のスマートフォンよりも低かった。当時のサーバと「iPhone 3G」を比較した場合、iPhone 3Gの方がCPUクロックが1.4倍、ストレージ容量が7.6倍ある。

 また、近年問題になっているPCやサーバの電力消費量や発熱などを解決し、バッテリー内蔵というメリットを生かした小型サーバを作れないかというアイデアも、ServersManの開発の大きな要因になっているという。

 “iPhoneをサーバにする”というiPhoneアプリ「ServersMan@iPhone1.0β」は、配信と同時に話題を集め、登録数は約10日間で1万に達した。当初は日本国内のみの公開だったが、海外でも話題になり、バージョン1.1βからは米国でも正式に公開。その後もマルチセッションの採用などによって高速化が図られ、2.0βに至った(現在iPhone用に公開されている最新バージョンは2.0.1β)。

 現在、フリービットが開発を進めている3.0βでは、iPhone OS 3.0の登場に合わせて大幅な機能強化が図られ、Push通知サービスへの対応やコピー&ペースト、Bluetooth接続によるP2Pサポート、動画撮影、iPodライブラリへのアクセスなどが可能になる。

 今回の機能強化は、ServersManの“オンラインストレージデバイス”としての使い勝手を向上させるものといえる。開発のきっかけは「バッテリー内蔵の超小型モバイルサーバ」だったが、その後は3Gと無線ネットワーク経由での楽曲ファイルのアップロードに対応し、iPhone同士のBluetooth接続によるデータ交換も可能になるなど、その用途はよりパーソナルなものへと変化しつつある。

 佐藤氏は、「現在のServersManは分かりやすく言うとUSBメモリだ」と説明する。iPhoneはUSBストレージとしての機能は備えておらず、内蔵メモリをストレージとして活用するには、サーバ機能を備えたServersManなどのアプリケーションを利用するほかない。ServersManを使えば、iPhoneが“中身の見えるUSBメモリ”のようになるというわけだ。

収益モデルの確立が今後の課題

 ServersManは、フリービット独自の仮想ネットワーク技術「Emotion Link」によって作られたVPN上で動作する。これは仮想的にIPv6ネットワークを構築することで、IPアドレスの枯渇問題に対処するとともに、ローカルIPによるネットワーク接続が主流となっている米国などでも容易にサーバを構築できるからだという。

 こうした独自のネットワークを構築・運営できるのも、基幹インフラを持つ同社の強みを生かした結果であり、この強力なネットワークのバックボーンがあってこそ、ServersManのオンラインストレージとしての強みが生きるといえる。

photophoto Bluetooth接続によるP2P通信のデモ。P2P APIによるデータ通信はOperaなどに採用され、HTML5でも標準化されるなど、現在のトレンドとなっている(写真=左)。iPhoneを利用した超小型サーバラックの試作品。無線LAN環境ならiPod touchも併用できる(写真=右)

 一方、ServersManには収益モデルをどのように構築するかという課題がある。現在、ServersManのアプリケーションはApp Storeで無料配布されている。将来的にはServersMan上で動くガジェットなどを販売することで収益につなげたいとしているものの、ユーザー数やガジェット開発の都合上、まだその段階ではない。まずは現在約4万人いるユーザーをさらに増やし、ServersManのコミュニティを広げていく考えだ。また、ガジェットにはSDK(ソフトウェア開発キット)を用意し、ユーザーによる開発や公開を可能にする意向もあるという。

 iPhone OS 3.0に対応した「ServersMan@iPhone3.0β」は、App Storeへの申請に向けて現在最終調整中。アプリケーションはiPhone版のほかにWindows Mobile版を公開しており、現在はAndroid端末向けアプリの開発も進んでいるという。また、デジカメやデジカムをサーバとして利用可能にする「ServersMan mini」を同梱した防水デジカムを販売するなど、シリーズ製品の展開にも注力している。

 「iPhone 3GS」の発売でiPhoneユーザーが増えた今こそ、ServersManがさらに飛躍するチャンスだといえよう。

photo 左から佐藤新氏、小椋千晶氏、安部卓司氏

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