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» 2012年12月17日 15時55分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:大都市部でも100Mbps対応――仙台でXi高速サービス開始

12月14日から、宮城県仙台市でもNTTドコモの「Xi」100Mbpsサービスが始まった。JR仙台駅など、人が多いエリアでもサービスが行われており、これまでの郊外での展開とは意味合いが大きく異なる。早速現地で速度のテストを行ったほか、ドコモ東北支社支社長の荒木裕二氏に話を聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 NTTドコモが12月14日、宮城県仙台市の一部で、LTEサービス「Xi」の100Mbps 高速化サービスを開始した。これは1.5GHz帯の15MHz幅×2を用いて、通信速度を下り最大100Mbps/上り最大37.5Mbpsまで引き上げるというもの。この通信速度には、すでに販売が始まっている2012年冬モデルが対応している。

 しかし、このXi 100Mbpsサービスには1つの課題がある。それは使用する周波数の再編・整理の関係で、2014年度までは“東名阪を除いた地域”から段階的なエリア展開になるということだ。2012年11月には新潟市の一部で100Mbps化が始まっていたが、100万人規模の都市部でのエリア展開は、今回の仙台市が初めてとなる。

 対応端末の発売から1カ月が経過し、そして初の都市部でのサービス開始となる中で、Xi 100Mbpsサービスはどれだけの実力が示せるのか。仙台でテストを行った。

PhotoPhoto 12月14日のXi 高速化サービス開始に合わせて、JR仙台駅 2Fコンコースでは大規模なイベントが実施された。右はすでに販売が始まっているドコモの Xi 100Mbps対応端末

下り速度は最高で74Mbps、平均で67Mbpsを記録

 杜の都、仙台の玄関口となるJR仙台駅。ここが全国の都市部初のXi 100Mbpsサービス対応となった場所だ。1日の平均乗降人数は約6万5000人であり、駅周辺にはさらに多くの人々が集まる。都市部初のXi 100Mbps対応で、ここを最初のエリアにした理由について、NTTドコモ東北支社 支社長の荒木裕二氏は、「JR仙台駅は東北経済の拠点であるだけでなく、(東日本大震災からの)復興の拠点でもある。震災復興を重視するドコモにとって象徴的な意味も大きい」と話す。

 では、都市部でのXi 100Mbpsサービスはどれだけの実力を示すのか。今回は筆者が所有しているSamsung電子の「GALAXY Note II SC-02E」で通信速度の計測アプリを用いてテストしてみた。

PhotoPhoto Xi 100Mbps対応の基地局。鉄塔の中程に新設された円筒形のユニットが、Xi 100Mbpsサービス用のアンテナ

 筆者がJR仙台駅を訪れたのは、12月14日の午前10時過ぎ。すでにビジネスタイムに入っており、駅近隣には家電量販店もある。そして駅ビルではちょうどドコモ東北支社によるXi 100Mbps化の体験イベントが始まっていた。前回、筆者が新潟でXi 100Mbpsを試した時はサービス開始前だったが、今回は対応端末発売から1カ月が経過していることや、テスト時の仙台駅周辺の状況を鑑みて、かなり実利用環境に近づいた状況であると言えるだろう。

 そのような中での結果だが、「RBB TODAY SPEED TEST」で、最高で下り74.11Mbps、上り20.31Mbpsを記録した。5回計測した平均値で見ても、下りが67.34Mbps、上りが18.71Mbpsとなった。基地局をほぼ独占していた新潟でのテストに比べて実効速度が落ちたのは当然だが、他のXiユーザーも多くいる実利用環境だったにもかかわらず、これだけのスピードが出たのは注目に値するだろう。

仙台のXi 100Mbps対応エリアでのテスト結果
テスト ダウンロード(Mbps) アップロード(Mbps) Ping (ミリ秒)
1回目 72.71 18.63 148
2回目 64.66 17.15 132
3回目 74.11 17.89 133
4回目 59.98 19.57 134
5回目 65.26 20.31 131
平均 67.344 18.71 135.6
PhotoPhotoPhotoPhotoPhoto RBB TODAY SPPED TESTの結果
Photo ドコモのイベントは屋内で実施されたが、Xi 100Mbpsのスピードがきちんと出ている。屋内のエリア浸透がしっかりできているのは、ドコモの強みと言えるだろう

 また、特筆すべきは屋内でも実効通信速度の低下があまり見られなかったことだ。今回のベンチマークテストは駅前の屋外で行ったが、駅コンコース内でも下り50〜60Mbps、上りで10〜15Mbpsのスピードが出ていた。今のところ仙台でのXi 100Mbps化は屋内基地局設備を用いず、屋外の基地局で屋内までカバーする方式。ドコモが得意とする“屋内浸透も考慮したインフラ構築”のノウハウが、遺憾なく発揮されていた。これはドコモのXiサービス全般に言えるのだが、LTEエリア内であれば屋内でも高確率で電波が入り、きちんと実効通信速度が出るというところは高く評価できるだろう。

インフラとコンテンツでXiの優位性を訴求

Photo NTTドコモ東北支社 支社長の荒木裕二氏

 ドコモ東北支社では、Xi 100Mbps化をJR仙台駅をはじめ3カ所からスタートし、人が集まるターミナル駅や空港はもちろん、大学周辺なども視野に順次拡大していく。あわせてXiそのもののエリア拡大にも取り組んでおり、2012年3月末には東北支社管轄の人口カバー率は75%まで上がる見込みだ。

 「(Xi 100Mbps化の)高速サービスは、ビジネスユーザーの需要も見込みながら戦略的に行っていきます。これは東北在住のお客様に対してももちろんですが、現在は復興ビジネスに関わる多くのビジネスパーソンが仙台に集まってきている。こういったインバウンドの(大容量通信)需要にも対応していきたい。

 一方で、コンシューマーユーザー向きでの展開で考えますと、東北エリアのXiユーザーのうち約6割が若年層で、しかも女性層が多いという傾向が現れています。ここにはコンテンツサービスとセットで、Xiの高速通信を訴求していきます。とりわけ『dマーケット VIDEOストア』などの映像サービスは、東北のお客様の加入率が高いという数字がすでに出ています。高速通信と映像サービスの組み合わせには手応えがあります」(荒木氏)

 映像サービスという視点では、今回のXi 100Mbps化とあわせて始まるNOTTVにも期待していると、荒木氏は話す。

 「これはdマーケット VIDEOストアにも言えるのですが、地方では映像サービスにおいて東京とは違うニーズがあります。(スマートフォンやタブレットで利用できる)多チャンネル放送やVODの潜在的なニーズは、むしろ地方の方が高いと感じます。ですからNOTTVについても、しっかりとお客様に訴求していきます」(荒木氏)

 実際、衛星多チャンネル放送の「スカパー!」などは、地上波放送局やレンタルビデオショップの環境が充実している東京・大阪などより、地方の方が人口あたりの加入率が高いという傾向がある。それを鑑みれば、Xiの高速サービスと組み合わせたdマーケット VIDEOストアやdマーケット アニメストア、NOTTVには“地方ならではのニーズ”は確かにありそうだ。

PhotoPhoto NOTTVも、12月14日に仙台で開局した

Xiに感じるLTEサービスの厚み

 新潟に続き、仙台でXi 100Mbpsサービスを体験して感じるのは、ドコモのLTEサービスには“厚みがある”ということだ。確かに面的なエリア展開スピードではKDDIやソフトバンクモバイルは奮闘しており、両社にはいまだユーザーが少なく実効速度が出やすいという後発の強みがある。しかし、新たな高速化サービスもそつなく立ち上げ、屋内浸透もしっかりと行うといった実利用環境での使いやすさでは、LTEにおけるドコモの優位性は揺らいでいない。

 通信インフラに必要なのは、店頭を華々しく飾るスペック表の数字ではなく、実利用環境でいかに安定して使えるか、だ。ドコモにはこの部分でさらに継続的な投資を行いつつ、東名阪でのXi 高速化サービスの垂直立ち上げをしてもらいたいと思う。そして、KDDIとソフトバンクモバイルには、店頭の数字競争ではなく、ドコモのような厚みのあるLTEインフラの構築に期待したいところだ。

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