インタビュー
» 2012年12月26日 18時00分 UPDATE

開発陣に聞く「Xperia VL SOL21」:誰もが簡単・快適に使いこなせる――「Xperia VL SOL21」に込めた“シンプル” (1/2)

「幅広い方に使っていただきたい」――Xperia VLの取材中によく聞かれた言葉だ。これは単なる意気込みではなく、誰もが快適に使ってもらえるよう、さまざまな工夫を散りばめた裏付けでもある。デザイン、音楽、カメラにおける開発陣のこだわりを聞いた。

[田中聡,ITmedia]

 この冬、KDDIは「4G LTE」対応のAndroidスマートフォンを一挙9機種発売した。そのうちの1つであるソニーモバイルコミュニケーションズ製の「Xperia VL SOL21」は、auでも人気のXperiaシリーズ最新モデルだ。下り最大75Mbpsの4G LTE、FeliCa、NFC、防水・防塵、ワンセグ、赤外線通信など、日本のスマホに必要な機能を過不足なく押さえている。auでは2012年3月に発売された「Xperia acro HD IS12S」以来のXperiaであり、首を長くして待っていた人も多かったのではないだろうか。本稿では、Xperia VLのデザイン、音楽、カメラに焦点を当てて開発陣に話を聞いた。

photophoto au向けスマートフォン「Xperia VL SOL21」
photo 左からカラ―&マテリアル担当の梅田氏、オーディオソフトウェア担当の林氏、企画担当の松村氏、プロダクトデザイン担当のカリン氏、カメラアプリ担当の下村氏

シンプルでプレミアム感のあるデザインに

 Xperia VLは中国などで発売されているグローバルモデル「Xperia VC」がベースとなっている。ドコモからも発売されている「Xperia AX SO-01E」とは、内蔵アプリや通信規格などを除けば、基本的なスペックは共通しているが、ハード面での大きな違いがデザインだ。VLとAXともに、弧を描くアークフォルムを採用しながら、細部のパーツや見せ方が異なる。AXはディスプレイ、フレーム、背面の3層構造を強調しているが、VLでは同様の手法を取り入れておらず、代わりに側面から背面にかけてシルバーのラインをあしらっている。また、AXではディスプレイ面からボディ下部を少しはみ出させた「Elevated Element」を採用している。これは正面から見ても背面のカラーが見えるようにするためだが、VLでは下部を斜めにカットすることで、同様の効果を得ている。

※初出時に、Xperia VL SOL21のベースモデルは「Xperia V」としていましたが、正しくは「Xperia VC」とのことでしたので、訂正しました(12/27 18:51)。

photophoto 背面の角を斜めにカットすることで、正面から背面のカラーがチラッと見える
photophoto 松村氏(写真=左)カリン氏(写真=右)

 Xperia acroとacro HDはドコモとau版いずれも同じデザインだったが、企画担当の松村氏は、AX/VLについては「ドコモ版とau版に合うよう、当初からデザインはそれぞれ分けていくことが決まっていました。(デザインの)基本的な方向性はこちらから提案しました」とのこと。ディスプレイサイズを4.3インチとしたのは「幅広い方に使ってもらえるため」(松村氏)で、サイズ感もちょうどいいと判断した。「弧を描いている形状なので手になじみやすく、横幅もスリムになっているので女性でも持ちやすいですね」(松村氏)

 Xperia VLのデザインにはどのような意図が込められているのだろうか。プロダクトデザイン担当のカリン氏は「シンプルなデザインにしたかった」と話す。「背面はアークフォルムなので握りやすく、グリップ感があります。遠くから見たときにも、すぐにVLだと分かるように、シルバーの“特別なライン”を入れました。このライン自体がプレミアム感を与えています」(カリン氏)。2012年におけるソニーモバイルのデザインコンセプトは「アイコニックアイデンティティ」で、一目見て同社の製品だと分かることを重視している。VLもまさに、このコンセプトを体現したモデルだと言える。一方で2011年のコンセプトだった「ヒューマンカーバチャー(人間的曲線)」も、アークフォルムで継承されている。

 Xperiaといえば、側面に蒸着処理を施したシルバーのフレームを入れたモデルが多いが、Xperia VLでは側面、サイドキー、背面が同じ素材でシンプルにまとめられている。これは「一体感を見せるため」(カリン氏)であり、Whiteのみ、サイドキーの塗装を変えるに留めている。カラー&マテリアル担当の梅田氏によると、手触りを良くし、ハイクオリティな印象を与えるために、4色とも背面はマット仕上げにした。

photophoto カリン氏が「特別なライン」と呼ぶ背面のシルバーラインがデザインのアクセントになっている(写真=左)。側面はキーを含めてシンプルにまとめている(写真=右)
photo 梅田氏

 続いてカラーバリエーションの意図についても聞いた。日本市場を意識して投入したというBlueとPinkは、やや若い世代をターゲットにしている。「Pinkは女性をメイン、Blueは男女両方を取れるような仕上げにしてます」と梅田氏。Whiteは老若男女に受け入れてもらえるよう、ニュートラルなパールホワイトで仕上げた。塗装も工夫し、WhiteとPinkについては、汚れが付きにくくなるよう特殊な塗装を施しているという。“新しい黒”を目指したというBlackにはガラスの粒子を入れており、「光をかざすと微妙にブルーに光る」(梅田氏)のが特徴だ。

 シルバーラインを境に色を変えているのも面白い。「アングルカットを強調するために、色も何かできないかと考えて、2面で構成しています」と梅田氏。ただしWhiteについては「好みが出やすいので、パールホワイト1色に仕上げました」とのこと。

photophotophoto 左からBlack、White、Pink

イヤフォンでもスピーカーでも良い音を出せるよう注力

photo 林氏

 ソニーモバイルがソニーの完全子会社になったことで、スマートフォン事業との連携がさらに深まり、音楽、カメラ、映像などソニーの家電で使われている技術が、少しずつXperiaにも取り入れられつつある。音楽についてはXperia独自の「WALKMAN」アプリをプリインストールした。また、オーディオソフトウェア担当の林氏が「イヤフォンでもスピーカーでも、どんなシチュエーションでも良い音を出せることにこだわりました」と話すように、Walkmanシリーズでもおなじみの高音質化技術を取り入れている。その1つが、曲ごとの音量レベルの差を抑える「ダイナミックノーマライザー」だ。ソニーのスピーカーにも使われている「Clear Phase」は、スピーカーに合わせて音質を最適化するデジタル信号処理技術。スマートフォンのスピーカーは小さいものが多いが、そうしたスピーカーでも一定の音質を保てる。「スピーカーのレイアウトにあわせて、エンジニアがチューニングしています」と林氏は説明する。

 操作性にもこだわり、ワンタッチで簡単に高音質なサウンドを楽しめる「ClearAudio+モード」を用意した。「携帯電話は身近なミュージックプレーヤーになりうるので、オーディオにこだわりを持たない人に多く使ってもらいたいと思っています。Xperiaでは以前からさまざまな高音質化技術を取り入れていますが、それらの設定をいじりたくない人にも、ワンタッチでオススメの音質にできます」とオーディオソフトウェア担当の林氏は説明する。ClearAudio+モードでは楽曲によって最適な音質にしているわけではなく、「イヤフォンで聞いているか、スピーカーで聞いているか」を判別しているとのこと。一方で、従来どおりイコライザーやサラウンドなどの設定も用意しているが、これらの設定とClearAudio+モードを併用することはできない。

photophoto ワンタッチで高音質になる「ClearAudio+モード」。ただしClearAudio+モード適用中は「サウンドエフェクト」は併用できない(写真=左)。ダイナミックノーマライザーやClear Phaseはサウンドエフェクトから設定できる(写真=右)

 ちなみに、Walkmanシリーズでは以前から「ノイズキャンセル」機能を搭載しており、Xperiaシリーズへの搭載も期待される。ノイズキャンセルについては「今後の検討事項には入っています」(林氏)とのこと。

 さらに、サイバーショットでも使われている、動画撮影時にノイズを除去する技術もXperia VL/AXで初めて採用された。「Walkmanに限らず、テレビやホームオーディオなど、ソニー全体で音に関わっている人たちと連携しながら、音の技術を共有しています」(林氏)

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