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» 2013年04月19日 18時46分 UPDATE

モバイルの進化はムーアを超える:大解説! Intelの“モバイル”SoC戦略をまとめてみた (1/3)

ASUSが日本で「Intelアーキテクチャ採用Androidタブレット」を発表。このタイミングで、彼らのスマートフォン/タブレット向けCPU戦略を把握しておこう。

[本間文,ITmedia]

モバイルCPUは「ムーアの法則」を超えるペースで進化する

 Intelは2011年の投資家向け会議「2011 Intel Invester Meeting」で、「ムーアの法則」で示す集積密度進化に対して、ほぼ2倍に相当するペースでモバイルプロセッサを開発していく意向を示した。

 これまで、半導体の集積密度は18〜24カ月で倍増するという「ムーアの法則」が示すペースで進化しており、半導体製造技術が進化するごとに、同じ半導体サイズでパフォーマンスは2倍に、そして、消費電力は半減していった。その集積密度進化のペースを倍にするということは、現在、2年ごとにプロセスルールが微細化しているPC向けCPUとは別に、モバイル向けCPUは、新しいプロセスルールを毎年採用することを意味している。

kn_daikaisetu04_01.jpgkn_daikaisetu04_02.jpgkn_daikaisetu04_03.jpg IntelのモバイルSoC戦略では、1年ごとに半導体製造技術を進化させることで、性能向上と省電力化は加速していく(写真=左)。2012年9月に発表した“Clover Trail”世代「Atom Z2760」の基本仕様(写真=中央)。Atom Z2760は、NVIDIAのTegra3を採用するタブレットデバイスより省電力性に優れるとIntelは主張し、ビデオ連続再生時間のベンチマークテスト結果も公開した(写真=右)

 Intelの新しいモバイルプロセッサ戦略の先陣を切ったのが、2012年9月に発表した「Atom Z2760」と、2013年2月のMobile World Congress 2013で正式に発表した「Atom Z2500シリーズ」だ。Atom Z2760は、“Clover Trail”の開発コード名で呼ばれてきた世代で、Atom Z2500 シリーズは“Clover Trail+”という開発コード名で呼ばれていた。

 この2つのSoCは、開発コード名は似ているものの、Clover TrailはWindows 8を導入したタブレットデバイス、Clover Trail+はAndroidを導入したタブレットデバイス用と分けている。一緒に組み込むラフィックスコアやイメージプロセッサなども変更するなど、SoCとしては別なプロセッサといえる。

 Clover Trail+は、CPUコアはClover Trailと同じ“Cloverview”(開発コード名)を実装しているが、メモリコントローラはデュアルチャネル対応のLPDDR2-1066に強化している。グラフィックスコアは、Imagination Technologiesの「PowerVR SGX 544MP2」を採用して、OpenGL ES 2.0やOpenVG 1.1をサポートする。このグラフィックスコアは、「PowerVR SGX 544」をデュアルコア構成にしたもので、ピーク性能を高めるとともに、負荷が低い場合には片方のコアをアイドルにして消費電力を抑える。

 また、Clover Trail+は、最大1600万画素のイメージセンサをサポートするイメージプロセッサを組み込める。手ブレ補正機能を備えた1080p動画撮影や、動く被写体でも自然なハイダイナミックレンジ(HDR)撮影を実現する機能などを利用できる。

kn_daikaisetu04_04.jpgkn_daikaisetu04_05.jpgkn_daikaisetu04_06.jpg Clover Trail+世代のAtom Z2500シリーズと、従来のMedfield世代のAtom Z2400シリーズの仕様を比較する(写真=左)。Atom Z2500シリーズの最上位モデルとなるZ2580のブロックダイヤグラム(写真=中央)。発表時点で予定していたAtom Z2500シリーズのラインアップ(写真=右)

 IntelでAtomのアーキテクチャ開発を担当する、Chief Platform Architect Intel Fellow Intel Mobile and Communications Groupのシュリーカント・タッカー氏は、「Clover TrailとClover Trail+で仕様が変わったのは、市場投入時期の問題」と説明する。また、それぞれがWindows専用、Android専用となったのは、ドライバ整備などに割り当てるリソース配分の問題もあったようだ。しかし、タッカー氏は「22ナノメートルプロセスルールを採用する次期SoCの“Bay Trail”では、WindowsとAndroidの両環境をサポートする」と述べ、この世代でSoCのスマートフォン向けモデルとなる“Merrifield”でも、同じ戦略をとる見通しだ。

kn_daikaisetu04_07.jpgkn_daikaisetu04_08.jpgkn_daikaisetu04_09.jpg モバイル機器向けAtomについて説明するシュリーカント・タッカー氏(写真=左)。Intelのタブレットデバイス向けSoCと、スマートフォン向けSoCのロードマップ(写真=中央、右)

 Intelのモバイル向けCPUに関する最新情報は、2013年4月に中国の北京市で開催したIntelの開発者向け会議「Intel Developer Forum Beijing 2013」(以下、IDF Beijing)でも紹介している。次世代SoCについては多くを語ることはなかったが、Intel Chinaでモバイル事業を統括するVice President Intel Architecture Group General Manager Intel China Mobile Communications GroupのWK タン氏は、「Merrifieldでは、現行のClover Trailと同じ性能であれば、消費電力を半分にすることができる」と述べ、半導体のプロセスルール技術を1年ごとに進化できるIntelの優位性をアピールしている。

 さらに、Intelの関係者は、「Bay TrailとMerrifieldでは、まったく新しいCPUアーキテクチャを採用したことで、より省電力性に優れたSoCを実現できる」と語っている。これは、Intelの持つ半導体製造技術の優位性を生かして、さらなる省電力化を図っていく意向を示している。

kn_daikaisetu04_10.jpgkn_daikaisetu04_11.jpgkn_daikaisetu04_12.jpg Intelのモバイル戦略について語るWKタン氏(写真=左)。IDF Beijingで公開した22ナノメートルプロセスルールを採用するタブレットデバイス向け次期SoC「Bay Trail」の特徴。CPUやグラフィックスコアを強化するだけではなく、イメージプロセシングやセキュリティの強化も図る(写真=中央、右)

 タン氏はまた、「2012年は、Intelのモバイルコミュニケーション事業にとって飛躍の年になる」と、すでに22モデルのスマートフォンでIntel SoCを採用しているのに加えて、まもなく出荷を開始するClover Trail+採用のLenovo K900以外にも、IntelのSoCを採用する動きがあることを示唆する。

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