グローバルでは、その兆候もすでに出始めている。10月20日(現地時間)にAppleが発表した2014年第4四半期の業績発表によると、iPadの販売台数は1231万6000台に低下している。2013年の同四半期は1327万6000台で、約96万台、販売台数を減らしている格好だ。グローバルでも、タブレット市場はまだ成長を続けているため、台数以上にシェアの落ち込みは大きい。
米調査会社のGartnerが公表している2013年のシェアは、Androidの61.9%に対し、iOSが36%。Windowsは2.1%となっている。2012年はiOSがトップで52.8%、これにAndroidが続く格好で45.8%だったが、2013年の1年間でシェアは完全に逆転してしまった。Appleの業績発表を見る限り、2014年は、この傾向がさらに加速しているはずだ。大きな理由の1つは、価格にある。中国、台湾メーカーを中心に低価格なタブレットが広がり、しかも性能的にもよほど高機能なアプリを動かすのでなければ、必要十分になりつつある。スマートフォンでも同様にAndroidが躍進しているが、やや遅れてその波がタブレットにも来つつあるという見方ができるだろう。
順位 | OS名 | 2013年販売台数(台) | 2013年シェア(%) | 2012年販売台数(台) | 2012年シェア(%) |
---|---|---|---|---|---|
1 | Android | 120,961,445 | 61.9 | 53,341,250 | 45.8 |
2 | iOS | 70,400,159 | 36.0 | 61,465,632 | 52.8 |
3 | Microsoft | 4,031,802 | 2.1 | 1,162,435 | 1.0 |
その他 | 41,598 | <0.1 | 379,000 | 0.3 | |
合計 | 195,435,004 | 100.0 | 116,348,317 | 100.0 | |
(資料:Gartner) |
順位 | メーカー名 | 2013年販売台数(台) | 2013年シェア(%) | 2012年販売台数(台) | 2012年シェア(%) |
---|---|---|---|---|---|
1 | Apple | 70,400,159 | 36.0 | 61,465,632 | 52.8 |
2 | Samsung | 37,411,921 | 19.1 | 8,583,146 | 7.4 |
3 | ASUS | 11,039,156 | 5.6 | 6,262,371 | 5.4 |
4 | Amazon | 9,401,846 | 4.8 | 7,707,800 | 6.6 |
5 | Lenovo | 6,525,762 | 3.3 | 2,186,993 | 1.9 |
その他 | 60,656,161 | 31.0 | 30,142,374 | 25.8 | |
合計 | 195,435,004 | 100.0 | 116,348,317 | 100.0 | |
(資料:Gartner) |
日本のシェアがグローバルに近づいていくかは、まだ分からない。世界平均よりは所得が高く、プレミアム感のあるタブレットでも勝負ができる余地も残されているからだ。また、特にキャリアが販売する製品は、端末にひもづいた割引を受けられるため、“実質価格”を抑えることができる。iPadのようなプレミアムモデルでも、手が届きやすい販売モデルといえるだろう。その反面、低価格タブレットが台頭する余地が少なくなり、割引の原資も必要となるため、通信料が高止まりする要因にもなる。
ただ、KDDIが発表したプリペイドプランのように、安価なデータプランは徐々に広まりつつある。MVNOの料金プランも、データ通信だけなら900円台で2Gバイトが相場になった。こうした料金プランでは、当然、端末購入に伴う割引は出ない。端末の“定価”が比べられるようになりつつあるというわけだ。このように状況が変わると、高価格帯のタブレットの売れ行きがさらに鈍化する恐れもある。現時点では販売が好調でシェアも高いiPadだが、今後は不透明だ。
もちろん、今回発売されたiPad Air 2やiPad mini 3がともに完成度の高いタブレットであることは間違いないが、一方で、どちらも正統進化の範囲にとどまっている。この価格帯を維持するには、ほかの機種にはない“特別な何か”が必要になりそうだ。
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