時系列で振り返る2014年モバイル業界あの時社長はこう言った(1/2 ページ)

» 2014年12月19日 12時00分 公開
[村上万純,ITmedia]

 2014年は例年より過熱した3社の“キャッシュバック戦争”で幕を開け、各社の新料金プラン提供やiPhoneの大型化など、話題に事欠かない1年となった。あの時キャリア各社の社長は何を話した? 盛り上がりを見せるMVNO市場のプレーヤーは何と言った? キーパーソンの発言を中心に2014年のモバイル業界を振り返る。

1〜3月:立ち消えになったドコモの「Tizen」 キャッシュバック戦争は総務省が指導?

 例年通り1月に米・ラスベガスで開催されたCESでは、各社が最新のスマートフォンやタブレットを展示。国内ではNTTドコモがTizen搭載スマートフォンの発売を「当面見送る」と発表していた。当時ドコモ 加藤薫社長は「iPhoneを扱いながら、全体のマーケットが鈍化しつつあるときのことを考えて、見送らせていただいた」と語っていた。

photo 「Tizen OS」搭載端末を見送ることを明かしたドコモの加藤薫社長
photo KDDI 田中孝司社長は2014年度内に「Firefox OS」搭載端末を発表することを明言している

 一方で、1月22日に2014年春モデル5機種を発表したKDDIは、「Firefox OS」搭載端末を2014年内に発表することを明かしていた。こちらは「Firefox OSはクリスマスプレゼント」とKDDI 田中孝司社長が自ら語ったように、12月23日にFirefox端末の発表会が予定されている。春モデルでは曲面ディスプレイの「G Flex LGL23」が登場。さらに、電子マネーサービス「au WALLET」の発表も印象深い。

 2月以降はMNP(番号ポータビリティ)ユーザーを獲得すべく、iPhone 5s/5cを始め、最新のAndroidスマートフォンなどのキャッシュバックを激化させたドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル。多い時には端末購入で数万円ものお金が戻ってくるということもあり、ついには総務省から指導が入ったとうわさされる事態にもなった(総務省は指導を否定)。3月を過ぎたあたりから、キャッシュバック戦争は収束していくことになる。

4〜6月:「通話定額」と「通信」で読み解く夏商戦

photo 決算会見で新料金プランについて説明するソフトバンクモバイル 孫正義社長

 4月は、ソフトバンクが1月24日に「VoLTE時代を見据えて」発表した新料金や「革新的な新定額サービス」として発表した3つの新料金プランをリリース前に改定するという異例の事態からスタートした。2月の決算会見で料金プランが分かりづらいと指摘されたソフトバンクモバイル 孫正義社長は「分かりづらいとは、どういう意味でおっしゃっているのか分からない。話し放題、1000回までの明瞭会計と申し上げている非常にシンプルなもの。1回の通話で5分以上しゃべるケースは、(10分以内、月500回までの通話が無料になる)『だれとでも定額』をやっているが非常に少ない。5分超えそうだと思ったときは、1回かけてすぐ切ってもいい」と反論していた。しかし結局のところ、不満の声に対応し、「スマ放題」として改定することになったが、後述するドコモの新料金プランが発表されたことを受け、スマ放題の提供も延期されるというドタバタぶりだった。

 そして、4月10日はドコモが音声通話定額とデータ料金プランを他社に先駆けて発表。同じキャリア同士や、回数や時間に制限のあった通話定額を「国内なら誰でも無料」の完全定額にした。ただし、あまり通話をしないユーザーには割高になるため、旧プランのまま契約を続けるユーザーも少なくなさそうだ。同日の発表会で加藤社長は「ぱっと見は複雑だが、よく見ていただくとそれほど難しくはない」と発言し、プランをシンプル化したことをアピールしていた。

 また、端末のスペックが頭打ちとなり、各社は「通信」にますます力を入れ始めた。4月はKDDIが下り最大150Mbpsを実現する「キャリアアグリゲーション(CA)」と、TD-LTE方式の「WiMAX 2+」を夏モデル向けに提供することを発表し、ドコモも決算会見で2014年度中に下り最大225MbpsのCAを提供するほか、夏モデル向けに高音質通話サービス「VoLTE」を提供することを明かした。現状、ドコモのCAについては年度内の提供は難しそうだ。他社に先立ってVoLTEを提供するドコモの加藤社長は「音もきれいで遅延が少なく、これはお客様にとって非常に(大きな)メリット」とクリアな音声を全面に押し出していく方針を示していた。

photophoto KDDIが夏モデル向けに提供したキャリアアグリゲーションとWiMAX 2+

 KDDIは5月の夏モデル発表会で、「価格競争ではなく価値訴求」(田中社長)で戦う姿勢を見せ、以前より発表されていたau WALLETの詳細も発表された。

ドコモの夏モデル発表会では「おすすめは全機種」と加藤社長が語るなど、過去のように「ツートップ」や「おすすめ3機種」と銘打ち、特定の端末をフィーチャーすることはなかった。

 3社の中でソフトバンクは夏モデルの発表会を唯一開催しなかった。その理由を孫社長は「今はiPhoneと数機種のスマートフォン、その数機種もみんなAndroidになる。スマートフォン以外(従来型ケータイ)は、技術の進化がほとんどなくなり、過去に発表されている機種を焼きまわしているにすぎない。iPhoneについては、(発表会を)Appleがやっている。Androidについては、(機種間の)機能の差がそれほどない。発表会という形式の役割は終わったと認識している」と語っていた。

 また、MNOだけでなくMVNOにも5月は大きな動きがあった。これまでほとんどのMVNOがドコモ回線を借りていたが、ケイ・オプティコムがauの回線を利用する「mineo」を発表。しかし、iOS 8以降で利用できないことが後々問題となっていく。

 Huaweiが5月末にLTE通信に対応したSIMロックフリースマートフォンのラインアップを拡充したことも大きなトピックだった。

 さらに、6月はAppleの開発者向けイベント「WWDC 2014」にてMac向け「OS X Yosemite」とiOSデバイス向け「iOS 8」が正式発表されるなど、盛りだくさんな内容となった。

photo WWDC 2014の様子
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