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» 2015年02月20日 12時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:スプリントの売却への可能性に「余計なことは言わない」 ━━謙虚な孫社長による「時価総額と為替差益のソロバン勘定」

ソフトバンクの決算会見で弱気な発言が目立った孫社長。米Sprintとの関係は今後どうなっていくのだろうか。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 2月10日、ソフトバンクが決算会見を行った。その日は地方出張だったため、残念ながら現場に取材はいけなかったが、新幹線のなかで、ストリーミング中継を見た。動画からも孫さんの謙虚な様子は伝わってきた。会見を見て、ちょっと驚いたのが、スプリント売却の可能性を聞かれて「上場会社であり、余計なことは言わないほうがよい」と真っ向から否定しなかった点だ。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年2月14日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


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 それまで孫社長はプレゼンテーションで「挑戦してみて、山の険しさ、高さを改めて認識した。川も渡ってみないと深さはわからない。挑戦する余地はある。長い戦いになる」と長期的に腰を据えるという構えを見せていた。シリコンバレーの開発拠点はコスト削減を目的に縮小するものの、ネットワークに関しては、カンザスシティのスプリント本社に宮川潤一氏を送り込むなど、地道に改善を進めていただけに、正直驚いてしまった。おそらく、もし「スプリントを買っても良い」という奇特な人が現れるようであれば、孫社長は喜んで手放すのだろう。2013年7月にソフトバンクがスプリントの子会社を完了する際、新スプリント社の78%の株式を約216億ドル(約1.8兆円)で取得している。当時の取引では1株あたり7.65米ドルの現金と交換となっていた。

 ではいまはどうなっているか。株価は1株あたり5.23ドルに下落している。一時期、10ドルを超えることもあったようだが、昨今の経営不振によって、株価は下がっているのだ。

 しかし、2013年に亡くなった笠井和彦氏が201億ドル分を1ドル82円20銭で買収資金を調達したこともあって、いまの円安基調ではかなりの為替差益が発生している。現在のスプリントの時価総額は約207億ドルであり、日本円にすると2兆4600億円となる。ソフトバンクが、その78%を取得していると計算すると1兆9188億円になる。

 つまり、企業価値としては下がっているものの、為替相場を考えれば、トントンになっていると言えるのだ。現在、スプリントは2.5GHz帯を大量に保有しているため、「フリーキャッシュフローがマイナスであり、今後、10年間で周波数帯が余るのであれば、一部売却することも検討する」(孫社長)といい、スプリントがさらに窮地に陥れば、周波数の売却もありそうだ。

 しかし、スプリントは長い道を歩んでも、劇的に好転するようなことがなければ、今後もソフトバンクの足を引っ張りかねない存在になり続ける。孫社長としても「誰かに早くスプリントを丸ごと買ってもらいたい」というのが本音なのではないだろうか。場合によっては、スプリントのCEOであるマルセロ・クラウレ氏に金を貸して売却するなんてこともあり得たりするかも知れない。

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