インタビュー
» 2015年03月20日 09時40分 UPDATE

MVNOに聞く:IoT時代の主役になり、さまざまなモノをネットにつなげる――パナソニックがMVNOに参入した理由 (1/2)

パナソニックがMVNOに参入し、コンシューマー向けと法人向けの両方で通信サービスを提供している。パナソニックはMVNOで目指すのは、IoT時代の主役だという。その意図を聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 パナソニックは、2014年10月、MVNOに本格参入すると発表した。ターゲットにしているのはIoT(Internet of Things)だ。パナソニックでは、スマートフォンやタブレット、PCにとどまらない、幅広い製品がインターネットに接続することを視野に入れており、その足回りとして、MVNOで回線を提供していく方針だ。

 ご存知のとおり、同社のグループ会社であるパナソニック モバイルコミュニケーションズは国内向けスマートフォン事業を休止しているが、一方で幅広い製品を手がけている。グループで見れば、住宅、テレビ、果ては電球までバラエティに富んだラインナップを持つ。これらがインターネットにつながる際に、必要となるのはネットワークだ。IoTを見据えたとき、MVNOに本格参入するというのは、ある意味自然なことのようにも思える。

photo さまざまな無線対応デバイスと回線をセットで提供することを役割としている

 また、同社は従来から「Wonderlink」として、主にコンシューマー向けにSIMカードを提供している。同社のPCである「レッツノート」向けの専用プランを設けているのもここだが、組織上、上記のMVNOとWonderlinkは別となっている。2つのMVNO事業を、どのように位置づけているのかは、気になるポイントだ。

photo コンシューマー向けの通信サービス「Wonderlink」

 MVNO事業に本格参入した狙いや、Wonderlinkとのすみ分けを、パナソニック AVCネットワークス社 技術本部 モバイルネットワーク事業推進室の石原学氏と、パナソニックコンシューマーマーケティング eコマースビジネスユニット サービス・ソリューション事業グループ 事業推進チームの増田健二氏に聞いた。

MVNOとして、さまざまなモノをインターネットにつなげる

photo パナソニック AVCネットワークス社の石原氏

―― まず、2014年10月に本格参入を発表したMVNO事業について、狙いを教えてください。

石原氏 IoTで500億もの“モノ”がつながると言われていますが、(パナソニックは)たくさんのモノをそろえているので主役になれるのではないか。逆に、ここに乗り遅れると、多大な事業の損失があるのではないかと考えています。

 パナソニックのAVCネットワークス社は家電だけでなく、B2Bのシステムカンパニーに生まれ変わっています。以前はテレビやDIGAなども取り扱っていましたが、そちらはアプライアンス社に移管されました。システム事業を中心にしたとき、こうしたところに対応していなかいとマズイという現状把握があります。

 その現状を説明しますと、モバイル回線につながる端末は、スマホやタブレットが中心で、しかもコンシューマー向けです。回線サービスとセットで、キャリアショップで回線事業者が提供するスキームを取っています。これがIoTの時代になり、冷蔵庫や空調、その他のB2Bの商品が無線対応しても、まさかキャリアショップに置くわけにはいかないですよね? 今はスマホやタブレットにマッチした回線は用意されていますが、その他の機器にマッチした回線はありません。この2つ(商流と回線)の課題を、MVNOに参入することで解決したいと思っています。

―― 実際、どのようなものに回線を組み込むことを想定しているのでしょうか。

石原氏 切り口は4つで、業務用のB2Bモバイル端末がまずあります。次に、設備機器で、これはコンビニの店舗などに置かれている業務用冷蔵庫のようなものや、太陽光発電機も作っています。また、もともとパナソニックが強い、映像にも対応していきたいと考えています。最後がPCやタブレットだけでなく、テレビ、デジカメ、ドアホンのようなものもやっていきます。どういう順番でとはまだ決まっていませんが、こういうところまでネットワークに対応し、お客様がSIMカードを用意するのではなく、工場でSIMカードを挿して出荷することを目指しています。

 これらのために、自分たちで設備投資をして、L2の設備を構築し、容量、速度、利用時間を自分たちでコントロールできるようにしています。

―― 導入事例はすでにあるのでしょうか。

石原氏 レッツノートやタフパッドのデータ通信はすでに始めています。また、監視ソリューションで、お店の冷蔵庫の温度管理をするようなものや、太陽光の設備異常をすみやかに検知するものもあります。

 L2接続なので柔軟な料金プランが設定できます。例えば映像ソリューションに関しては、セキュリティカメラだと下りの通信はあまり使わず、上りの方が多くなります。つまり、ダウンロードをあまり考えない料金プランを作れるのです。

 また、レッツノートにSIMカードを挿して出荷することもやっていますが、これもパナソニックストアでの受注生産という形で対応させていただきました。

WonderlinkではIIJや富士通からも回線を調達

photo パナソニックコンシューマーマーケティングの増田氏

―― MVNOとしては、Wonderlinkを先行的に運営していました。こちらはどのような事業なのかを教えてください。

増田氏 AVC社がMVNE的に自社で回線を運営しているのに対し、パナソニックコンシューマーマーケティングでは、イーコマースを担当していて、そのサービスメニューとして通信を入れ、商品と回線を販売しています。

 回線はAVC社のものも販売していますが、IIJさんや富士通さんからも仕入れています。サービスの内容や特徴別に、「Iシリーズ」(IIJ)、「Fシリーズ」(富士通)、「Aシリーズ」(AVC社)と分かれています。Aシリーズはかなりカスタマイズが効くもので、Iシリーズは普及価格帯になります。また、Fシリーズは容量超過後の速度が512kbpsと速いため、動画も再生でき、リッチなコンテンツを利用しているコアな方向けです。

 我々はもともとhi-hoというプロバイダを持っていましたが、2007年にIIJさんに売却しました。そこからしばらく、自社の通信サービスがなかったのですが、IoT時代を見据えて、機器とサービスと通信を一体化して提供することをやらなければならなくなりました。そこで、まず2013年に無線サービスに再参入しました。

―― レッツノート向けに提供する回線は、自社で調達したものなんですね。

増田氏 バンドルということで、手始めにレッツノートに挿し込み済みにした状態で出荷するキャンペーンを行いました。顧客拡大に向け、700円を切った形でユーザーさんを誘導しています。

 目標1000名という形で、2015年1月までは無料で使えるというキャンペーンを行っていました。お試し期間が3カ月で、SIMカードの交換なしでお望みの場合は有料サービスに加入できるというものです。結果は予想以上でした。以前もお試しキャンペーンをやったことはありましたが、ユーザーはほとんど残りませんでした。それに対して、今回は約3割の方が残っています。まさかここまでとは、思ってもいませんでした。

 設定フリーの手軽さや、通信サービスがすぐに使えるところがご評価されたポイントです。専用コースも作り、価格も手ごろだったために残っていただけました。春モデルでもSIMカードを同時購入できるようにしていますが、5台に1台がSIMカード付きで購入されています。

 これとは別に、現在、2Gバイトで月700円というキャンペーンもやっています。

―― 2Gバイトで700円は安いですね。MVNOの相場は大体900円というところだと思います。

増田氏 告知効果がもっと出てくれればと思っています。

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