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» 2015年06月20日 07時30分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(6月8日〜19日):ドコモ、ソフトバンク、KDDI――三者三様の株主総会を振り返る (1/3)

3キャリアの株主総会では、各社の業績や、来期以降に向けた取り組みがあらためて発表された。3社の株主総会で各社が示した方向性や、ユーザーにも関心の高そうなトピックをまとめた。

[石野純也,ITmedia]

 6月第3週に、相次いで開催されたキャリア各社の株主総会では、各社の業績や、来期以降に向けた取り組みが改めて披露された。影響力の大きさはさておき、株を持つというのは、各社の経営に一定の関与をしていることだ。当然、第3者であるメディアや、一般のユーザーとは異なる観点からの質問も出てくる。こうした質問の数々に、経営陣がどのように答えるのかも株主総会の見どころといえるだろう。今回の連載では、3社の株主総会で各社が示した方向性や、ユーザーにも関心の高そうなトピックをまとめていきたい。

「ドコモがソフトバンク化していないか?」――改めて問われた料金プランやポイント制度の改定

 ドコモの株主総会では、代表取締役社長の加藤薫氏が、2015年度の方針を改めて説明した。音声定額やデータシェアを特徴とする新料金プランの導入や、ドコモ光のサービス開始など、2014年度は従来からの料金、サービスに大ナタを振るったドコモだったが、一方で業績に与えた反動も小さくなかった。各種指標は改善傾向を示しているものの、まだ改善の途上にある。こうした点を踏まえ、加藤氏が挙げた2015年度の方針は、「大きく通信サービス収入を増やし、スマートライフを成長させ、コストを効率化する」という3つに集約される。

photophoto ドコモの株主総会の様子。報道陣はモニターごしに取材することができた。議事進行は加藤社長が行った
photo 成長に向けた3つの柱を掲げた

 通信サービスについては、「2台目タブレットの利用を拡大し、新規契約を増やす一方で、スマートフォンへの移行も進めて顧客基盤の拡大、拡充に努める」(加藤氏)。また、「ドコモ光の加入促進を図るとともに、より多くのデータ量をおトクに使える上位プランや、分け合えるシェアプランを促進することで、パケットの利用を拡大していきたい」という。いわゆるスマートデバイスを複数台使ってもらいつつ、固定回線もドコモに一本化してもらうことで、通信料のさらなる拡大を狙うというわけだ。

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photo 複数台契約やドコモ光の拡充で、収入を上げていく方針。その基盤となるネットワークもさらに強化を図る

 その一方で、「+d」と呼ばれるパートナーとの協業も強化しており、従来から掲げていた上位レイヤーのスマートライフ領域をさらに成長させていく。+dでは、「ドコモは総客、基盤、決済というアセット(資産)を持っている。このアセットをパートナーの皆様にもご利用いただけるようにしていく」(加藤氏)方針だ。夏モデルの発表会で明かされた、ローソンとの提携もその一環。タカラトミーがドコモの「自然対話プラットフォーム」を活用して開発したロボットの「OHaNAS」も、+dの取り組みの1つだ。

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photo スマートライフ領域にも注力。「+d」として、他社とのコラボレーションも加速させる

 コストも、今後大胆に削減していく。加藤氏によると、「設備投資、マーケティング、研究開発すべての分野」が対象になり、2015年度は3300億円、2017年度は4000億円の効率化を目指すという。

photo コスト削減にも取り組んでいく

 こうした方針を示すドコモに対し、株主からは厳しい質問も飛んだ。ユーザーの立場として挙がった声が、「ドコモはソフトバンク化していないか」というものだ。新料金プランの導入に伴い、ドコモはスマートフォンの旧プランに月々サポートがつかない形にしており、機種変更でも新料金プランを選ばざるをえなくなっている。「まるで新料金でなければ、お客様ではないという施策」(同)と思われたというわけだ。また、12月に改定するポイント制度についても、「長期利用者のポイント付与率が大幅に削られた」(同)。長期利用者の優遇をうたいつつ、こうした制度改定は矛盾しているのではないかというのが、株主の指摘だ。

 ドコモの取締役常務執行役員 須藤章二氏は「旧料金のサービスは廃止したわけではなく、旧タイプのフィーチャーフォンには月々サポートを適用している」というものの、スマートフォンへの移行をさらに加速させたいのであれば、他社のように選択肢を残す必要はあるかもしれない。ポイントに関しては「DCMX GOLDは10%を維持している」としつつも、ほかは一律で1%に変更することを認め、代わりとして、Pontaとの交換で利用シーンが広げていくと語った。

 別の株主からは、台頭するMVNOとどう差別化していくのかを問われた。ドコモの取締役常務執行役員 阿佐美弘恭氏は、「MVNOが当社との差別化をするために違いを出すが、現状では“格安”がターゲットになっている」と説明。MNOとの差を訴求するうえで、まずは価格に焦点が当たったとしながら、次のように続ける。

 「スマホをお使いのうえで提供するdマーケットなどのサービス、それをお使いいただくことでおトクになるポイント、2400を超えるショップでの接点を持っていることで差別化ができている」

 MVNOの主要事業者は急ピッチで店舗など、リアルな接点を整備しているが、先行してこれだけのドコモショップを持っているのは同社の強みといえるだろう。とはいえ、DMM mobileのようにコンテンツを持つ事業者が参入している例もある。ポイントについても、楽天モバイルやトーンモバイルのように、既存の顧客基盤を生かすケースが出てきているため、予断を許さない状況だ。逆にいえば、こうした競争環境になっているからこそ、ドコモはスマートライフ領域を強化しているともいえるだろう。

 一方でMVNOは、ドコモにとって「入り込めない市場に対してスマホを提供する意味ではすみ分けているという考え方もできる。回線を利用いただいている点ではパートナー」(阿佐美氏)ともいえる。ほかのMNOや、他社回線を使うMVNOにユーザーが流れるよりは、ドコモにとってプラスになることも事実だ。実際、ドコモの純増数にも大きく貢献しており、回線を貸し出すことで収益にもなる。MVNOと差別化しつつも、一緒に市場を広げていくという側面もあるというわけだ。

 ほかにも、業績についてはやや厳しい質問が経営陣に向けられている一方で、よりいっそうの安心、安全やショップの対応強化を求める声も多かった。CMについての意見などもあり、その内容は多岐にわたる。これらの株主の質問は、ドコモの置かれている立場を、色濃く反映したものといえるだろう。

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