インタビュー
» 2015年07月22日 06時00分 UPDATE

SIMロックフリースマホメーカーに聞く:デザインを洗練させてカメラ機能を強化、熱対策も――Huaweiの“生き残り”戦略 (1/2)

HuaweiがSIMロックフリースマホを本格展開してから1年がたったが、同社は今の市場をどのように捉えているのか。同社の最新戦略を、日本で端末事業を統括するデバイス・プレジテントの呉波(ゴハ)氏に聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 今や、家電量販店に行けば、簡単にSIMロックフリースマートフォンを買うことができる。MVNOのSIMカードとセット販売される機会も、大幅に増えている。だが、ちょうど1年前を振り返ってみると、状況はまったく違った。大手メーカーの製品を店頭で見かけることはなく、ユーザーの選択肢は非常に限られていた。この状況を打開すべく、口火を切ったのがHuaweiだった。

 同社は2014年6月に「Ascend G6」を発売。その後も「Ascend P7」や「Ascend Mate 7」などを立て続けに日本市場に投入し、SIMロックフリースマートフォンのラインアップを一気に拡充させた。2015年の新たな展開としては、楽天モバイルと提携し、オンライン限定の「honor6 Plus」を発売したことが挙げられる。これに続き、オクタコアCPUと低価格を両立させた「P8lite」や、6.8型の大画面ファブレット「P8 max」もラインアップに加えた。2機種は、Huaweiが4月に発表したフラッグシップモデルの派生機となる。

photo セット販売する端末としては楽天モバイルが独占的に扱う「honor6 Plus」
photo 8コア搭載で3万円台を実現した「P8lite」
photo 6.8型のファブレット「P8 max」

 このように、HuaweiがSIMロックフリースマホを本格展開してから1年がたったが、同社は今の市場をどのように捉えているのか。それぞれの端末の特徴とともに、同社の最新戦略を、日本で端末事業を統括するデバイス・プレジテントの呉波(ゴハ)氏に聞いた。

SIMフリースマホを日本仕様に合わせる必要はない

photo ファーウェイ・ジャパンの呉波氏

―― HuaweiさんがSIMフリースマートフォンの分野に本格参入してから、ちょうど1年が過ぎたところです。手応えや、今の状況を教えてください。

呉氏 我々が予想していたよりも、マーケットのボリュームがまだ小さいと感じています。今のSIMフリースマートフォンは、全体の約1.8%しか占めておらず、まだ見過ごすことのできる規模です。ですので、日本のスマートフォンマーケットは、世界中から“最後の砦(とりで)”と見られています。

 Huaweiでは、日本のマーケットをオープンマーケットではなく、セミオープンマーケットと呼んでいます。2つの一番の違いは、やはり24カ月の契約(割賦)を結んで端末を買うことです。スマートフォンを買うとき、テレビやエアコン、炊飯器を買うように、自由に購入できているわけではありません。

―― その市場の動向を変えていこうとしているのか、それともそこに適応した施策を考えているのか、Huaweiさんの戦略はどちらを向いているのでしょうか。

呉氏 弊社は過去1年で、世界のスマートフォンメーカーの中で第3位になっています。2015年の1月から5月では、全体の中で8.1%のシェアを持っています。中国市場では、サムスンやAppleを抜き、中でも、6万円以上の高価格帯の中では、33%と高いシェアを持っています。この数字からも分かるように、製品の品質は過去から今年(2015年)にかけ、大幅に向上させることができました。結果として、中国市場でのブランド力では1位になっています。

 日本はユニークなマーケットで、世界で見ると日本と韓国だけ、オープンマーケットがほぼ存在しない状態です。もちろん、それぞれの地域やマーケットには、それぞれの特徴があります。生き残るためには、その環境に適応することが必要です。Huaweiは、すでに170以上の国や地域でスマートフォンを販売しています。それぞれの国や地域は千差万別です。そこに対しても、それぞれの国の言葉ややり方で事業を行っています。

―― 例えば、楽天モバイルとの提携もその一環でしょうか。

呉氏 はい。その通りです。honorブランドはオンラインのもので、従来の販売ルートでは使われてきていませんでした。日本市場の特殊性に基づいた、革新的なやり方だと考えています。

―― 一方で、機能面ではグローバル端末がそのままということが多い印象を受けます。防水やおサイフケータイなど、端末を合わせていくことに対する見解をお聞かせください。

呉氏 そもそも日本の総務省がSIMフリーを打ち出した意図は、メーカーがグローバル端末を作って市場に出せるようにするというものがあったと思います。それはすなわち、独自仕様をできるだけ減らして、グローバルで共通した端末を作っていこうということです。そこでキャリアのスマートフォンと競争する必要はありませんし、競争はSIMフリーマーケットを委縮させることになってしまうというのが、私の考えです。

 SIMフリーであれば、もっと独自の特色を打ち出すべきで、また、消費者が縛りなく端末を購入できることが理想です。今、我々はセミオープンマーケットと呼んでいますが、日本も今後3年以内に本当のオープンマーケットに進んでいくでしょう。

SIMフリー端末がVoLTEに対応できない事情

―― 日本のSIMフリーマーケットを攻略するうえで、今回、なぜP8liteやP8 maxを選んだのかを教えてください。

呉氏 liteとmaxは、それぞれ価格帯が違う端末です。P8liteは3万円以下でオクタコア、かつ発熱しないCPUを搭載しています。一方のP8 maxは約6万円ですが、高性能なチップセットが搭載されていて、カメラ機能にも力を入れています。画面に関しても、非常にクリアなものです。

 今、日本では6000万人ほどのフィーチャーフォンユーザーがいます。その方たちにとって、一番重要な機能は音声通話なんですね。そういったスマートフォンを使ったことがない人には、視覚や聴覚のエクスペリエンスが一番の衝撃を与えます。また、日本では、月々900円でデータ通信をお使いいただけるようになりました。プラスしてP8 maxを使っていただいても、24カ月の料金はまだ安い。ですから、消費者にとっては、P8 maxは2台目の携帯電話にもなりうると思います。

 今のフィーチャーフォンは海外に行くと、ローミングの(料金が高いという)問題もあります。maxは2枚のSIMカードを挿せるので、フィーチャーフォンのSIMカードと現地のSIMカードを挿して、同時に使うということもできます。

―― 今、デュアルSIMのお話がありましたが、GSMのない日本では同時待受ができません。仮にできれば、MNOの音声プランを残しつつ、MVNOのデータプランを使うといったことができ、ニーズもありそうですが、何か出せない理由があるのでしょうか。

呉氏 3GとLTEの同時待受も、技術的にはできないことはありません。ただ、需要に関して言えば、まだまだ非常に限られているのが現状です。チップメーカーでこの機能に対応した(リーズナブルな)製品がまだ作られていないというのが、その理由になります。

 3Gについても、VoLTEのサービス提供が始まり、技術の完成度がもっと上がってくれば実質的に3Gは必要なくなります。それに伴い、日本の3Gはどんどん減っていくと思われます。

―― 現状だと、SIMフリー端末でVoLTEに対応できている機種はiPhoneだけです。なぜ、対応できないのか、理由があれば教えてください。

呉氏 それについては、他社の話にもなってしまうので、回答を控えさせてください。今申し上げられるのは、VoLTE対応のSIMフリースマートフォンにもチャレンジはしていきたいということです。スマートフォンに限らず、タブレットもです。

 タブレットのお話をしたのでついでに申し上げておくと、弊社のタブレット(Media Pad M1 8.0)は日本市場で、すべてのiPadを抜き、1位になりました。これはGfKのデータ(※キャリア、容量ごとに集計されているデータで、それぞれのバリエーションを1つの機種としてカウントしているデータという意味)で、1つのモデルで11%ものマーケットシェアを持っています。

 日本の消費者の皆様は、非常に理知的ですね。スペックを見比べ、違いをすぐに分かっていただけますから。加えて、弊社は品質第一で、日本メーカーの端末より日本製の部品が多いぐらいです。

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