インタビュー
» 2015年08月17日 16時04分 UPDATE

MVNOに聞く:FREETEL SIMは「ブッチギリだと思う」/端末は「全部自社で開発」――増田社長が語る新戦略 (1/3)

「freetel」から「FREETEL」へブランドを一新したプラスワン・マーケティング。ドコモとの相互接続でサービスを提供している「FREETEL SIM」は、想定を超えた反響を得ているという。通信サービスから端末まで手広く手がける同社の戦略を、増田社長に聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 「freetel」ブランドでSIMロックフリー端末の開発、販売を行うメーカーだったプラスワン・マーケティングが、2014年11月にMVNO事業に参入。通信サービスの「フリモバ」を開始した。メーカーとしてSIMロックフリーの端末を取りそろえる一方で、通信事業者として一体提供できるサービスも提供してきたというわけだ。

 こうした動きを強化したのが、6月に「SIMフリーキャリア」宣言を行ったときだ。同社は合わせてブランドを一新し、小文字の「freetel」から大文字の「FREETEL」へとブランド名を変更した。合わせて、MVNO事業に対しても大幅な見直しを図った。これまでのフリモバは、プラスワン・マーケティングがMVNOとしてサービスの主体になっていた一方で、回線自体はMVNEから提供を受けていた。

 これに対しFREETELブランドとして7月15日に提供開始した「FREETEL SIM」では、プラスワン・マーケティングが直接ドコモと相互接続を行い、サービスを提供している。料金プランも一新。299円(税別、以下同)からスタートし、最大2470円で月10Gバイトまで利用できる、6段階制の「使った分だけ安心プラン」を導入している。特徴は、従来の料金プランのように、あらかじめ容量を選択する必要がなく、上限でも安価に収められているところだ。使い勝手のよさと、料金の安さを、両立させたプランともいえるだろう。

photo リニューアルした「FREETEL SIM」のパッケージ

 もともとはメーカーであったFREETELが、通信サービスを強化した狙いはどこにあるのか。新たに発表したラインアップの考え方や、SIMフリーキャリアという言葉の真意を、同社の代表取締役社長 増田薫氏にたずねた。また、通信サービスの詳細については、同社の取締役 藤田聡敏氏が補足している。

最初からMVNOをやろうと思って会社を立ち上げた

photo プラスワン・マーケティングの増田社長

―― メーカーであったfreetelが、MVNOを始めた理由を教えてください。また、FREETELにブランドを変えるのに合わせて、なぜレイヤー2接続を開始したのかもお答えください。

増田氏 私は、前職でDELLの携帯電話事業を担当していました。その時にビジネスモデルを作っていましたが、ただハードを出す、ただSIMを出す、ただアプリを出すというのでは、やはり足りないものがある。通信料が高い日本でしっかりとマーケットを作っていくには、やはりハードとSIMとアプリ、この3つを自社で出し、トータルソリューションを提供することが大切です。ですから、「なぜFREETELがMVNOを」というよりも、最初からMVNOをやろうと思って会社を作っています。

 ハードはハードで最高品質のものを作り、ユーザーのニーズに合ったものにするためにフルラインアップをそろえる。SIMはSIMでいいものにして、スピードにこだわる。料金プランもそうで、キャリア(MNO)と変わらないような、きめ細やかな料金が今後は必要になってきます。

 レイヤー2接続はもともとの事業モデルにあって、準備は当然してきました。ただ、声を大にして言いたいのは、レイヤー2接続は、あくまでゴールではなくスタートだということです。このタイミングでスタートして、新しいシステムを導入することができたいので、そこからいろんなプランを出すための設備投資をしていきます。今後は、もっと面白いプランも出てくるのでご期待ください。

―― 面白いプランという点では、6段階に変動する今回の料金プランはいいですね。個人的には、非常に使い勝手がいいと思います。

増田氏 エンドユーザーさんの声を聞けば、当然そうなるプランです。物の価格っていろいろあって、例えばラーメンだったら700円、800円、牛丼だったら500円ぐらいということがすぐに分かりますが、自分が何Gバイト使うかは普通だと分からないですよね。今までだと、「たぶん3Gバイトぐらい使う」というような推測で料金が決まっていました。でも、自分で分からないのに、それで料金が変わってしまうのはやっぱりおかしい。使った分だけ、最適な価格を提供するのが普通なのです。ドリンク1杯120円というのと、同じことをやっているだけだと思っています。

FREETEL SIMは想定をはるかに超えて好評

―― やはり、この料金プランは好評だったのでしょうか。ユーザーの反応を教えてください。

増田氏 おかげさまで、ブッチギリだと思います。想定をはるかに超えていると言えばいいのでしょうか。売れたこと自体もうれしいことですが、我々の趣旨にご賛同いただけたことが何よりうれしいですね。

 料金だけでなく、我々のSIMはスピードがめちゃくちゃ速い。今日もTwitterを見ていたら、「FREETEL SIMだけ爆速」と書かれていました。いいものが低価格なら、やはりうれしい。マーケットをしっかり作っていこうと思っているので、あくまで品質ありきの低価格です。

―― 速度に関しては、MVNOのビジネスモデルを考えると、どうしてもユーザーが増えると遅くならざるをえないのではないでしょうか。今は、サービス開始直後だから速いということはないですか。

増田氏 常に、毎日、トラフィックはトラックしていますし、真剣にSIMフリーキャリアとしてマーケットを作ろうと思っています。ほかのMVNOの速度までは見ていませんが、我々の使命として(速度の維持は)やっていくつもりです。

―― つまり、お金も人もつぎ込んでということですか。

増田氏 はい。それって、信頼だと思うんですよね。安いものだと、信頼というより、安いから買ってしまうところがあります。その中にある、エンドユーザーさんとの信頼関係は、メーカーとして守り続けなければいけないものだと思っています。

ヨドバシカメラでFREETELユーザーが増加中

―― ちなみに、SIM単体で買われる方も多いのでしょうか。FREETELというと、やはりハードウェアのイメージも強いので、セットで買われる比率も高いように思われますが、いかがでしょう。

増田氏 セットで買われている方が多いですね。ヨドバシさんに、FREETELのコーナーが増殖中です。エンドユーザーさんの声としてあるのが、やはり今まではキャリア(MNO)さんで、(SIMと端末を)一緒に買っていたということです。SIMフリーということで端末は端末、SIMはSIMでというと、自分であちこちに問い合わせしないといけない。ひどい場合だと、たらい回しにされたりすることもあります。ですから、FREETELコーナーを作り、ハードとSIM、アプリまでをいっしょくたにして提供できる環境を作りました。

 サポートにも力を入れていて、ご覧のとおり、サポートセンターはきっちり社内に作っています。

photo プラスワン・マーケティング本社内の一角に、常駐のサポートを置いている

―― ちなみに、フリモバのころのユーザーがFREETEL SIMに移行したいという場合は、どうなるのでしょうか。

増田氏 特別な移行プランを用意しています。フリモバのユーザーは、まだまだ知名度の乏しかったfreetelの製品を、最初のころから買っていただいた方々です。よりいいサービスを、移行しやすくご提供するのは、メーカーとしての使命です。特別な手当てをするので1件1件手作業にはなりますが、時間をかけてやっていきます。

―― 逆に、そのままでいいという人は、フリモバのサービスを継続できるということでよろしいでしょうか。

増田氏 もちろんです。サービスとして、いきなりぶった切るわけにはいかないですからね。

―― 毎月、一定額しか料金は払いたくないという人もいますが、途中で通信をストップすることもできるのでしょうか。

増田氏 はい。節約モードというものを用意していて、設定したところで止まるようになっています。そういうことができるのも、レイヤー2で、かつその先のシステムにしっかり投資しているからですね。つまり、レイヤー2接続はあくまで前提なんです。来年(

2015年)には、こういうことをやってきたらこのようなサービスができたというもの、そういうものが必ずできると思います。このマーケットを真剣に作ろうとしている者の意地みたいなものですね。

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