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» 2015年09月04日 10時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:NTTドコモが文字入力アプリ「Move&Flick」を提供━━スマホとアプリは身体の不自由な人に優しい存在であるべき

ドコモが開発したiOSアプリ「Move&Flick」は、手元を見ることなく文字入力が可能になるというものだ。同社は8月26日に視覚障がい者の方を集め、Move&Flickの説明体験会を行ったので、その様子を取材してきた。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモはスマホ向けの文字入力アプリ「Move&Flick」の配信を開始した。

 手元を見ることなく文字入力が可能になるというものだ。

 もともとNTTサービスエボリューション研究所というところが、新しいユーザインタフェースの基礎研究を行っており、障がい者雇用を促進しているNTTグループの特例子会社であるNTTクラルティの社員などの視覚障がい者の意見を反映し、NTTドコモが製品化したものだという。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年8月29日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。


「石川温のスマホ業界新聞」バックナンバー

 NTTドコモでは8月26日に視覚障がい者の方を集め、Move&Flickの説明体験会を行ったので、その様子を取材に行ってきた。

 Move&Flickは、スマホの画面の下段中央部分に文字入力エリアがあり、そこに指をタッチさせたのち、8方向のいずれかに指をスライドさせると文字入力が可能になる。8方向はAKSTNDZGという子音となっており、まず1回目に子音を選択、その後、母音を選択して1文字を入力する流れとなる。最初に出てこない子音はもう一度、画面をタッチすると表示されるようになる。

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 画面の右側面を上下にすると変換、左にフリックすると削除、左側面から右にフリックすると小文字が打てる。

 実際、画面を見ながら操作しても、かなり煩雑でわかりにくい感がある。全く新しい入力方法であるため、それも仕方ないだろう。やはり、こうした操作方法は、覚えるまでがどうしても大変だ。

 ただ、これがさらに視覚障がい者の方となると、相当、入力するのに苦労しているように思えた。

 実際、説明体験会では、講師の方が口頭で説明するのだが、それを聴きながら、スマホを触って操作して、覚えていく必要がある。すぐ近くで視覚障がい者の方の操作を見ていたが、いま、画面に何が表示されているか、そもそも入力画面になっているかも把握できていないので、全くと言って良いほど文字が打てていなかった。

 これを使いこなして、スマホで文字を打ってメールするまでには、相当な慣れと時間が必要だろうし、習得するまでに断念してしまいそうな感もあった。

 参加していた視覚障がい者の方の意見に耳を傾けてみると「鍼灸師の仕事をしており、指先の感覚はとても敏感。ちょっとでも画面に段差があるだけで、操作性が一気に改善する」という話をしていた。

 やはり全盲の方にとっては、文字入力の画面構成を頭で想像して理解するのは難しい。しかし、画面や本体側面に少しでも凹凸があるだけで、操作性は一気に増すということであった。

 ただ、視覚障がい者の方が、全くスマホを操作しないというわけではないようだ。

 参加者の中には、iPhoneのアクセシビリティ機能で、スマホを活用している人もいた。そうした人が必ず装着しているのが、Bluetoothのヘッドセットで、iPhoneからの音声による反応をヘッドセットで聴きながら、上手に操作していたのが印象的であった。

 また、参加者のなかには、ガラケーを器用に操作し、文字を打っている人もいた。やはり、ガラケーのキーが押しやすく、判別しやすいので、文字入力や操作がしやすいのだろう。こうしたニーズを見ると、ガラケーも今後も継続して生産し続けるべきだと思ったほどだ。

 NTTグループの今回の文字入力アプリへの取り組みは、視覚障がい者の方が少しでも快適に生活が送れるような支援として評価したい。実際の使い勝手はまだ研究の余地がありそうだが、ここは諦めずに進化を続けてもらいたいものだ。

 これまで生活が不便と感じていた障がい者の方々が、スマホやアプリの力によって、少しでも日々を快適に送れるようになることが、技術の進化として重要だと改めて認識させられた時間であった。

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