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» 2015年12月09日 06時00分 UPDATE

「5G」で日常生活はどう変わるのか? 10Gbps以上の通信を可能にする秘密とは? (1/2)

モバイル通信の次世代規格「5G」では、10Gbpsもの超高速通信が可能になるが、それによって私たちの生活はどう変わるのだろうか。また、どんな技術で5Gを実現するのか。ドコモが各ベンダーと共同で行っている実証実験を見てきた。

[田中聡,ITmedia]

 NTTドコモは、2020年の商用サービス開始を目標に、次世代通信規格「5G」の技術開発を、世界の主要インフラベンダーと進めている。5Gの特徴として、LTEの100倍を超える「高速通信」、LTEの1000倍ものユーザーを収容できる「大容量化」、無線区間の「低遅延化」、多数の端末との「同時接続」、そして「低コスト」「低消費電力」などが挙げられる。

photophoto 5Gで目指す世界(写真=左)。モバイル通信は、10年ごとに進化を遂げてきた(写真=右)
photophoto 5G実現に向けたロードマップ(写真=左)。ドコモが5G技術を共同開発しているベンダー(写真=右)

 では、5Gで私たちの生活はどう変わるのだろうか? またどんな技術で高速化を図ろうとしているのか? 同社が11月26日〜27日に「NTTドコモ R&Dセンター」で開催した「DOCOMO R&D Open House 2015」にて、その一端を見ることができた。

ドコモが描く「5Gの世界」

 ドコモがYouTubeで公開している「Sharing our Future」では、「ちょっとだけ未来の世界」を舞台に、5Gが普及した世界が描かれている。まずは1日のスタートでもある朝のシーンから。腕に巻いたウェアラブル端末が男の子を起こしてくれ、それに連動してスピーカーから音楽が鳴り、エアコンが稼働する。

photophoto ウェアラブル端末がユーザーを起こしてくれる。曲面ディスプレイが未来的だ(写真=左)。男の子が起きたことをウェアラブル端末から通知を受けると、エアコンが自動で稼働する(写真=右)

 キッチンにいるお母さんは、専用のモニターから、家族の誰が起きているのか、どこにいるのかが分かる。このデバイスを通じて、男の子が装着しているウェアラブル端末と通話もできる。ダイニングテーブルにはモニターが埋め込まれており、ここでニュースや予定をチェック。テーブルから通信ができるということで、IoT(モノのインターネット)の未来の姿といえる。

photophoto スケジュールや、家族の状態を管理できるデバイス(写真=左)。テーブルをスマホのように使える(写真=右)

 男の子は家族と一緒に、テニスの試合観戦に向かう。車は完全な自動操縦で、誰もハンドルを握っていない。車内にはホログラムでテニスの映像を投影して、迫力の映像を楽しめる。これが4Kクラスの映像だとすると、高速通信によるところが大きいのだろう。より早く到着するルートを案内したり、事故が起きそうになると緊急停止したりする……という具合に、通信と融合した車の姿も描かれている。

photophoto 車の中ではホログラムでテニスの映像を楽しむ(写真=左)。柔軟なルート案内も車が行ってくれる(写真=右)

 テニスの試合会場に到着したものの、家族とはぐれてしまう男の子。そんなときは、装着しているアイウェアで(あらかじめ登録した)家族を探すと、大勢の人がいる中でもすぐに見つけられる。そしてテニスの試合が開始。観客はアイウェアを通じて、プレーヤーの息づかいや眼前の光景を視聴することができ、試合の臨場感を味わえる。これは5Gの大容量化や同時接続のなせる業といえる。

photophoto アイウェアから遠くにいる家族を探索
photophoto プレーヤー目線でテニスのゲームを楽しめる

 こうした世界が5年後の2020年にすぐ実現するかといえば難しいだろうが、通信の新しい可能性を期待せずにはいられない。ドコモはさまざまなパートナーとの「協創」を推進しているが、5Gにおいても、どれだけ多くの事業者とパートナーシップを結び、新しい世界を提示できるかがカギを握っている。

photo 5Gではすべてのモノが無線でつながる世界を目指す

 ちなみに、「ドコモ・イノベーションビレッジ」では、5Gを活用したサービスやアイデアを募集するハッカソン「5Gアイデアコンテスト」を開催。2015年8月22日から11月24日までアイデアを募集し、12月10日にアイデア発表審査会を行う。ドコモは、こうした一般ユーザーの声も積極的に取り入れていく構えだ。

5Gの超高速通信を支えるさまざまな技術

 私たちの生活を一変させる可能性を秘めている5Gは、どのような技術のもとに成り立つのだろうか。DOCOMO R&D Open House 2015で紹介された最新技術を見ていきたい。

超高密度分散アンテナ技術

 富士通と共同実験を行っている「超高密度分散アンテナ技術」では、高いトラフィックが必要なエリアに小型基地局(分散アンテナユニット)を高密度に配置し、互いに協調して送信することで干渉を低減し、単位面積あたりのシステム容量を増大させる。デモでは4台の基地局が協調して同時に信号を送り、4台の移動局が同時接続するマルチユーザーMIMOにより、10Gbps前後の速度を出していた。5Gでの早期割り当てが見込まれる3〜6GHz帯での運用を想定している(実験では4.65GHz帯を使用)。

photophoto 超高密度分散アンテナ技術により、10Gbps近くのスループットを実現

5Gの電波伝搬を可視化

 「5G電波伝搬」では、5Gで使用する6GHz以上の高周波数帯での電波の伝搬特性を検証する。例えば基地局と端末との間に人が通ると、どれほどの影響があるのか? といったもの。20GHz帯のチャネルサウンダを使用することで、電波がどのように移動しているのを可視化できる。モニターでは電波が反射していることが分かった。

photophoto 電波の伝搬特性を検証。黄色い部分が、電波が反射している箇所(写真=右)

免許不要のWi-Fi周波数帯をLTEで使う「LAA」

 ドコモがHuaweiと共同で実証実験を行っている「LAA(Licensed-Assisted Access)」では、Wi-Fi(無線LAN)で使われていた免許不要の周波数帯でLTEを使用する。既存のLTEと、LAA(5GHz帯)のLTEで使う周波数を、キャリアアグリゲーションで束ねることで、さらなる高速化を図る。つまりLAAでは既存のLTEを補完的に使う形になる。

 今回は、近くでWi-FiとLAAの通信が同時に行われても、互いに干渉せずに通信品質が保てるかをチェック。まず、Wi-Fi(1)からLAAに切り替えると、通信速度が向上し、別途通信していたWi-Fi(2)と比べても、高い速度を安定して記録していた。Wi-FiとLAAを同時に通信をしても、干渉して速度が落ちることがない……ということが証明された。

photophoto Wi-FiとLAA通信が共存したときの通信特性を検証(写真=左)。赤い線がLAA。後半はWi-Fiよりも通信が速いことが分かる(写真=右)
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