「Snapdragon 820」の性能はどれだけ向上したのか?――リファレンスモデルで試した

» 2015年12月11日 17時51分 公開
[田中聡ITmedia]

 Qualcommが12月11日、中国・北京にて、アジアのメディア向けに「Snapdragon 820」の体験会「Snapdragon 820 Benchmarking Workshop Beijing」を開催した。

 Snapdragon 820は、Qualcommが開発したモバイル端末向けの最新プロセッサ。現在、70以上の端末への採用が決まっており、端末メーカーには2015年10月に出荷を開始。詳細な時期は未定だが、Snapdragon 820を搭載した端末は2016年に発売される見通しだ。

photo 70機種以上への搭載が決まっている「Snapdragon 820」

 CPUにカスタム設計を施した64ビットの「Kryo(クライヨ)」を採用し、1世代前の「Snapdragon 810」と比べて、CPUのパフォーマンスと電力効率が2倍向上したと同社は説明する。その他は「X12 LTEモデム」「Adreno 530」「Hexagon 680 DSP」で構成され、いずれもパフォーマンスと電力効率が向上しているという。プロセッサ全体では、Snapdragon 810より消費電力を30%抑えられるとしている。

photo Snapdragon 820の構成要素と進化点
photo Snapdragon 820と810の違い
photo Snapdragon 820では、従来よりも消費電力が特に下がっていることが分かる

 スマートフォンの性能はプロセッサで大きく左右されるが、実際のところ、Snapdragon 820はどれだけの機能アップを果たしているのだろうか。イベントでは、Snapdragon 820(MSM8996)を搭載したQualcommのリファレンスモデル(Androidスマートフォン)を使い、各種ベンチマークアプリを試すことができた。リファレンスモデルは、端末メーカーやアプリ開発者が購入できる評価機で、一般ユーザーの目に触れる機会はなかなかないが、今回は特別に操作できることになった。

photophoto Snapdragon 820(MSM8996)を搭載したリファレンスモデルを使用

 まずはベンチマークアプリでは定番の「AnTuTu Benchmark」から。こちらは最新バージョンの「6.0」でテストした。比較用として、Snapdragon 810を搭載した「Xperia Z4 SOV31」でもテストした。

 総合スコアはリファレンスモデルが129470、Xperia Z4が53288で、Snapdragon 820が約2.4倍の差をつけた。項目別(以下、リファレンスモデル/Xperia Z4の順で表記)では、3Dが53194/19971、UXが37853/15029、CPUが30858/13641、RAMが7565/4647。いずれもリファレンスモデルが大きく上回っており、「CPUのパフォーマンスが2倍向上」という説明が大げさでないことが分かる。

photophoto リファレンスモデル(写真=左)とXperia Z4(写真=右)のスコア

 他の端末も含めたAnTuTu Benchmarkの総合スコアランキングは、リファレンスモデルが1位となった。2位が「Mate 8」(Hisilicon Kirin 950)の92746、4位が「GALAXY Note 5」(Exynos 7420)の83944で、Qualcomm以外の最新プロセッサを搭載したデバイスと比べても高い数値を残した。

photo ランキングも1位に躍り出た

 CPUの性能を測る「Geekbench」(v3.3.2)では、シングルコアのスコアはリファレンスモデルが2340、Xperia Z4が757、マルチコアのスコアはリファレンスモデルが5347、Xperia Z4が3710で、こちらもリファレンスモデルが高い。

photophoto リファレンスモデル(写真=左)とXperia Z4(写真=右)のスコア
photo 比較対象のモデルが古いが、こちらもランキング1位だ

 グラフィック性能を測る「GFXBench 4.0」では、多くのテスト項目で、実際に描画した動画のフレーム数が、Xperia Z4よりもリファレンスモデルが大きく上回った。

photophoto リファレンスモデル(写真=左)とXperia Z4(写真=右)のスコア

 Snapdragon 820では、データの圧縮技術により、Webページの読み込み速度が50%速くなるという。リファレンスモデルには、この技術を取り入れたQualcomm独自のブラウザがインストールされており、JavaScriptの性能を測るベンチマーク「Octane」を動作させたところ、Chromeの9221に対して、独自ブラウザのスコアは11054と高かった。Qualcommのデータ圧縮技術を取り入れるかどうかは、ブラウザの提供元に委ねられる。

photo Webページの読み込み速度もアップ
photophotophoto 左から、リファレンスモデルで計測した独自ブラウザ、Chrome、Xperia Z4で計測したChromeのスコア。同じChromeだと、Xperia Z4と比べて確かに2倍(50%)ちょっと速くなっている

 ボディの発熱については、リファレンスモデルが比較的大きく厚いこともあってか、ベンチマークアプリを動かしている最中でも気にならなかった。商用端末もうまく放熱されているといいのだが……。

 短時間ながらリファレンスモデルを試した限りは、「性能」と「放熱」ともに、大いに期待できる内容だった。

 なお、時間の都合でベンチマークは1回ずつしか計測できなかったこと、リファレンスモデルに搭載したプロセッサは最終版ではなく、製品版とは異なる可能性があることをご理解いただきたい。また、ベンチマークスコアが高いからといって、普段使いでどこまで快適になるかは未知数の部分もあるので、あくまで参考値として捉えてほしい。

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