ハイエンドは主役が不在? ミッドレンジが成長した1年――選考委員が挙げた5機種スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2015(2/4 ページ)

» 2015年12月25日 16時30分 公開
[井上翔ITmedia]

佐野氏:「ガラホ」はユーザーをなめている?

佐野正弘氏 佐野正弘氏

佐野氏 僕の選択が一番誰ともかぶっていませんね(笑)。こうなったのにも理由があって、ここまで皆さんがおっしゃった通り、2015年はキャリアのフラッグシップがいまいち振わなかった印象が非常に強く、iPhoneは完成度は上がっていますし、XperiaやGalaxyもそれは同じなのですが、それが「今年(2015年)を象徴しているか」と言われると正直ピンと来ませんでした。

 そこで、別の方向に思い切り振ってみようと思い、この5機種を選定した趣旨です。「Fx0」を入れた理由は非常に単純で、「Firefox OS」がどうこう、というわけではなく、キャリアがスマホに手を入れるならここまでやってくれないと面白くないよね、という思いからです。キャリアの最近の動向を見ると、いかに安くスマホを調達して売るかという流れになってきていて、「面白いことをやろう」という提案がなくなってきているという印象があります。そうした流れの中で出てきたFx0は、「ねじ1本までこだわる」というやり過ぎ感はありましたが、ここまでのことをやる、という面白さはあってもいいかな、と思います。

 「MADOSMA」を挙げたのは、おおむね石野さんと同じ理由です。Windows Phoneの投入を表明したメーカーの多くが「Windows 10 Mobileが出てから」として投入時期を延期する中で、それを待たずに「Windows Phoneをいち早く届ける」という選択したマウスコンピューターに敬意を表したい、という理由です。

 「ARROWS NX F-04G」には、不具合もありましたが、2015年の富士通はすごく頑張っていたのではないかと思います。いろいろ見て思いましたが、富士通は特徴のある機種をしっかり投入してきました。F-04Gは「虹彩認証」という明確なテーマを持って登場して、そのことが印象に残っていたので選びました。

 「AQUOS EVER SH-04G」は、先ほど挙げたキャリアの流れの象徴的な存在なのかな、と思います。この機種あたりから、「スペックは高くないけれど、安値で売ります」というミッドスペックのスマホをキャリアが積極的に導入するようになりました。なので、推薦する5機種の中に入れました。

 本当は、個人的には「AQUOS K」を推薦したかったのですが、いわゆる「ガラホ」が対象外ということで、結果的に「Wine Smart LGS01」を入れることにしました。Wine Smartというスマホ単体、というよりは、「J:COM MOBILE」がMVNO(仮想移動体通信事業者)としてかなりの独自性を見せたことと、あえて折りたたみ式のスマホを選んだことを評価しました。端末としては、ガラホにはない「Google Play」がそのまま入っていることがポイントです。(Google Playをあえて入れないことで)コンテンツを使わせない、というのは今の動向を考えると「ユーザーをなめている」という印象が非常に強く、そこまで制限する必要があるのか、という思いがあります。そんな中で、Wine Smartは折りたたみスタイルで、スマホのアプリが使えて、緊急地震速報も使えて、サポートも安心である、というJ:COM MOBILEのトータル的な取り組みが印象に残ったので選びました。

島氏:「ハイスペック」とは快適に使えること

島徹氏 島徹氏

島氏 今年(2015年)のスマホは、SIMロックフリースマホも含めてハイエンドからローエンドまで幅が広がりました。そんな中で、今の「ハイエンド」スマホとは何なのだろうと考えてみると、高速なCPUやGPU自体は大半の人にとっては不要なんですよね。それなのに、なぜ「ハイエンド」を選ぶのか、というと、「とりあえず何をしても安定して動く」という安心感が大きいんですよね。いっぽう、2015年は、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」など、各社からソーシャルゲームの成功をもとに、ハイエンドスマホの性能を前提とした豪華な3Dゲームを作る、という新しい流れもできてきました。

 じゃあ、「豪華な3Dゲームを含めて、より快適に使えるスマホはどれだろう」と言われると、「iPhone 6s」や「Galaxy S6 edge」が性能と動作ともに安定していて良かったと思います。

 「Xperia Z5 Compact」は、発熱の問題が大きな話題となった「Snapdragon 810」を搭載していながらも動作は安定しています。また、Xperia Z5とほぼ同じ機能の「片手で使えるハイエンド」であることや、他のメーカーと比べると「周回遅れ」ではありますがキャップレス防水になったことも評価しています。

 スマホのカメラで何か面白いものを、という観点では「LUMIX DMC-CM1」のようにハイエンドのカメラを内蔵するのもいいですが、画像処理ありきで「二眼カメラ」を操って高画質化やエフェクトを楽しめる「honor6 Plus」のほうがスマホらしくて面白いので選びました。後からピントやボケを変えられるほうが一般ユーザーからしたら面白いのではないかと。2015年のHuaweiスマホは、「Nexus 6P」がレーザーオートフォーカスや光学手ブレ補正、高画質なインカメラを搭載して実際の画質も以前より良くなっています。そろそろカメラをテーマにしたフラッグシップモデルが出てもいいのではないか、と期待しています。

 「Priori 3 LTE」は、1万円台で買えて1000円台で運用できる、という「格安スマホ」の象徴として選びました。Ascend G620sとともにこの安さは衝撃的です。

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