Xperiaは「インテリジェンス」を持つコミュニケーションツールへ――Xperia“第3章”の幕開けMobile World Congress 2016(1/3 ページ)

» 2016年02月26日 03時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 ソニーモバイルコミュニケーションズは、「Mobile World Congress 2016(MWC 2016)」の開催に合わせて、スマートフォンの新モデル「Xperia X」「Xperia XA」「Xperia X Performance」の3機種と、Xperiaブランドのスマートプロダクト4種類(うち3種類は参考展示)を発表した。

日本でも発売予定の「Xperia X Performance」 日本でも発売予定の「Xperia X Performance」

 今回の発表において注目すべきポイントは3点ある。1点目はXperiaをスマホ・タブレットからスマートプロダクトに拡大したこと。2点目はスマホのフラッグシップモデルに「Z」の名が付いていないこと。そして3点目は中核となるモデルが本当の意味でのフラッグシップ(ハイスペック)モデルではないことだ。これらのポイントは、Xperiaの進む方向性の変化を示唆している。

 2月25日(現地時間)、同社はMWC 2016会場内の会議室でメディアラウンドテーブル(現地で取材をしている報道陣向けの説明会)を開催した。ラウンドテーブルでは、商品企画統括部長の伊藤博史氏が、今後のXperiaブランドの方向性や今回の発表に関する説明を行った。本稿では、ラウンドテーブルの模様を簡単にご紹介する。

新しいXperiaのキーワードは「インテリジェンス」

ソニーモバイルコミュニケーションズの伊藤氏 ソニーモバイルコミュニケーションズの伊藤氏

 新しいXperiaでは「Empower the future of communications(未来のコミュニケーションに力を与える)」をテーマにしている。「(ユーザーの)毎日の生活をサポートし、より豊かな生活のために寄り添えるか」(伊藤氏)を常に考えてきたソニーモバイルコミュニケーションズだが、その姿勢をより強固なものにしていくことをこのテーマで示している。

 このテーマを語る上で重要なキーワードが「インテリジェンス(知性)」だ。ソニーグループが培ってきた気の利いた技術などをもとに、Xperiaをより“知的”な存在にしていこう、というのだ。

新しいXperiaのテーマ 新しいXperiaのテーマは「Empower the future of communications」

Xperia“第3章”の幕開けを象徴するスマートプロダクト

 伊藤氏は、新テーマにもとづく新製品群を「Xperiaの“第3章”の幕開け」であると位置付ける。

 第1章は、OSにAndroidを採用した「Xperia X10」(日本では「Xperia SO-01B」として発売)から始まった。この章では、PC並みの表現力を持つWebブラウザや多彩なAndroid用アプリによって「Webコミュニケーションを切り開い」た。

 第2章は、「Xperia Z1」から始まった。この章では、「One Sony」をキーワードにスマホやタブレットにソニーが持つ技術を取り込んでいった。その「究極の集大成」が、「Xperia Z5」シリーズだ。

 そして、MWC 2016で発表された新製品群が第3章のスタートとなる。その象徴であり、「スマートフォンの枠を超えて、新しいコミュニケーションツールを提供」すべく登場したのが、Xperiaブランドのスマートプロダクトだ。「1日のうち、下を向いてスマホを見ている時間が非常に長くなった」という実感をもとに、顔を上げて前を見ることで周囲を見渡して、コミュニケーションがより円滑に進むようにと企画されたものだという。

Xperiaブランドを冠するスマートプロダクト Xperiaブランドを冠するスマートプロダクト4製品。スマホ・タブレット製品以外では初のXperiaとなる

Xperia Ear:イヤピースに「インテリジェンス」を

 「Xperia Ear」は、ソニーのセンシング技術を盛り込んだ「次世代のイヤピース」で、今回発表されたスマートプロダクトの中で唯一、商品化が決定している。耳に入れると、不在着信を知らせてくれたり未読メッセージやニュースを読み上げてくれるほか、ボイスコマンドで電話を着信したり、メールを返信したり、ボイスナビゲーションを開始したりできる。

 連続稼働時間は単体で約3時間だが、同梱のバッテリー入りケースで充電しながら使うと12時間(半日)使えるという。使わない時はケースにしまって、「スマホの画面を見られない時、あるいは別の作業により集中したい時」に装着する、という使い方を想定しているようだ。

Xperia Earの本体Xperia Earのケース Xperia Earの本体は非常にコンパクト(写真=左)。同梱のバッテリー入りケースと併用することで連続稼働時間は約4倍の約12時間となる。ちなみに、カラーバリエーションはXperia Xシリーズと同じ4色展開を予定している(写真=右)

Xperia Eye:ウェアラブルカメラに「インテリジェンス」を

 「Xperia Eye」は、ソニーのカメラセンサー「Exmor RS for Mobile」にフィッシュ(魚眼)レンズを組み合わせることで、縦横180度ずつ計360度のパノラマ撮影が可能なウェアラブルカメラ。コンパクトなアルミボディは「パッと見ただけで、Xperia(ファミリー)の製品だ」と分かってもらえるように工夫しているという。

 本体にはクリップが付いており、服やズボンのポケットに取り付けることで「日常から、非日常を切り出す」ことができる。カメラの向きを気にしなくてもいいように、内蔵センサーを活用していつでも正しい向きで写真を撮影できるようにしている。また、魚眼レンズの宿命ともいえる画像のひずみについても、ソニーの画像補正技術を活用することで抑えている。

 Xperia Eyeにおけるインテリジェンスは、撮影そのものにある。「日常から非日常を切り出す」といっても、ずっと撮影し続けていては画像や動画の整理が大変になってしまう。そこで、Xperia Eyeでは顔認識技術と音声認識技術を組み合わせた「インテリジェントシャッター」機能を備えている。撮影すべき場面を、カメラ側が自動的に判断してシャッターを切ったり動画の撮影を開始したりするようにすることで、煩雑な画像・動画の整理から開放される。

Xperia Eye(正面)Xperia Eye(背面) Xperia Eyeはクリップを備えており、胸ポケットなどに装着可能
Xperia Eyeの周辺機器その1Xperia Eyeの周辺機器その1 Xperia Eyeにさまざまな周辺機器を取り付けることで、楽しみ方はより広がる

Xperia Projector:プロジェクターに「インテリジェンス」を

 先述の通り、「下を向いてスマホを見ている時間が非常に長くなった」のは、外出中・仕事中に限ったことではなく家庭内にいても同様だ。家族がスマホ・タブレットを使っていると、家族全員が「下を向いて」しまう。

 そこで、「家族が集えるような空間を創出」すべく、「Xperia Projector」は、ソニーの超短焦点プロジェクター技術を利用し、タッチ操作・ジェスチャー操作・音声認識機能でスマホ・タブレットと同じように音楽・動画・ゲームなどを楽しめるインテリジェントなプロジェクターを企画することになった。それが、「Xperia Projector」だ。

 本体には近接センサーが入っており、近づくと自動的に投影を開始するようになっている。また、傾きセンサーによって、本体の置き方を自動的に検知して投影する画像の向きを自動調整する機能も付いている。

 具体的な仕様や対応サービスはまだ企画途中とのことだが、家族の顔を認識してその人に合ったコンテンツを表示する機能、家族で共有できるカレンダーやメモの機能、テレビ電話を使って「窓と窓をつないだ」ように遠隔地にいる家族と話し合える機能などの搭載を検討している。電源を用意できない場所で使うためにバッテリーの搭載も検討しているという。

Xperia Projector(壁投影)Xperia Projector(テーブル投影) Xperia Projectorは、本体の向きを変えれば壁にも(写真=左)、テーブルにも(写真=右)画像を投影できる
Xperia Projector(ファミリーカレンダー)Xperia Projector(テレビ電話) Xperia Projectorの対応機能は現在検討途中だが、具体的な使い方の例としてファミリーカレンダー(写真=左)やテレビ電話(写真=右)などが示された

Xperia Agent:Ear・Eye・Projectorを“合体”して擬人化させたもの

 これまで取り上げた3つのスマートプロダクトで使っている技術を“合体”して、パーソナルエージェントとして「擬人化」したものが、「Xperia Agent」だ。カメラなどで個人を認識し、話しかけると個人に合った情報を読み上げてくれる機能を持ち、必要に応じて単焦点プロジェクターで画像情報を表示してくれる。

Xperia Agent Xperia Ear/Eye/Projectorの要素技術を全て搭載したパーソナルエージェント「Xperia Agent」。筆者的には、4つのスマートプロダクトの中で一番「試作感」を強く感じた
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