インタビュー
» 2016年04月27日 11時53分 UPDATE

「iPhone 5s」で若年層を取り込んだY!mobile――SIMフリー戦略や「Y」との連携はどうなる? (1/3)

3月に「iPhone 5s」を発売し、SIMカードの販売も強化するなど、Y!mobileが攻めている。MVNOとも競合するため、脅威に感じている会社もあるだろう。一方でYahoo!との連携は薄まった感もある。そんなY!mobileの最新戦略を聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 Y!mobile(ワイモバイル)が好調だ。ソフトバンクグループの代表取締役社長兼CEO、孫正義氏が「稼ぎ頭」と呼ぶほどで、その勢いは、家電量販店などの店頭からも伝わってくる。もともとラインアップしていたミドルレンジのAndroidスマートフォンに加え、春商戦にはiPhone 5sを導入。学生を中心に、販売数を伸ばしている。

 SIMカードのみの販売にも力を入れ始めている。ヨドバシカメラなどの大手家電量販店には、SIMロックフリースマートフォンを並べたコーナーができ、MNPには“キャッシュバック”も付ける。こうしたSIMカードの単体販売はMVNOの十八番だっただけに、その勢いを警戒する会社もあるようだ。

 では、Y!mobileの人気の秘密はどこにあるのか。ソフトバンクの執行役員 YM事業推進本部 本部長の寺尾洋幸氏が語る同キャリアの最新戦略から、その理由をひもといていきたい。本稿の価格はいずれも税別。

Y!mobile ソフトバンクの執行役員 YM事業推進本部 本部長 寺尾洋幸氏

iPhone 5sを出したことで若年層が増えた

――(聞き手:石野純也) Y!mobileが伸びていると聞きます。その理由を、どのように捉えていますか。

寺尾氏 率直に、スマホが非常に伸びています。こうなった大きな変化は2つありました。1つが、大手キャリアの動きが、総務省のご指導によって止まってしまったこと。MVNOの皆さんも血気盛んだと思いますが、そちらも含め、われわれにも興味が向いてきました。

 もう1つ、Y!mobileを選んでいただけない理由に「iPhone」がありました。正直、iPhone 5sを出すときも、「そんなに売れるのか」という思いはありましたが、結果はこうです(売れている)。しかも、意外とAndroidとの食い合いにもなっていません。iPhoneを買いたい層と、Androidを買いたい層、どうもこの2つがあるようです。

 ウィルコム、イー・アクセスからワイモバイルになりましたが、その際に、客層が変わりました。シニアというにはまだ若いのですが、50代、60代や、もう少し上の方まで入ってきて、その傾向が続いています。これが、iPhone 5sを出したことで、ものすごく若い方にも来ていただけるようになりました。この若い層が、丸々アドオンされた形です。やはりiPhoneはすごい端末ですね。

 結果として、3月はBCNさんの数値で前年比2.6倍の販売数になりました。これはY!mobileになってから最高の数値です。スマホはコモディティ化がどんどん進んでいて、2年前、3年前から、残念ながら大きく進化していません。その中で、過去のiPhoneを出したり、安いAndroidを出したりしてきましたが、普通の方が使うにはこれで十分いい。そういうものを選んでいただける土壌ができ、総務省の動向もあってこういった結果になっているのだと思います。

Y!mobile 3月4日に発売したY!mobileの「iPhone 5s」は、高校生を中心に売れているという

―― なるほど。やはりスマホがしっかり売れてきているということですね。一方で、家電量販店を見ると、SIMカードの単体販売も大々的に展開しています。ここに力を入れ始めたのは、なぜでしょうか。

寺尾氏 力を入れ始めたというより、最初からです。もともと僕らの設計は、幅を広くしています。お伝えするのは難しいのですが、理解していただければ、ものすごく安く使える仕掛けも入れています。一方で、初めての方には分かりやすいものを提供するようにしています。

 最初から、SIMフリー端末を扱えるようなAPNも入れていましたし、積極的には推していませんが、1契約に3枚のSIMを付けられるシェアプランも提供しています。なかなか伝えるのが難しいので地味にやっていますが、そういう仕掛けもあるということです。

 私自身、Y!mobileを使っていて、スマホやPHSなど、家族で計7台契約していますが、月々の料金は合わせて8000円程度です。上手に組み合わせると、このくらいに仕上がる。もちろん端末は別途買っていますが、そういうことができるように作っています。

 以前のインタビューで、スマホだけでなく、さまざまなデバイスが広がってくるということをお話しましたが、その一環としてSIMフリー端末が増えてくれば、それを使える土壌はありました。

量販店は安心して売ってもらえる

―― SIMにキャッシュバックを付ける形で、SIMフリー端末を値引いているのには驚きました。

寺尾氏 端末を作って売るのも、出ているものに(割引を)付けるのも、原価は同じです。経済原理に従っているだけで、市場が大きくなったところには対応していきます。

―― 規模感としてはいかがですか。

寺尾氏 全体から見ると、まだそんなには大きくないですね。ただ、家電量販店さんにも、僕らがバックにつくので(SIMフリー端末の販売に関して)安心していただけます。そういった安心感や、営業力はありますね。僕らも量販店さんから声が上がってくれば対応しますし、SIMフリー端末でダメならわれわれのスマホを売るという手もありますから。

Y!mobile 量販店でも存在感を高めている。写真はヨドバシカメラマルチメディアAkibaで3月31日に撮影したもの

―― その動きに脅威を感じているMVNOもいるようです。

寺尾氏 そんなにあおらないでください(笑)。ただ、結局大手キャリアと同じモデルになっているところはジレンマでもあります。総務省の規制が入るというのは、知恵を出せということ。結局のところ、お金は強いのですが、それでは安直です。もう一段、出し抜きにいかなければと思っているところです。

―― ちなみに、量販店だけで見ても、まだY!mobileのスマホの方が割合は上ですか。

寺尾氏 そうですね。それでも、まだわれわれのスマホの方が多くなっています。オススメしやすいのは、間違いないですからね。SIMフリーと比べたらわれわれのスマホの方が設定などは分かりやすいですし、故障の際の保障もある。企業的な事情もあるので、どちらを売るかといったらわれわれの方になりますし(笑)。

 ただ、この先は、正直どうなるか分かりません。SIMフリー端末はどんどん安くなっていますし、周波数帯もきっちり合わせてこられると、差が出しづらい。そこに何か仕掛けていきたいとは思っています。もう一段の成長や、お客さんのニーズを考えたとき、自由に買えるというのは大きなポイントです。その仕掛けづくりは考えていきたいですね。

 あと、iPhone 6sもSIMロックの解除ができるようになりました。これも、ぜひロックを解除してうちで使っていただきたいですね。

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