iPhone 7では防水・防塵対応となった。特に防水は0から8まである等級の中で、水中で使うことを想定するダイバーズウォッチなどに次ぐ高い防水能力が認定された。海水対応ではないのでビーチでは使えないが、水の中に落としてしまった程度の水没であれば問題なく使用継続できる。製品が高額なだけに、防水対応を歓迎するユーザーは多いのではないだろうか。
防水手段は主に2つある。1つは「ガスケット」と呼ばれ、樹脂のパッキンを構造物とボディーの間に挟んでネジ止めし、パッキンを密着させることで水の浸入を防ぐ方法。もう1つの手段は「防水シート」と呼ばれ、空気は通すが水は通さない性質を持つ。このような防水素材は日本の部材メーカーが得意としており、今回の防水・防塵対応の影の立役者なのかもしれない。
一般的に、モバイル端末を防水・防塵対応にすると4ドル程度のコストアップになるといわれている。しかしガスケットや防水シートの価格はそれほど高くない。全部合わせても1ドル程度と思われる。差額分は、防水認証を得るための試験対策や保証などに費やされていると推定される。
日本のiPhone 7はついにFeliCaに対応し、Apple Payが利用可能になったことも話題を集めている。今回のFelica対応は、同じNFC制御ICに対するソフトウェア拡張で実現されており、Felica用に新たにICは搭載されていないようだ。米AT&TモデルにおいてもNFC周辺のIC構成は日本モデル同じで、理論的にはFelica搭載が可能だが、ソフトウェアによりNFCのみ対応となっているようだ。
美しい写真を撮影する上で威力を発揮する光学式手ブレ補正(OIS)は、カメラモジュールの原価を4ドル程押し上げるため、上位機種限定の装備である。Appleも同様で、これまではiPhone 6s Plus限定であった。しかし今回はiPhone 7にも光学式手ブレ補正が装備された。
デジカメとは異なり、スマホのカメラにはシャッターは付いていない。カメラのフィルムにあたるCMOSイメージセンサーをオンにして光を電気信号に変え、プロセッサで画像化する。
照明を落としたレストランや夕方など光の量が少ないシーンでは長時間光を受ける必要があり、この際に手ブレの影響が出やすい。光学式では手ブレと反対方向にレンズを物理的に動かすことでブレを修正する。光学式だけが手ブレを補正する手段の全てではないが、高額スマホに搭載が進んでおり、今後とも普及が進むと思われる。
カメラモジュールは日本メーカーが活躍する分野の1つだ。フィルムにあたるCMOSイメージセンサーはソニー製だ。CMOSイメージセンサーを支えるセラミック基板は日本ガイシや京セラが有名だ(iPhoneへの採用状況は不明)。レンズは中国のラーガン製と推定されるが、これらを組み立てているのはシャープやカンタツなど日本メーカーが多い。
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