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» 2017年09月10日 06時00分 公開

石野純也のMobile Eye:「18:9ディスプレイ」「デュアルカメラ」「AI対応チップ」 IFA 2017で見えたトレンド (1/3)

IFAは年末商戦から春商戦までを占ううえで、欠かせない展示会だ。このIFAで見えてきた、スマートフォンの最新トレンドをまとめた。日本市場への影響も合わせて考察していこう。

[石野純也,ITmedia]

 9月1日から6日(現地時間)の6日間に渡り、独ベルリンで、世界最大の家電関連見本であるIFAが開催された。IFAのオープニングカンファレンスで、会場となるメッセ・ベルリンのCEO、クリスチャン・ゲーケ氏が語っていたように、IFAの展示は、「Ready to market」(市場に出る直前のもの)で構成される。「ここで見て、クリスマス商戦で買える」(同)というように、市場と直結しているのが最大の特徴だ。

IFA 2017 独ベルリンで、6日間に渡ってIFAが開催された
IFA 2017 オープニングカンファレンスで、IFAの役割を語る、メッセ・ベルリンのCEO

 もともとは放送機器の展示会だったIFAだが、近年は家電やITを取り込み、AndroidやiPhoneが登場して以降は、クリスマス商戦に向け、グローバルメーカーが最新モデルを発表する重要な場になっている。例えば、ソニーモバイルはXperiaの最新モデルである「Xperia XZ1」「Xperia XZ1 Compact」などを発表。今は独自イベントに切り替えてしまっているが、サムスン電子のGalaxy Noteシリーズは、以前はIFAでお披露目されていた。

IFA 2017
IFA 2017 日本のユーザーの関心が高い、「Xperia XZ1」「Xperia XZ1 Compact」も発表された

 日本への影響という意味では、年末商戦から春商戦までを占ううえで、欠かせない展示会になっているというわけだ。このIFAで見えてきた、スマートフォンの最新トレンドをここにまとめた。日本市場への影響も、合わせて考察していこう。

18:9のディスプレイはミッドレンジへ拡大、iPhoneも採用か

 2月にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressで、LGエレクトロニクスが18:9のディスプレイを搭載した「G6」を発表したのを皮切りに、スマートフォンが“縦長”になろうとしている。同様のコンセプトは、Samsung Electronicsも採用。日本でも発売された「Galaxy S8」「Galaxy S8+」には、それよりももう少し縦に長い、18.5:9のInfinityディスプレイが売りとなっている。このInfinityディスプレイは、8月に米ニューヨークで発表された「Galaxy Note8」でも踏襲されている。

IFA 2017 Samsung Electronicsのプレスカンファレンスでは、欧州に向けあらためて「Galaxy Note8」がお披露目された

 LG、Samsungともに、この比率のディスプレイはスマートフォンのスタンダードになると考えており、フラグシップモデルへの採用を続けていくようだ。IFAでは、まず、LGがクリスマス商戦向けに「LG V30」を発表した。LG V30は、Snapdragon 835を搭載したハイエンドモデル。18:9という比率はG6と同じだが、有機ELという点が大きな違いだ。

IFA 2017 18:9の有機ELディスプレイを搭載した「LG V30」

 有機ELの持つ応答性の高さを生かし、G6では非対応だったGoogleのVRプラットフォーム「Daydream」も利用できるようになる。LG V30の発表会には、GoogleのVR/AR担当もゲストとして登壇。「LGとのパートナーシップにより、日韓でDaydreamを推進していく」と語っていたため、このモデルは、日本でも発売されることになりそうだ。一方で、同社はミッドレンジモデルにも18:9のディスプレイを搭載し始めている。LGのブースには、欧州で発売になったばかりの「LG Q6」を展示。同端末のプロモーションを会場内で行うなど、アピールにも余念がない。

IFA 2017 発表会にはGoogleのDaydream担当も登壇。日本でも同プラットフォームを展開していくという
IFA 2017
IFA 2017 VRヘッドセット「Daydream View」をV30で体験

 同様に、IFAではローエンドやミッドレンジを得意とするメーカーが、続々と18:9のディスプレイを採用しているのが印象的だった。中でもインパクトがあったのが、日本でSIMロックフリースマートフォンとして「Tommy」を発売したフランスメーカーのWiko。同社は「VIEW」シリーズとして、一挙に3機種のミッドレンジスマートフォンをIFAに合わせて発表した。

IFA 2017
IFA 2017
IFA 2017 WikoはVIEWシリーズを一挙に3機種展開する。上から「VIEW」「VIEW XL」「VIEW PRIME」

 価格は最上位モデルとなる「VIEW PRIME」でも、269ユーロ(9月8日時点のレートで約3万4924円)。もっとも安価な「VIEW」に至っては、179ユーロ(約2万3239円)だ。欧州の一部に端末を展開する中国メーカーのZopoも、18:9のディスプレイを搭載した「P5000」などをIFAに出展。さらには、中国の家電メーカーであるHisenseも、18:9のディスプレイが特徴となる「Infinity H11」をIFAに合わせて発表している。

IFA 2017 価格は179ユーロからと、18:9のディスプレイを搭載した端末が、一気に普及価格帯まで降りてきた格好だ
IFA 2017 Hisenseの18:9ディスプレイ搭載モデル「Infinity H11」
IFA 2017 中国・深センに拠点を置くZopoも、「P5000」などをIFAで発表

 いずれも日本での発売は未定だが、これらの発表からは、安価な端末を作る中国メーカーにも、18:9の液晶パネルが供給され始めたことが分かる。フラグシップモデルのように有機ELを搭載し、コントラストや応答性を高めるというわけにはいかないが、普及台数を拡大するうえで、手ごろな価格の端末にこのアスペクト比が広がるインパクトは大きい。Wikoのように、日本に参入しているメーカーも含まれているため、SIMロックフリースマートフォンとして導入される可能性は高い。

 また、主にiPhone、iPad向けの周辺機器を展示するiZoneでは、次期iPhone向けのケースやディスプレイ保護ガラスが、Appleの発表に先駆け出展されていた。ここでは、「iPhone 8」や「iPhone X」などとウワサされる製品向けの周辺機器が中心だったが、複数メーカーの話を総合すると、このiPhone 8もしくはiPhone Xも、ディスプレイは18:9に近い比率になるという。Androidに続き、iPhoneへの採用も決まれば、トレンドが大きく動く。スマートフォン全体の縦長化がさらに加速し、近い将来、今の16:9のように、18:9のディスプレイがスタンダードになる可能性もありそうだ。

IFA 2017 iZoneに出展されたiPhone用ケースも、18:9のディスプレイを搭載するとウワサされる、次期iPhoneをターゲットにしたものばかりだった
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