なぜ今“SIM替え”なのか 新生「BIGLOBEモバイル」の狙いを聞くMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2017年10月31日 18時30分 公開
[石野純也ITmedia]

 早くからMVNOに参入し、“老舗”の1社といえるビッグローブだが、NECから投資ファンドに売却されるなど、事業環境は決して順風満帆とはいえなかった。一方で、いち早くGB単価を下げて料金競争を仕掛けたり、「ほぼスマホ」としてSIMカードと合わせて端末の提供を始めたりと、業界の中では先進的な取り組みも目立つ。カウントフリーを組み合わせた「エンタメフリー・オプション」も、同社の売りの1つだ。

 そんなビッグローブが1月にKDDIの子会社となり、ブランドを一新した。シンプルな書体のロゴを採用するとともに、MVNO事業のブランドも「BIGLOBEモバイル」と命名。10月にはKDDIのネットワークを借りた「Aプラン」も開始し、同時期にはテレビCMの放映も始めた。テレビCMでは「SIM替え」を訴求。手持ちの端末そのままでBIGLOBEに移れば、料金が下がることをアピールしている。そんな新生BIGLOBEの戦略を、有泉健社長が語った。

BIGLOBEモバイル ブランドを一新した「BIGLOBEモバイル」

端末を長く使いたいという人が増えてきている

BIGLOBEモバイル ビッグローブの有泉健社長

―― なぜ今、SIM替えをあらためてアピールしているのでしょうか。その理由を教えてください。

有泉氏 マーケットの中で、端末を頻繁に変えるというより、長く使いたいという方が増えてきているからです。チップの性能が上がってきたこともあり、その傾向は強くなっています。これは、街頭調査でもネット調査にも出てきています。

 SIM替えはマーケットのトレンドに関わらず一定の率でありましたが、マーケット自体が大きくなることで、その数は増えてきます。環境的には、SIMロックの解除が必須になりました。2年で端末の更新を迎える方は、この仕組みに乗れば、端末はそのままでSIMだけを変えることができます。この成長に注目しました。

 もっとも、これは以前からあったものですが、お客さまの嗜好(しこう)の変化を捉えながら、あえてもう一度、SIM替えというところから再出発させていただきたいという思いがあり、そこを狙っています。テレビCMでSIM替えと同時にもう1回BIGLOBEのことを認知していただきたい。そこで使えるサービス、商品としてこれまでになかった「エンタメSIM」も出しました。

 このようなお客さまのペインとウォンツに応えるものをセットにすることで、新しいBIGLOBEを認知していただきたいというのが、CMの趣旨でもあります。

―― 一方で、KDDI傘下には、既にUQ mobileやJ:COM MOBILEといったMVNOがあります。こことは、どうすみ分けていくのでしょうか。

有泉氏 auの料金体系のレイヤーが1つあり、UQ mobile、J:COM MOBILEの料金体系があり、その下にわれわれがあり、意識としては、3層で嗜好や意向に応えられるようにしていきたいということがあります。BIGLOBEはSIM替えというパターンで、SIMにひも付く形で差別化して、いろいろな嗜好のお客さまを取り入れていきたいですね。結果として、グループ全体でお客さまを増やしていければと考えています。

―― 確かにUQ mobileのようなキャリアだと端末もセットで買う人が多く、SIMカードのみというのはあまりないかもしれません。

有泉氏 この色は、なかったと思います。自分の端末そのままでというのが、これからは強いのではないでしょうか。今回はキャッチ―に(CMで)「シムシム」と連呼することで、お客さまに意識してもらうことを狙っています。

―― とはいえ、まだ自分のスマートフォンでMVNOのSIMカードが使えることを知らない、SIMロック解除の方法が分からないという人もいます。ここはどうフォローしていくのでしょうか。

有泉氏 Webに来ていただければ、SIM替えできるかどうかを明示することはしゃくし定規にやっていますが、もう少しベタに感じていただくために、ご自宅を訪問して、SIM替えから開通までをお手伝いするというサービスをやっています。

 もう1つはスマホ教室で、これは全国でやりたいと考えています。弊社社員が現場に出て、お客さまと直に触れ合う。スマホだけでなく、PCやWi-Fiが分からないという方がいたとしても、それらを全て包含する形で、ビッグローブに聞けば済むようにしてきたいですね。そんなことを、10月か11月からスタートさせようと考えています。

BIGLOBEモバイル 自宅での設定サポートやスマホ教室を行うなど、サポートも強化する

ロゴやブランドを刷新した理由

―― CM開始から2週間ほどたちましたが、効果はいかがでしょうか。

有泉氏 SIM替え編と逃亡編があり、最初にSIM替えをハイライトし、逃亡編ではエンタメSIMをハイライトしています。結果、ネットの声やWebへの来訪者もデーリーで上がっています。実際に使っていただけるという意味では、獲得の単位でも勢いが出てきています。

 SIM替えだけだと商品に直結させるのは難しいところですが、エンタメSIMのように、お客さまが欲しいと思っていた、通信制限に対するわれわれの回答が受け入れられた結果だと思っています。まずはBIGLOBEを意識していただくところからですが、これから打ち出すのは商品やサービスになっていきます。

動画が取得できませんでした
BIGLOBEモバイルのCM(SIM替え編)
BIGLOBEモバイルのCM(逃亡編)

―― 同時に、ロゴやブランドも刷新しました。これの理由を教えてください。

有泉氏 テレビCMと同時にコーポレートロゴを変えましたが、これはコーポレートアイデンティティーからすると非常に大きなことです。BIGLOBEを選んでいただいた方の55.2%が、信頼や安心をその理由に挙げていますが、これは揺るぎないベースバリューです。この価値はずっと提供し続けたい。ただ、変えなければいけないところもあります。

 信頼品質を培ってきたこと。これは変えてはいけませんが、これからの社会、生活の中で生き残っていくために必要なのは、新しい価値をどれだけ提供できるかです。KDDIにいたときからずっとこの文化で生きてきましたが、差別化は、お客さまの体験を通して得られるものがどれくらいいいものなのかで決まってきます。これは商品もそうですし、コールセンターなどの顧客接点もそうです。

 BIGLOBEにも、ベースバリューを失うことなく、新しい価値を重畳してく事業ビジョンがあります。変わるという意思表示をして、社員に意識を持ってもらうとともに、同じメッセージを社外のお客さまにも示し、この事業ビジョンの下でやるという意思表示を示したものがCMになります。もう1つ、11年間培ってきたロゴを刷新することで、BIGLOBEは変わるということを示したかった。

 事業の中には固定とモバイル、バリュー、法人がありますが、第1弾としてはモバイルにフォーカスし、BIGLOBEモバイルというサービスブランドも新たに打ち出しました。これまで、BIGLOBEには格安SIM、格安スマホ、BIGLOBE LTE・3Gなどがあり、ブランドがバラバラでした。今回はブランドを変更する中で、モバイルも単一のブランドで展開していくことを決め、LTEも3GもBIGLOBEモバイルとひとくくりにすることにしています。

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