Windows 7の登場で“元祖Netbook”はどうなった!?――「Eee PC 1005HR-WS」徹底検証7 Starterの真価を問う(4/4 ページ)

» 2009年11月27日 11時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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静音性は意外にも……

 静音性については、過去に優秀な結果を残してきたEee PCシリーズとしては意外な展開だった。今回テストした機材については、左側面に内蔵しているファンが比較的負荷に敏感で、動作音も大きい印象を受けた。

 暗騒音32デシベル、室温22度の環境において、ボディ正面から5センチと近い距離で測定した騒音レベルは、アイドル時で36デシベル、低負荷時で38デシベル、高負荷時では46デシベルまで上がることもあった。低負荷時でもまれに42〜43デシベルまで上がることがあり、ファンノイズが意外に気になる。

 ボディの発熱に関しては、室温が22度の環境でPCMark05実行直後の表面温度を計測した。結果は、最も熱い部分が底面の左側で39度まで上がった。しかし、左パームレストでは33.5度、右パームレストでは29.5度を維持しており、直接手で触れる部分が熱くなりすぎることはない。発熱は特に問題ないレベルだ。

騒音テストの結果(写真=左)。発熱テストの結果(写真=右)

Windows 7時代のNetbook選びは、性能面を割り切れるかがポイント

 1005HR-WSの価格は4万9800円で、オンラインショップでの実売価格は4万5000円前後まで下がっている場合もある。静音性は案外だが、Netbookとしては小型軽量なほうで、バッテリーの駆動時間は非常に優秀だし、1366×768ドット表示の液晶を搭載したことで、Windows 7 Starterでも実用的な操作性を備えているのは大きい。Webブラウズやメール送受信といったNetbookの主目的はより快適にこなせるし、HDD容量が250Gバイトあれば、Webアクセスが可能なポータブルストレージとしての活用法も考えられる。

 総合的に判断すると、Netbookとしては十分な仕上がりで、進化し続けてきたEee PCシリーズの新モデルだけあって完成度はかなり高い。Netbookが欲しいと考えている幅広いユーザーにとって、見逃せない選択肢であることは確かだ。

 もっとも、「Windows 7搭載の新型PC」として見た場合は、性能的にも機能的にも物足りない部分が少なくない。これは1005HR-WSに限った問題ではなく、Windows 7 Starterを載せたNetbookでは、Windows 7の魅力が半分も体験できないのではないかと感じる。OSだけをアップグレードしたところで、できることが増えたぶん、Atomによる性能面の不満は大きくなりそうだ。

 PCとしてWebブラウズやメール送受信などの用途以外にも活用したいなら、あるいはWindows 7という新OSに期待をしているなら、もう少しパワーのあるハードウェアでHome Premium以上のエディションがプリインストールされた製品が欲しいところだ。

 その受け皿として今や「CULVノートPC」というジャンルが台頭し、ASUSでも「UL20A」ならば、あと1万円ほど、つまりOSの差額程度を足せば買えてしまう。購入時の安さではNetbookが有利だが、Windows 7搭載機としてのコストパフォーマンスはCULVノートPCに軍配が上がる。

 Webブラウズやメール送受信など、限定的な用途をこなせるだけの性能で十分だと、“はっきり割り切れるかどうか”――今後、Netbookの購入を検討する際には、このことを改めて大きな選択のポイントとして考える必要があるだろう。

※内蔵HDDへのアクセス方法と写真を追加しました(2009年11月27日21時30分)。

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